アキトと別れ、自宅に戻ると何やら不満そうな顔をして立ち尽くす少女がいた。
「ただいま。」
「私を置いてどこに行ってんだ」
「ちょっと古い友人と話してたんだよ」
「何の話だ」
「お前のスキルの話とか戦姫拾った経緯とかそんなもんだよ。お前が喜びそうな話は無いし、そんな出来事もない。」
「私を置いてくなんてどういう神経してるんだ」
「けが人を叩き起して外に連れ出す方がおかしいだろ。お前さんはENが無くなって寝込んでたんだからそれはそっとしておくのがベストでしょ?」
「大抵の奴は元気になるまでそばに居るぞ?」
「じゃあ僕はその大抵の人の枠に収まらない特別な人ってことね」
「ポジティブ過ぎて腹立つ。」
「てかなんでメンヘラ彼女みたいな対応してんだよ?お前そんなやつじゃないだろ?」
「私をほっといて外に出たのが許せん。外出るなら私も連れてって、あわよくば戦姫用品を買って欲しかった。」
「目的絶対そっちでしょ?」
「うん。」
「別にわざわざ外に出なくてもネットショッピングで済むでしょ?」
「お前は寝具買う時や靴買う時お店に行ってサイズ合わせて買うだろ?それと同じ。」
「実物見てみて肌で感じてっていう感じで吟味して買いたいってわけね。」
「そうだ。分かったら私を外に連れていけ」
「今日はもう僕の元気ないから無理」
「体力のない若者だ」
「ほっとけ…」
「なら分かった、私と会話しろ」
「構ってちゃんの彼女と変わらんぞそれ」
「うるさい、戦姫大戦を楽しみにしてる戦姫なのにそれを取り上げられたんだ。相手しろ」
「えぇ……」
「ほら、お前は戦姫について詳しくないんだ。この機会に知るのもありだぞ? 」
「まぁ…そうなんだけど」
「答えられる範囲なら答えてやる」
「んじゃいきなりぶっ込むけど、カナはどこの会社で作られたんだ?」
「知らん」
「は?」
「商品として置かれてる時の私らは意識は無い。目が覚める時は箱の中から出てきたその時になる。だから自分がどこの製品かはわかんない。」
「使えないねぇ」
「一応大抵の戦姫はうなじに会社のロゴが入れられてたり、あとは胸元にもあるパターンが多いかな」
「なら、うなじ見せてよ」
「ん?嫌だ」
「なんでだよ!?」
「…前の持ち主にロゴがある箇所削られてるから見せたくない」
「余計見たいんだけど」
「ヤダ」
「その傷の具合によっては性能に影響するかもしれないじゃん?」
「あの数戦で影響無いんだから問題なし」
「ケチんぼ」
「……ま、そのうち見せてあげるけど今は見せるに値しない」
「なんだよそれ」
その後彼女が寝てる間に起きた出来事の詳細を聞きたいと言われ、とりあえずサクッと要点をまとめて話した。
「…て事だからまた近いうちに外出ることになる。その時はちゃんと連れてくよ」
「当たり前だたわけ!それより、私がコテンパンにした相手が戦姫メーカーのやつだと言うのは本当か?」
「なんとも言えないけど、戦姫オタクの友人の話だから信頼はしてるんだよね」
「もし、戦姫メーカーの回し者で『ミライソフト』の社員なら私らも早急に強くならないといけない」
「どゆこと?」
「さっき行ってきたショッピングモールを建てるのに一枚かんでるのがミライソフトという会社だ。プロジェクトのひとつに自社製品をアピールすることが含まれててあそこにある戦姫ショップの大半はミライソフト製だ」
「だとしても、僕らが強くならないと行けない理由にはならなくない?」
「あのモール内で本来倒すことが非常に困難な社員を私らは倒してしまった。しかも、ただやるだけでなく、決闘で勝ち星を得た私らは今頃恐らく社内で目の敵にされてるはず」
「つまりはクソ厄介てことね」
「私としては戦闘が何度も起きるから楽しみなんだけどね」
「会社敵に回すのは違くない?一個人VS会社は勝ち目ないのよ」
「別に私たちは戦争をしようとか考えは無いし、相手方もその気はないはず。なんせ、万が一、一個人に会社が負ければ尊厳崩壊とかのレベルじゃないだろうしね」
「とは言え、社員をそれも役職者を倒したという事実は消えないし、狙われる理由としては十分か」
「そゆことなので、あなたも戦姫大戦好まないとか言ってられないのよね」
「不幸ってこんな重なる事あるんだね」
「申し訳ないけど腹括ってね」
「はぁ……。んじゃまずは戦姫用のクローゼットを買って装備を片付けるようにして、その後古い友人巻き込んで今回の件を対処しようか…」
「うむ!それがいいぞ!!」
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