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第4話
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rtwn(出てきません)
tt → wn
mn → tt
rt →← wn 恋人
第3話の続き
「……俺じゃだめ?」
マナの低い声が、狭い部屋に落ちた。
イッテツは息をのんだまま、ただその言葉の意味を咀嚼しようとしていた。
「……マナくん、」
「わかっとるやろ」
いつもなら冗談めかして笑うマナが、今はまっすぐにイッテツを見ていた。
その視線に逃げ場はなく、イッテツは心臓が痛いほど脈打つのを感じる。
「俺は……テツのことが好きやった」
あまりにも率直な告白だった。
イッテツは目を伏せ、苦笑のような息をもらす。
「……なんで、今言うの」
「今しか言えんから」
マナは迷いなく答える。
「こんなに弱ってるイッテツ見たん、初めて。……放っとかれへん」
沈黙が二人を包む。
机の上に放置された空き容器やカップ麺が、夜の静けさをより濃くした。
イッテツは震える声で呟く。
「俺……ウェンくんのことしか見えてなかった。今も忘れられないよ……」
「知っとる」
マナは小さく頷く。
「それでもいい。俺じゃあかん? 俺やったら、ずっと隣におれるけど」
イッテツは顔を上げた。
正面から差し向けられる想いに、戸惑いと、どうしようもない温もりを同時に覚える。
「……僕なんかでいいの」
消え入りそうな声に、マナはすぐさま返した。
「テツがいい」
その言葉に胸が締め付けられ、イッテツは気づけばマナの腕を掴んでいた。
そして次の瞬間、マナが彼の唇にそっと触れた。
驚きはあった。だが、拒む力は湧かなかった。
失恋の痛みで空っぽになった心に、マナの熱が流れ込んでくる。
触れるだけの短い口づけ。けれど、それは確かに「好き」という意思を伝えていた。
「……卑怯だな」
唇を離したイッテツが小さく呟く。
「弱ってるときに、こんなこと……」
「卑怯でもいい。俺はそれでしか届かんのやったら、なんぼでも卑怯になる」
マナはそう言って、もう一度抱きしめた。
背中に回された腕は、驚くほど力強く、そして優しい。
イッテツは目を閉じ、その温もりに身を委ねた。
壊れそうな心を、必死に繋ぎ止めてくれるものがあるのなら——今はそれでいい。
「……今夜だけでいい。そばにいてくれ」
震える声でそう告げると、マナは小さく頷いた。
次の瞬間、イッテツは自分でも驚くほど強くマナを抱きしめていた。
背中に回した腕に力を込め、逃げ場を与えないように。
「テツ……?」
不意に押し倒されるような形になり、マナが戸惑いの声をあげる。
けれど、その瞳には怯えよりも熱が宿っていた。
「……俺ばっか弱いとこ見せて、情けないよな」
イッテツは自嘲気味に笑いながら、マナを見下ろした。
「でも今だけは……マナくんに甘えさせてくれ。いや、俺のほうから欲しいんだ」
そう言って、唇を奪った。
最初は不器用に重ねた口づけだったが、次第に熱を帯び、マナの呼吸を乱していく。
「ん……っ、テツ……」
マナは目を細め、必死に腕を絡めてくる。
抵抗するつもりなんてなく、ただ受け入れてくれる。
それがたまらなく愛おしくて、イッテツの胸の奥に溜まっていた渇きが一気に溢れ出した。
「俺のこと……本気で好きって言ったろ。だったら、ちゃんと責任取らせてよ」
掠れた声で吐き出すと、マナは頬を赤くして小さく頷いた。
二人は互いの体温を求めるように寄り添い、やがて一線を越えていった。
誰にも言えない、ただ二人だけの夜の中で。
それが「恋人」と呼べるものなのか、自分でもわからない。
けれど確かに、壊れかけた心を繋ぎとめ、孤独を埋めてくれる存在がそこにはあった。