✘月✘日夏頃。
朝起きたら、いつもより、静かだった。蝉の声はしないし、烏の声も、蛙の声もしなかった。その時は、もう夏が終わったんだって思ってた。けど、カーテンを開けると、救急車がランプを照らして走っていて、絶対に音は聞こえる筈なのに、聞こえなかった。流石に可笑しいと思い、同じ村民のgnmsさんの動画を開く。このうるさいこの動画なら、わかるって思って。動画を開いたら、音量の確認をする。
(前までは、この音量でもうるさかった、よな?)
それでも、音は何一つ聞こえなかった。
その日、病院へ行った。耳が聞こえなくなったのは、ストレスが原因だって、医者に言われた。言われた、というか筆談だけど。
『家族とかと一緒に帰ってください。交通事故に遭うケースもあるので。』
医者はそう紙に書く。
『わかりました、ありがとうございます』
自分はそう紙に書き、席を立つ。なんだか、違和感しかない。自分の歩く音はしないし、話し声も全く聞こえない。自分はここは病院だから静かだって。そう信じて連絡アプリを開いた。
(mmmrのディスコで連絡、して…hnnkに迎えに来てもらおうかな。近いし。)
『自分朝起きたら耳が聞こえなくなっていました。』
そう送る。その後は、すぐにtycさんから連絡が来たけど、無視して、hnnkに迎えに来てもらった。
帰り道。やっぱり静かだ。
「迎えにきてくれてありがとな 」
自分はそういう。hnnkが何かを言っているが、聞こえない。口を見て、読み取ろうとする。
「…い、え、い、え?」
自分が読み取った言葉をそのまま口にすると、hnnkは頷く。合ってたみたいだ。
(母音だけだったからよかったものの、なかなか難しいぞ、これ。)
信号の音も、車の走る音も、rkの声もしない街を、歩いて帰った。見慣れたたこ焼き屋のおばちゃんのうるさい声も、今は聞こえなかった。
rk目線
htmnさんが、朝から連絡するなんて珍しい、と思い内容を見ると、耳が聞こえなくなったから迎えに来い。っという内容だった。俺は驚いて仕方がなかったが、早く迎えに行かないとって、思った。部屋着に上着をきて、そのまま迎えに行く。静かな世界で、独りで待たされるのは過酷だろうと、思ったからだ。
迎えに来て、歩いていると、htmnさんが口を開いた。
「迎えに来てくれてありがとな」
そう言った。自分はいえいえ、と返すが、これ、聞こえてないのかとはっとする。
「…い、え、い、え?」
そうhtmnさんが言う。合ってる、少しは聞こえるのか…?と思ったが、そういう訳でもなさそうだ。
(口を、読み取った…?)
本当に、頭がいいんだな、と感心できる行動だった。
htmnさんの家に到着し、htmnさんは手洗いうがいをする。
(意外と真面目だな)
手洗いうがいが終わり、htmnさんが座ると自分は、スマホを起動し、メモ帳のアプリを開く。これで会話すればいいと思いついたからだ。
『mmmrの村民から連絡来てないですか?』
そう書くと、あっ、と言いスマホを起動する。
(通知の音が聞こえないから、気づいてないのか?)
そんなことを、一人で考えていると、電話が鳴った。
「もしもし、mmさん。どうしました?」
「htmnさん、耳が聞こえなくなったのって本当ですか?」
「なんでそれを俺に聞くんですか…。」
「iemnさんから聞いたんですよ。街でhtmnさんと貴方が一緒に歩いてたって。」
「あー、そうですか。本当ですよ、聞こえてないらしいです。診断書もありますし…」
「…そうですか。これから、どうしましょうねぇ…」
「…あ、あの! 」
「なんですか?」
「…mmmrの皆で、シェアハウス、とかどうですか?誰かが仕事に行っても、誰かがお世話できるんです!」
「成程、名案ですね!」
あのhtmnさんだから、何をしでかすか分からない。htmnさんを守ってあげたい。そんな思いから始まったシェアハウスだった。
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