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ネットショッピングにて戦姫用のクローゼットを購入(自腹で)し、装備の構成やカナ自体の戦闘スタイル。NPC含む数戦した感触から実践で使えそうな立ち回り、その他もろもろをこの数日で整えて、再度アキトと連絡を取り外出の予定を立てる今日この頃。
ちなみにその数日の期間もカナは戦闘を求めてて、作業中の僕を近くの公園に連れ出し、定期的に戦姫大戦をやらせてきた。こういうことが続いた結果僕の中でカナは犬と同義なんだろうというレッテルを勝手に貼ってる。もちろん本人に伝えるとしっかりブチギレられるのでそれは伝えず、心の中で『ワンちゃん』と呼んでいる。
「なぁリナ?」
「ん?」
「いつ頃その古い友人に会うんだ?」
「今日もしかすると会えるかな?」
「そいつももちろん戦姫持ってるんだよな?」
「だろうね」
「なら、遊べそうだな!」
「多分お前がコテンパンにされて終わりだぞ?」
「分からないぞ?装備の差が実力の差とは限らない。それは、あのおっさんで証明されてる。」
「少なくとも相手はAランクはあるだろうから、Fランク VS Aランクをやるなら結果は火を見るより明らかだろ」
「万に一つの可能性だって……」
「ナイナイ」
「ぐぬぬ……」
「けど、対戦自体は受けてくれると思うぞ」
「ほんとか!?」
一気に表情が明るくなって瞳をキラキラさせちゃって、心做しか尻尾もないんだけど、あるように錯覚して振ってるように見えてきたかも知れない…
「まぁ、僕の為に行動してくれてるのは事実だし、頼み込めば練習相手とかにはなってくれるだろうね。勝ち負けは問わなければ」
「やれるならなんでもいいわ!」
「随分と戦闘狂いな戦姫だこと」
同時刻、都内にあるとある会社の中。そこでは役職者達が集まり会議が行われていた。
「その情報は確かか?」
「は、はい……。お恥ずかしいことにわたくしめが失態を………」
リナが対戦したとある男は自身よりも若い男に深々と頭を下げる。
「お前の失態自体は後で処罰を与えるが、その失態がなければ、私達もその情報を得ることは出来なかった。これも事実だ。処遇に関しては多少緩和されるはずだ。」
「はい……」
「それで?お前が見たその戦姫は確かに戦闘中にスキルが開花したんだな?」
「はい…。しかもそのスキルは『覚醒』だと思われます。」
「覚醒、か。そのスキルが開花されたということはその戦姫は現代の戦姫ではないな。」
黙って話を聞いていた長髪の男は突然口を開いたと思えば、気になることを口走る。
「なぜそう断言を?」
「覚醒は会得しようとしても出来ないものだ。本人が『覚醒』したから使える。そういうものなんだが、この覚醒を扱えた戦姫は昔数体居たんだ。だが、その戦姫を創り上げた会社は突如姿を消した。この界隈から消え去ったんだ。彼らの戦姫の技術ひとつ残さずにな」
「そんなとんでもない戦姫メーカーが昔存在してたのになぜ、今は誰も認知してないんですか?」
「認知はされてる。しかし、それは都市伝説として語られるのみだ。」
「では、その覚醒した戦姫数体のデータも消え去っていると?」
「詳細は未だに掴めてないが、ざっくりとは彼女らのデータは残されていた。」
「それはぜひ聞かせていただきたいものだ」
「僕が集めたデータとそこから導き出した憶測で良ければお話しますよ」
「構わん」
「まず、覚醒したと思われる戦姫は全部で五体と思われます。一人は”バランスの取れた型”。一人は射撃主に”実弾兵器に特化させた型”。一人は射撃主に”ビーム兵器に特化させた型”。一人は近接主に”破壊することに特化させた型”。一人は近接主に”相手の攻撃を利用するカウンターに特化させた型”。この五体です」
「各々が何か一つに尖らせた機体なのか。」
「彼女達の存在は当時の戦姫大戦では『天使の行進』と言われるほど猛威を振るったと言われています。」
「では、その『天使』のうちの一人が私が対戦した相手なのか?」
「その可能性は低いでしょう。」
「なに?」
「彼女達には必ず共通する点があります。」
「それは?」
「相手の戦意を削ぐという点です。射撃特化の戦姫は相手の戦姫が稼働停止してもなお射撃を辞めず、近接特化の戦姫は武器を全て破壊し四肢を消し飛ばし、苦痛に歪む顔を見たあとゆっくりと屠る。バランス型は相手に希望を見せて、その僅かな糸を切り裂く。こんなふうに人の倫理観を消したような奴らなんですよ。」
「行動は悪魔なのに異名は天使か。とんだ皮肉じみた名前だな。」
「なんにせよ、そんな心無い事をするのが天使達だが、貴方が相対した戦姫はそんなこと無かった。そうですよね?」
「どちらかと言うと、危機的状況になって初めて力を出す。いわゆる主人公タイプの戦姫でした。」
「………なるほど。となると僕の知り得る可能性はひとつ。彼女が堕天使であるという事だ。」
「だ、堕天使?」
「彼女達は『覚醒』を有しているが、それら全ては偶然ではなく必然なのだ。」
「?」
「その会社は『覚醒』の存在に気づき、意図的に覚醒を手に入れる研究を始めた。その過程で何百何千という戦姫は犠牲になったが、そのおかげで意図的に覚醒を会得できるようになった戦姫が出来上がった。その戦姫が後の堕天使となる。」
「じゃあその堕天使も覚醒を持ち、圧倒的な力を?」
「ざんねんながらそうはいかなかった。何故なら彼女は『覚醒』を会得するためだけに創られた存在なため、戦姫としてのステータスは並以下だった。だから、彼女を創り上げた時のデータを元に天使たちが創られ、元になった彼女は天使になれず、落ちこぼれという意味合いを込めた堕天使と呼ばれたのだ。 」
「つまり、その捨てられた戦姫が私が相対した戦姫である可能性が高いと?」
「あくまで僕の話は『天使創造計画《プロジェクトエンジェル》』が基盤になってる前提の話で、それも都市伝説だから確約はできないけどね。」
「オカルト話ではあるが、確かに数年前天使と言われていた戦姫がいたのは確かだ。一つの説として頭の片隅には置いておこう。」
その後少しの話し合いの後解散し、各々の部署に戻るその途中。
「す、すいません『ミカゲ』さん。」
「ん?何を謝ってるの?僕は何もしてないけど?」
「いえ、ミカゲさんが覚醒について話を逸らしてくれたおかげで私の処罰も軽くなりましたし……」
「あぁ、”そんな事”か。別に、『ミシマ』さんを庇うとかそんなんじゃないですよ。むしろ貴方がどうなろうと僕には関係ない。しかし、その戦姫は気になるのでね。」
「な、ならミカゲさんが私と担当を変われば……」
「僕はパスだね。あのモールの件は君が引き受けてるんだ。なら、引き受けた以上君一人で何とかするべきじゃない?僕はもうその件からは手を引いてる。」
「そ、そうですよね……。」
「ま、さっきも言った通り『覚醒』を使う戦姫には興味があるから多少は手伝ってあげる。」