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二学期が始まって、数日。
昼休み。
「神崎。」
「ん?」
蓮が奏斗の机の前に立った。
「ちょっといい?」
「いいけど。」
二人は廊下へ出る。
「……何?」
蓮は少し考えてから聞いた。
「冴のこと、どう思ってる?」
「……え?」
奏斗が固まる。
「どうって……。」
「友達だけど。」
「ふーん。」
蓮は奏斗の顔を見る。
「じゃあ、なんでそんな顔するの?」
「……どんな顔?」
「冴の話をするときだけ、ちょっと嬉しそう。」
「……。」
「昨日だって、冴が『頼っていい?』って言ったとき。」
「めちゃくちゃ嬉しそうだった。」
「……見てたのかよ。」
「偶然。」
奏斗は頭をかく。
「……分かんない。」
「何が?」
「俺。」
少し黙ってから。
「石川といるの、好きなんだ。」
蓮は黙って聞いている。
「一緒にいると楽しいし。」
「帰るとき、もっと話したいって思う。」
「会えないと、ちょっと寂しい。」
「……。」
「でも、それが友達としてなのか。」
「それとも別なのか。」
「分からない。」
蓮は少し笑った。
「なら、急いで答えなくていいんじゃない?」
「え?」
「今まで通り一緒にいればいい。」
「そのうち分かる。」
「……そっか。」
-–
その日の放課後。
図書室。
「神崎。」
「ん?」
「今日、どうしたの?」
「え?」
「少し考え事してる。」
「……。」
奏斗は冴を見る。
(どう思ってる?)
さっきの蓮の言葉が頭に浮かぶ。
でも。
「……石川。」
「なに。」
「俺さ。」
「?」
「石川といるの、好きだよ。」
「……。」
冴が少し目を見開く。
「……俺も。」
「うん。」
二人とも、それ以上は言わない。
でも。
その言葉だけで、十分だった。
-–
帰り道。
「神崎。」
「ん?」
「今日。」
「何かあった?」
「……ちょっとだけ。」
「そう。」
「でも、大丈夫。」
「そっか。」
冴は少し歩いてから。
「じゃあ。」
「また明日。」
「うん。」
二人が別れる。
奏斗は少し歩いてから振り返った。
冴も、ちょうど振り返っていた。
目が合う。
「……。」
「……。」
そして二人とも笑う。
-–
その夜。
奏斗はベッドに寝転びながら、今日の会話を思い出していた。
「石川といるの、好き。」
口に出してみる。
すると。
胸が少しだけ温かくなる。
「……。」
でも。
まだ「恋」という言葉には、しっくりこない。
だから今は。
この気持ちを急いで名前にしなくてもいい。
ただ。
明日も会いたい。
それだけは、はっきりしていた。
-–
一方、冴。
机の上に今日借りた本を置く。
その隣には、夏祭りでもらった小さなキーホルダーの写真。
スマホの画面を見つめる。
『また明日。』
奏斗からのメッセージ。
「……。」
冴は少し笑って、
『うん。また明日。』
と返信した。
送信。
そして、しばらく画面を見つめたまま――
「……明日。」
小さく呟いた。
-–
第25話 おわり
次回・第26話「体育祭」
二学期最初の大イベント、体育祭。
クラス対抗リレーで、奏斗と冴が同じチームになる。
ところが練習中、冴が少し無理をしてしまって――。
奏斗が今まで以上に心配することに。
コメント
1件
え〜〜〜〜!!?😭💕 もうこのエピソード最高すぎん?? 蓮がストレートに「どう思ってる?」って聞くところから始まって、奏斗が自分の気持ちに戸惑ってる感じがめっちゃ伝わってきた…!「分かんない」って言いながらも「石川といるの好き」って口に出した瞬間、胸がぎゅーってなったよ😢💖 図書室でお互いに「好き」って言い合って、それ以上は言わないけど通じ合ってる空気、尊すぎて死ぬ… 帰り道で振り返って目が合って笑うシーン、完全に青春のエモの塊!! 「明日も会いたい」って気持ちを急いで名前付けなくていいって感じ、すごく共感した〜。 次回の体育祭も絶対見逃せない!!楽しみすぎる!!🔥