テラーノベル
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ヒトで言えば高校生。家を出た。クソみたいな環境だったんだ、これでよかった。
野良猫として生きる術を手に入れるのには時間はかからなかった。痛いことはたくさんされてきたから、痛みに強かった。勝った勝負は耐久戦だけだったが、これでいい。勝てればいいんだ。
野良猫になって数カ月。俺が住んでる路地裏に一人の高校生が来た。偶然にも、そいつの年齢と俺の年齢は同じ。弐十っていう名前だった。
『わ、猫ちゃん!ちょ、ちょっとまって!』
初めて会ったとき、話しかけられたあと走っていった。嵐みたいなやつだ、って思った。まぁ…待てって言われて、何されるかわからないかどまっておいた。おこぼれを期待した。
『はぁ、…っ、はぁ…!よかった!いた!』
「にゃーお」
あまり可愛くない鳴き方。あまり良くない目つき。たしか、可愛くないってよく言われたな。声はひっくいし、がらがらだし。
どうせ、こいつもそう思うだろ。
『うおお…!かわいすぎる!!』
「にゃ…?」
こいつ何言ってんだ。は?かわいい?こいつセンスばくってんじゃねーの?何で俺にこんなテンション上がんの?
人生初めての経験だった。
『ほら!これ!ち◯ーる!』
「…?ペロ」
エサらしきものを差し出される。
美味しい。ち◯ーるは初めて食べた。ペースト状のお菓子?ご飯でとても美味しい。人間は怖いけど、利用すれば美味しい思いがこんなにできるんだ。
『ね、ねえ!俺ん家くる?!』
人間は美味しそうに食べる俺を見てそう言った。
お気に召されたらしい。俺も、こいつと一緒にいればおいしい思いができると思った。
だから__
ぼふっ!
俺は人になれた。
おまけ
弐十キルブラッシングの話
「トルテさーん、おいで」
かわいいかわいい飼い猫ちゃんを呼ぶ。野良で出会ったけど、ずっとかわいくて仕方のない猫だ。
『あ〜い』
いつも通り膝に座ってくる。うん、やっぱりかわいい。
毛並みとかは毎日整えてあげる。相変わらずきれいな髪、尻尾。毎日整えて、ケアしてるだけはある。
ブラシを髪の毛に通していく。さらさら、ふわふわ。とにかくきれい。
「そーいや最近よく出かけるよね。友達でもできたの?」
『んー…元々住んでた家の子たちと再会して。懐かしくてね』
「へー…そういや、元々飼い猫だったのかトルテさん」
『ま、ろくでもない飼い主だったけど』
ブラッシングをする、俺とトルテさんだけの時間。2人だけの特別な時間。
俺はこの温かい時間が大好きだ。この時間を邪魔するやつは消したくなるくらい。
『ん、ブラッシングはオーケーかな。横になって』
「あ〜い」
次は耳のケア。トルテさんはふわふわしてる猫ちゃんだから、耳垢が溜まりやすい。耳の毛とか、しっぽとか。汚れがつきやすいんだよねぇ。
まぁ、このお世話も大好きだからいいけど。膝枕もできちゃうし。
『いれるよ〜』
「あ〜い」
耳掃除用のシートを入れてくるくる、周りの汚れを取っていく。
毎日ケアしてるだけはある。飼い猫のケアは日々コツコツ。
『ん、ケアOK。』
トルテさんのふわふわしてる耳を揉む。やわやわで、もふもふしてて。けだるそうな声も、きれいな青い目も。大好きで仕方がない。
「…zzz」
『あ、ねちゃってた。』
相当気持ちよかったのかな。かわいい。かわいい、オレだけの飼い猫ちゃん。
『ずっと一緒だからね。』
ずっと、ずっと。逃さない。離さない。俺のイメージカラーの首輪を優しく撫でた。
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コメント
3件
にときる がぁぁぁぁあ すきすぎる
こっちはちゃんと番外編です!弐十キルです!! この話10話以上溜め込んでるからめっちゃあげれる