テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
岩手県大槌町。四方八方が山に囲まれたこの地に1人のマタギがいる。彼女は小柄ながらも、そこらの成人男性に劣らない体を有している。
普段は髪をだんごに結び、茶髪に染めている。
今年も全国的には一足早く、この町に冬が来た。
「はぁ、、、はぁ、、、」
背中にライフルを担ぎ、白い息を漏らす。落ち葉を踏むモシャモシャと言う音だけが聞こえる
「ワン!ワン!」
「シー、シー、、静かにして。」
愛犬の「きなこ」。犬種はハスキー。賢く非常にお利口である。
「ん、、」
私は肩紐を取りしゃがみ込んだ。ボルトを引く。
しっかりと末尾を肩に当て、リアサイトを覗き込む。いつの間にか白い息は出なくなっていた。
パーン!!!!!!
乾いた音がこの山に響いた。
「ほらきなこ、おいで。」
きなこは、息を荒くして軽トラの助手席に乗り込む。私は運転席へ。
スマホを持参した小型スピーカーに繋げる。私はありきたりなロックな音楽を流した。
ドンッ
車を降りドアを閉める。
『おぉ、おがえり。何がとれだげえ?』
隣の長嶋さんが、外で畑仕事をしているようだ。
「くまだぁ」
長嶋さんはおぉそうか、と返してまた腰を屈めた。
私は、そんなマタギの日々を繰り返している。
そんなある日のことだった。
私はいつものように軽トラを運転する。助手席にはきなこ、傍にはライフル。
んぐぅっ、、、
伸びをして私は山に入る。
目を瞑り、お辞儀をする。自然に感謝する。マタギの基本である。
「いくよ、きなこ。」
私はきなこを手招きする。リードはつけない。それだけの仲だ。
ゆっくりと私は歩んでいく。今日もかなり冷え込んでいて、白い息がふわっと現れては、消える。
しばらく歩いく、と大きな影が見えた。熊である。なんとも大きい。おそらく今年一だろう。
私は肩紐をとり、しっかりと狙う。その時だった。
「ワン!ワン!ワンワン!!!!」
「ちょっときなこ!あ、!」熊も逃げてしまった
「集中切れちゃったじゃんなにもう、、、」
きなこ、どこを見ているのだろうか。
視線をきなこと同じ方向へ向けた。
「え、、ちょっまっ!!」
人?小さい、子どもか?私は駆け寄った。
生きては、、いる。
「聞こえる?ねぇ大丈夫?」
『あぁ、、』
「わかったからもう喋んないでいいから。」
私は、彼を担いで山を降りた。
軽トラに乗り込み、彼を助手席に座らせた。救急車を自宅に向かわせた。きなこは膝の上に。
「きなこおとなしくね。」
答えるようにワンっと吠えた。
#暇だから構えっ…//
榎葉
191
#ひまなひときて
#𝐂𝐲𝐚𝐧
127
榎葉
79
コメント
1件
おお、第1話からめっちゃ雰囲気あるな…!岩手の山奥、女マタギとハスキーのきなこ、静かな冬の空気感がすごく伝わってきたわ。熊を仕留めるシーンの緊張感から、一転して倒れてる子どもを見つける展開、最後の「きなこおとなしくね」のやり取りでじわっとくる。この子、誰なんやろ…続きめっちゃ気になる🔥