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第2話 隠しきれない違和感
「待てーーー!! 湊音ーーー!!」
「やだーー!!」
事務所中を走り回る湊音を、ころんが追いかける。
「だから走るなって!!」
「ころんが追いかけてくるからでしょー!!」
「元はと言えばお前が怪しいからだよ!」
「怪しくない!!」
その様子を見て、莉犬が笑う。
「いつものことだねぇ」
「元気すぎるなぁ」
るぅとが苦笑する。
一方、静佳は壁際で二人を眺めていた。
「……ほんと、子ども」
「静佳も12歳だろ?」
さとみが笑いながら言う。
「私は違うもん」
「何が?」
「……全部」
「全部ってなんだよ」
静佳はぷいっと顔を逸らした。
その様子を見ていた新しいマネージャーの一人が、ほんの少しだけ笑った。
「ふふ……」
「……!」
静佳の目が一瞬だけ母親へ向く。
けれど、すぐに視線を逸らした。
――今、笑った。
自分が家でよくする仕草と同じだったから。
でも、ここでは絶対に「お母さん」と呼べない。
「静佳?」
「なに?」
「今日、ちゃんと朝ご飯食べた?」
「……食べた」
一瞬。
ほんの一瞬だけ、静佳の返事が遅れた。
「ならよかった」
母親はそれ以上何も言わなかった。
その自然なやり取りに、誰も違和感を持たなかった。
……一人を除いて。
「……?」
心音が、静佳を見ていた。
静佳も心音を見る。
目が合った。
「…………」
「…………」
二人とも無言。
心音は何かを考えているようだった。
「どうしたの?」
Lapisが声をかける。
「いや……」
心音は静佳から視線を外した。
「なんでもない」
けれど。
心音には少しだけ気になることがあった。
静佳の母親が、静佳を見る目。
そして。
静佳が、その人を見る目。
どこか――
家族みたいだった。
「……気のせいか」
心音はそう呟いた。
***
その頃。
別の場所では。
「湊音」
「ん?」
おさでいが声をかけた。
「さっき、新しいマネージャーさんのこと見てただろ」
「……!」
湊音の顔が固まる。
「なんで?」
「いや、なんとなく」
「……別に」
「ふーん」
おさでいは湊音をじっと見る。
「お前、昔から嘘つくとき右見るよな」
「え!?」
湊音は反射的に左を見る。
「……」
「……」
おさでいが吹き出した。
「今、左見たじゃん」
「うわぁぁ!!」
湊音が頭を抱える。
「やめてよ!!」
「分かりやすすぎだろ」
「絶対言わないでよ!?」
「何を?」
「……その……」
湊音は声を小さくする。
「……母さんのこと」
「…………」
おさでいの表情が変わった。
「分かってる」
小さな声。
「ここでは兄弟じゃない」
「……うん」
「俺も言わない」
「ありがと」
湊音はホッとした。
――その瞬間。
「何の話?」
「「!?」」
突然、後ろから声がした。
二人が振り向く。
そこには、あっきぃが立っていた。
「二人でコソコソしてたから気になって!」
「な、なんでもない!!」
湊音が勢いよく答える。
「ほんとー?」
「ほんと!」
「怪しい……」
あっきぃが首を傾げる。
「兄弟みたいに息ぴったりだったけど」
「…………」
二人が同時に固まった。
「え?」
「あ、いや!」
おさでいが慌てて笑う。
「昔から一緒にいるからさ!」
「そうそう!」
湊音も必死に頷く。
「幼馴染ってやつ!」
「なるほどー!」
あっきぃはあっさり納得した。
「じゃあ今度、昔の話聞かせてよ!」
「えっ」
「いいでしょ?」
「……う、うん」
湊音は笑った。
けれど。
心臓はドクドク鳴っていた。
――危なかった。
***
一方、静佳。
「静佳!」
「……ん?」
「一緒にお昼食べよ!」
莉犬が笑顔で声をかけてきた。
「いいよ」
「やった!」
二人で席に向かう。
そこへ、ジェルもやってくる。
「俺も混ぜてー!」
「いいよ!」
「じゃあ俺も!」
「俺もー!」
いつの間にか人が集まってくる。
静佳は笑った。
「……ふふ」
楽しい。
本当に楽しい。
だけど。
少し疲れていた。
朝からずっと動き回っていた。
それでも。
「大丈夫?」
莉犬が聞く。
「大丈夫!」
反射的に答える。
「ほんと?」
「ほんと!」
静佳は笑う。
「全然平気!」
――大丈夫。
いつもの言葉。
頼らない。
弱音を吐かない。
迷惑をかけない。
それが静佳の癖だった。
けれど。
「…………」
少し離れたところから、心音が静佳を見ていた。
そして。
静佳の母親も。
同じように静佳を見ていた。
二人の視線が重なる。
心音は、ふと思った。
――やっぱり。
何かがおかしい。
静佳は、自分に似ている。
笑い方も。
無理をするところも。
そして何より――
あのマネージャーが静佳を見る目。
まるで。
自分の妹を見るような目だった。
「……まさか」
心音が小さく呟く。
その声を聞いた静佳が振り向く。
「……?」
心音は慌てて笑った。
「なんでもない」
「……そう?」
静佳は首を傾げる。
その瞬間。
事務所の奥から大きな声が響いた。
「湊音ーー!! 何で俺の飲み物持ってった!?」
「知らない!!」
「お前だろ!!」
「バレた!?」
「バレるわ!!」
「逃げろーー!!」
「待てぇぇ!!」
ドタドタドタッ!!
「…………」
静佳は呆れた顔をした。
「……ほんとバカ」
でも。
その口元は笑っていた。
誰も知らない。
湊音がおさでいの弟だということも。
静佳が心音の妹だということも。
そして――
その秘密に、少しずつ気づき始めている人がいることも。
「この二人、何か隠してる?」
そんな疑問が。
静かに、事務所の中に広がり始めていた。
#琉歌の部屋
#STPRBL
#STPR様
#専用部屋という字読めますか?平仮名にするねせんようべや
コメント
1件
うわ、この第2話、めっちゃドキドキした…!静佳ちゃんの「大丈夫」連発、あれ絶対無理してるやつだよね😢 湊音くんとおさでいさんの兄弟バレそうな瞬間もハラハラしたし、何より心音くんが静佳ちゃんとマネージャーさんを見て「家族みたい」って気づきかけてるの、もう読んでて背筋がゾクゾクした…。続きが気になりすぎるよ〜!