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「急に冷えすぎじゃね?」
そう言いながら、kzは首を縮こませてマフラーに口元を埋めた。
「少し前までは暖かかったのが嘘みたいだな」
隣を歩くsyuも同じようにマフラーに口元を埋めている。隙間から覗く耳が、冷気に当てられて僅かに赤く染まっていた。
年の瀬も近いこの日。実写での撮影を終えた二人は、寒空の中を歩きながら家へと向かっていた。彼等の手には、fuから貰ったプレゼントがある。彼らしいセレクトに思わず笑ってしまったが、素直に嬉しい。
「飯、どうする?」
「んー…家で何か作るにしても材料あったかな?」
「荷物あるし、一回確認しに帰るか」
「そうだね」
一度、帰宅してしまえば外に出るのは少々億劫になってしまいそうだが、このまま食べに行くにしては荷物が少々大きい。故に一時帰宅を選択した。
家に入り、荷物をとりあえずソファに置く。その間にsyuが冷蔵庫の扉を開けて中を確認していた。
「どう?」
「んー…あんまないね」
腹を満たす為に必要な材料は少々乏しい。話した結果、近くの店に食べに行くことにした。こうなるかもしれないと思い、防寒着達を脱がないでいてよかったと思う。
「寒すぎる…!」
すっかり陽も沈み、昼間より風も強くなっている。そんな中歩くのは中々困難というもの。二人で縮こまりながら、店へと急いだ。
「近くに店があると便利だよな」
入ったのは手頃な価格で、日々利用することの多いチェーン店。自動ドアを潜れば、暖かい室温にほっとする。
温かければ上着を脱いでも凍えることはない。通された席で、二人はタッチパネルを見ながら何を食べようかと談笑する。結果的に、よく食べているメニューを注文した。
「行き慣れてる店でもさ、中々冒険ってしないよな」
「確かに。悩んでも同じようなの注文しちゃうかも」
少しして運ばれてきた料理に舌鼓を打つ。安定の美味しさに空腹が満たされ、冷えていた身体も温まる。
「ご馳走様」
水を飲んでいると、syuが自分のスマホの画面をkzに見せる。そこには、綺麗なイルミネーションが映し出されていた。
「イルミネーション?」
「そうそう。そういえば、と思って。此の近くで、小規模だけどやってるんだって。寒いけどさ、ちょっと見に行ってみない?」
陽はすっかりと暮れ、風も吹いている。そんな中にいたらどんどんと身体は冷えてしまうだろう。だが、空気が澄んでいる今だからこそ光は綺麗に見える。それに、syuが誘ってくれたことがkzには何よりも嬉しかった。
「いいよ。行こう」
「やったね。じゃあ、遅くなりすぎる前に行こうか」
Kzが一度脱いでいた上着を再度着ている間に、syuは一足早く伝票を手に会計を済ませに行ってしまっていた。こういうところがスマートなんだから、とそんなことを思いながらkzはその後ろ姿に追いつく。
「うっわ、さむ!」
店の外に出た瞬間、冷たい風が襲い掛かってきた。思わず首を縮こませる。それはsyuも同じで。そんな中を、二人は目的地へと向かって歩き出す。
そのイルミネーションは、然程遠くない公園の一角にあった。余り有名な場所でもないようで、人は余り多くない。
「此処、結構穴場みたいだね」
ゆっくりと落ち着いて見るには丁度いいくらいの規模だとsyuは思う。有名な場所も綺麗だが、その分人も多くてどこかせわしない。それに比べ、この場所はゆったりとした時間が流れている。
「なんか飲もうよ」
生憎とカフェといった便利なものはない。暖を取れそうなのは、自販機くらい。二人で珈琲を購入し、イルミネーションがよく見えるベンチへと腰を下ろした。
「綺麗だけど、ほんと寒いな」
温かい缶を両手で包むように握りながらkzが言う。その鼻は冷えて少々赤くなっている。
「もうちょっとくっつくか」
Syuはkzにぴたりと身体を寄せる。そんな彼の肩に、kzはそっと頭を傾けて乗せた。
「寒いけど、綺麗だな」
頭を傾けた姿勢はそのままに、器用に珈琲を飲んでいる。彼のその言葉に、syuも視線を向ける。キラキラと輝くそれらは、寒い空気の中で眩い光を放っていた。
「二人で見れてよかったよ」
そう言うと、kzは嬉しそうに微笑んだ。そんな彼の表情に、syuは思わず釘付けになってしまった。
「なあ、見すぎじゃね?」
そう言われて、kzの顔を熱烈に見続けてしまっていたことに気付いた。てっきりkzは照れてしまうだろうと思ったが、予想に反して酷く幸せそうな顔をしている。それにたまらなくなり、唇にキスをした。
「…なあ、ここ、外」
そんなことを言いながらも、kzの表情はもっとと強請っている。周囲に人影は見えない。それをいいことに、syuは缶を持っていない方の手で彼の頬を包み、再びキスをした。
「ん…はぁ…」
啄むように幾度も唇を重ねる。そのまま深く、深く重ねて溺れてしまいたかったが、ギリギリ理性で耐える。唇を離すと、kzはとろんとした目でsyuを見詰めた。
「これで、終わり…?」
「流石に外だしね。もっとして欲しかった?」
問いかけると途端に恥ずかしくなったのか目を伏せる。しかし、小さな声でうん、と頷いたことをsyuは聞き逃さなかった。
「なら、そろそろ帰ろうか」
冷えた身体を温める為に貪ってもいいし、風呂で温まってからゆっくりと交わるのもいい。風邪を引かないようにするならば、風呂に入ってからかなとsyuは考える。一緒に風呂に入り、ドロドロに蕩かしてベッドに沈むのが良いだろう。
缶をゴミ箱に捨て、歩き始める。その時、kzが寒そうに手を擦り合わせた。
「ねえ、繋いで帰ろう」
言いながら、kzの手を優しく掴む。予想通り、彼の手はすっかりと冷えてしまっていた。
「何でそんなあったかいのさ」
同じように外気に晒されていたというのに、syuの手はkzよりも随分と暖かい。それに若干の文句を言いながらも、握られた手を離すことはしなかった。
「kzは冷たすぎるんだって」
「手が冷えてると心が温かいって言うじゃん?」
「ええ、俺の心が冷たいって言ってるのと同じじゃん」
そんなことを笑って話ながら、帰路を歩く。相変わらず風は冷たい。だが、二人の間に流れている空気は穏やかで温かかった。
帰宅してすぐに風呂の準備をする。待っている間はソファの上で毛布をかぶりながら丸まっているkzを甘やかして。
「さ、沸いたし入ろ」
「ん」
Syuがkzの手を引いて風呂へと向かう。冷えた身体をしっかりと温める。途中、kzがちょっかいを出してきたことでsyuが我慢出来なくなり、随分と長風呂になってしまった。
「あ、あっ、あっ…!」
昂った身体はそう簡単に静まらない。濡れた髪をそのままに、二人は風呂から上がると寝室へと縺れ込んだ。
Kzの甘い声が響き渡る。冷えていた身体はすっかりと温まり、白い肢体が仄かにピンク色に染まっている。
「kz…!」
彼の身体を揺さぶりながら、syuは身体を掻き抱く。奥深くまで穿ち、二人は幾度も快楽へと溺れていった。
「ん…」
先に目を覚ましたのはsyuだった。幾度となくkzを絶頂へと押し上げ、互いにドロドロに溶け合うように貪った。
意識を飛ばしてしまったkzの世話を甲斐甲斐しく焼き、彼を自身の腕の中に抱き込んで眠りについた。そして目を覚ました今、kzは変わらずsyuの腕の中ですやすやと寝息を立てていいる。
時計を見ると、まだ早朝。二度寝を決めてもいい時間だ。幸せそうな顔をしているkzの唇に、そっとキスを落とす。
「愛してるよ」
そう、囁けば、kzは幸せそうに微笑んだ。