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第3話 ばれそうな秘密
「……ねぇ、心音」
「ん?」
Lapisが心音の肩を軽く叩いた。
「さっきから静佳のこと見てない?」
「え?」
「なんか気になることあるの?」
「……いや」
心音は少しだけ静佳を見る。
静佳は、みんなと楽しそうに話していた。
笑っている。
いつも通り。
だけど――
「……ちょっとだけね」
「ふーん?」
Lapisはそれ以上聞かなかった。
その頃。
「静佳ー!」
「なに?」
「これ見て!」
湊音が何かを持って走ってくる。
「……また走ってる」
「細かいことは気にしない!」
「気にするよ!」
静佳が呆れながらも笑う。
湊音は静佳の隣に座った。
「これ、今日の予定表!」
「へぇ」
「午後、みんなで撮影あるんだって!」
「そうなんだ」
「楽しみだな!」
「……うん」
二人が並んでいると、本当に仲のいい幼馴染にしか見えない。
ただ――
おさでいは、その二人を少し離れた場所から見ていた。
「…………」
その横に、心音もいた。
「おさでい」
「ん?」
「湊音ってさ」
「……?」
「昔からあんな感じ?」
「……まぁな」
「静佳とも、ずっと一緒?」
「うん」
おさでいの返事は自然だった。
けれど、心音はじっとおさでいを見る。
「……そっか」
「何?」
「いや、なんでもない」
心音は笑った。
だが。
心の中では、また一つ疑問が増えていた。
***
午後。
撮影準備が始まった。
「湊音、これ持ってって!」
「はーい!」
「静佳、こっちお願い!」
「分かった!」
二人は忙しく動き回っていた。
ところが。
「……っ」
静佳が小さくよろめいた。
「静佳?」
莉犬が気づく。
「大丈夫?」
「大丈夫!」
即答。
「ほんと?」
「ほんとほんと!」
静佳は笑う。
だが、顔色が少し悪い。
「……」
莉犬は心配そうに見つめる。
そこへ、心音が来た。
「静佳」
「なに?」
「ちょっと座ったら?」
「大丈夫だって」
「……静佳」
心音の声が少し低くなる。
「無理してない?」
「してない」
「本当に?」
「……本当に」
静佳は笑った。
でも。
心音には分かった。
この笑い方。
昔、自分が何度も見たことがある。
「……」
心音は何も言わなかった。
***
その頃。
別の場所では――
「湊音!」
「はい!」
「これ、そっちに運んでくれる?」
「任せて!」
湊音は段ボールを持ち上げた。
「よいしょ……!」
「おい、湊音」
おさでいが近づいてくる。
「それ重いだろ」
「大丈夫!」
「いや、俺が持つ」
「大丈夫だって!」
「お前の大丈夫は信用できない」
「ひどい!」
そう言いながら、湊音は段ボールを抱えたまま歩く。
その瞬間。
ガタッ。
「わっ!」
段ボールが傾いた。
「湊音!」
おさでいがすぐに支える。
「危ない!」
「……ごめん」
「だから言っただろ」
「……うん」
そのやり取りを、偶然見ていた人がいた。
「……?」
あっとだった。
「今の……」
おさでいの慌て方。
湊音の反応。
なんだか――
兄弟みたいだった。
「……いや、まさかな」
あっとは首を振った。
「考えすぎか」
***
撮影が始まった。
みんながカメラの前に集まる。
「それじゃあ、いきまーす!」
スタッフの声。
「3!」
「2!」
「1!」
「スタート!」
撮影中は大盛り上がり。
湊音も静佳も端の方で楽しそうにしていた。
ところが。
「……」
静佳の足元がふらついた。
「……っ」
なんとか踏ん張る。
でも。
次の瞬間。
「静佳!」
心音が駆け寄った。
「大丈夫!?」
「……大丈夫」
「顔真っ青だよ」
「平気」
「平気じゃ――」
心音が言いかけた瞬間。
静佳の母親が走ってきた。
「静佳!」
その声には、明らかな焦りがあった。
静佳が顔を上げる。
「……!」
二人の目が合う。
母親は一瞬だけ、しまったという顔をした。
そしてすぐに表情を戻す。
「……大丈夫?」
「うん」
静佳は小さく頷く。
「ちょっと休みなさい」
「でも……」
「静佳」
今度は少しだけ強い声。
「休みなさい」
「…………うん」
静佳は素直に頷いた。
その様子を見ていた心音は――
完全に違和感を覚えた。
「……」
どうして。
あの人は。
静佳のことになると、あんな顔をする?
***
休憩室。
静佳がソファに座っている。
「……疲れた」
ぽつり。
いつもの静佳なら絶対に言わない言葉だった。
母親が水を渡す。
「飲んで」
「……ありがとう」
「無理しちゃ駄目でしょう」
「……ごめん」
「謝らなくていいの」
母親が優しく頭を撫でる。
「頑張りすぎなくていいのよ」
「…………」
静佳は少しだけ目を伏せた。
その時。
ガチャ。
「静佳?」
ドアが開いた。
「……心音」
心音が立っていた。
「大丈夫?」
「うん」
「本当に?」
「……うん」
心音は静佳の母親を見る。
母親も心音を見る。
一瞬。
二人の間に沈黙が流れた。
「……あの」
心音が口を開く。
「静佳って――」
「心音!」
突然、廊下から声がした。
「心音、ちょっと来て!」
Lapisだった。
「……あ、うん!」
心音は振り返る。
そして最後に、静佳を見る。
「あとで話そう」
「……うん」
ドアが閉まる。
静佳はホッと息を吐いた。
「……危なかった」
母親も小さく頷く。
「そうね」
「お兄ちゃんにも言わないと」
「ええ」
「……でも」
静佳は少し笑った。
「心音、気づき始めてる」
母親は黙った。
***
一方、廊下。
「心音、どうしたの?」
Lapisが尋ねる。
「……」
心音は振り返って休憩室を見る。
「……やっぱり変だ」
「何が?」
「静佳と、あのマネージャーさん」
「?」
「……何かある」
その頃。
反対側の廊下では――
おさでいも湊音を見ていた。
そして。
湊音もおさでいを見ていた。
二人とも同じことを考えていた。
――そろそろ、隠すのが難しくなってきた。
そして。
二人の秘密に気づき始めたのは――
心音だけではなかった。
「……湊音とおさでいって」
ころんが小さく呟く。
「なんか似てない?」
その言葉を聞いた莉犬が振り返る。
「……え?」
そして。
静佳と心音。
湊音とおさでい。
二組の秘密は――
少しずつ、少しずつ。
みんなの目の前に姿を現し始めていた。
コメント
1件
めっちゃ気になる展開すぎる…!!😭💕 静佳の顔色が悪くなるのと、心音の「この笑い方、昔見た」ってとこ、もうエモすぎて泣ける。母親の焦り方も絶妙だし、湊音とおさでいが兄弟っぽいってあっととこころんが気づき始めたのも熱い…!二組の秘密がじわじわバレていく感じ、めっちゃ好きです!!次どうなるの!?待ちきれないよ〜!!🌸
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