大丈夫
赤愛され
紫赤気味です
状況が少し前のお話となります
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作業も終わらせて、倒れ込むようにベッドに入る。
目を瞑る。
頭を休ませて、脳を全て空にする。
今日あった事も、過去悩んだ事も、思い出も全部。今だけは全部、全部忘れる。
ふぅ、と息を吐き、息を止める。
全ては夢に期待を寄せて。希望を抱いて。
ゆっくり意識を手放した。
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「それは無いでしょw」
「WWWWWWW」
「WWW酷すぎWWWWW」
「ww__ぇ、っ……なー、くん、?」
「…え、」
「……」
「……ごめんね、」
「…っまって!!、」
思い切り腕を掴み、離さないように握る。
苦笑いを零していた君は驚いた顔をした後、静かに俯く。
「………」
「…おれたちに、わるいって、思ってるなら、まって、」
_
「…………」
「……おれ、今がんばってるんだ、ぁ、」
ヒカリエから少し出て、お洒落な喫茶店に2人で座る。
頼んだ紅茶を流し込み、ゴクリと飲み込む。
苦いなあ。お砂糖、もっと沢山入れようかな。
なんて言う紅茶だったかな。なんでも変わらないか、俺には紅茶の良さはやっぱりわからないな。と思う。
心を落ち着かせ、唾を飲み込んだ。
口には紅茶のよくわからない苦さと、君のよく知っている優しい味がふわりと広がっていた。
君のこと、知ってるよ。
たくさんたくさん、知ってるよ。
だからね。俺たちのがんばりも、少しは見てほしいなぁ、って。
気まずそうに目を伏せる君に目をやる。
「……し、ってるよ、」
「見てくれてるの、?うれしいなぁ、」
「………」
皮肉だなって思った。自分でも。
でもいい、仕方ないの。こうでもしないと、君はきっと見てくれないから。
「あの、ね、……なーくんには、もうちょっと休んでほしいなぁ笑、って」
「…へ、」
「なーくんが望んでるすとぷりになれてるかは、わかんないけどさ、…みんな、がんばってるんだ」
「……うん、しってる」
「…たくさんたくさん、がんばってるの」
「………うん」
「だから、さ……、ちょっとでもいいから、見て、ほしいなぁ、って、」
「………」
「……………なーくんってさ、今の俺たちを見ようとしたことある?」
「……っ!」
勢いよく顔を上げた彼と目が合う。
酷く驚いたような顔をし、またひとつ、哀しい顔を見せる。
「いいんだ、いいだよ、大丈夫。…未来の話、すごい楽しいから、」
「…っごめ、俺…!!」
「…分かってくれたらいいの、笑」
「……紅白もみんなで全力でがんばるからさ、絶対見てね、?笑」
「うんっ、うん、絶対見るから、っ」
「っへへ、泣かないでよ、笑」
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目を大きく開き、体を勢いよく起こす。
額についた生暖かい汗がまた、つう、と流れる。
ひゅ、と弱く喉が鳴る。
どこに向ければいいか分からない怒りにまた、空気を呑んだ。
「……なにが、大丈夫なんだよ、、笑」
ガシガシと頭を掻き、目を伏せる。
ぽっかり穴の空いた心を埋めるように入り込んでくる酷い妄想に、またひとつ、涙を落とした。
ベッドから起き上がると、落ちてしまっているグッズが目に入った。
そのアニマルぬいを片手に持ち、元に戻そうと立ち上がる。元あった場所に目をやると、少し気になるものがあった。
何だか見覚えのあるそれは、少し大きめなサイズのどこにでもありそうな普通のメモ帳だった。
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27歳の俺へ
生きていますか。
人生を楽しんでいますか。
俺が抜けたすとぷりのその後とか、俺としての人生とか。
色々聞きたいことはあるけれど。
莉犬を辞めて、後悔していませんか。
今の俺は、とっても楽しいです!
まだやりたい事が沢山あります
もし、まだ莉犬を全うしていて、辞める事を躊躇しているのなら、もう少しだけ、待ってくれませんか。
あなたのこれからの人生が、幸せで溢れてますように!!
2021 5/24 23の俺より。
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未来の俺へ
どうすればいいですか。
これから、どう歩めばいいですか。
東京ドーム、6人で立ちたかったな。
過去の俺より。
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27歳を超えた莉犬へ
過去の俺は手術が終わりました。
ちょー辛いです。
でもがんばってます。えらい?
沢山悩み考えました。27歳から先も、莉犬としてがんばるために。
俺に幸せになってもらうために。
この選択は、間違えていますか?
例え間違っていたしても、幸せだったらいいかな。なんてね笑
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「……っ、笑」
懐かしいなぁ、という余韻と共に、なんとも気恥しい気持ちになる。
「__あれ、?」
そのままペラペラと捲っていると、俺宛ではない手紙に目を留めた。
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なーくんへ
沢山救ってくれて、ありがとう。
沢山頑張ってくれてありがとう。
なのに
裏切って、最低。
ひどいよ
さいていだよ
なんでなの
何をしたかったの
なーくんの考えも
なーくんの想いも
なーくんの見ている未来も
なんも、わかんないよ
おしえてよ
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そんなことを思った。一瞬だけ。
なーくんにそんな事思ったの、初めてかも。ごめんね、許してね。
でもね、でも好きなんだ
俺が許すとか許さないとか、そんな権利なんてないし、許すも何も無いなって思うよ。
君が、なーくんが俺を沢山救ってくれたんだよ。
その事実は何も変わらなくて、宝物だから。
俺は貴方に沢山の恩を借りた
なーくんから借りた恩は、たぶん一生返せないんだと、俺は思います。
でも、きっと恩とか、どうでもいいんだよね。
今俺がやるべき事はがんばること。
俺は居場所を守りたい。いつでも暖かく歓迎したいから。
見ててね、なーくん。
___
「………っ、なーく、ッ」
「ひゅ、は、っひゅ、ぅあ、っ」
なーくん、なーくん。
ねぇ、きいてよ。
数え切れない程の幸せと、流した涙と、笑い合った過去と。沢山の思い出が記憶の中で反芻する。
きゅっと喉が閉まる。
次第に呼吸が荒くなっていき、視界がぼやける。
「っ、はひゅっ、ッぅ、
やっぱり、っむり、だよ、」
___
午前10時。
時刻は会議と約束していた時間を大幅に過ぎていた。
にも関わらず未だ莉犬が来ていなく、額に汗が滲む。
嫌な予想が頭を過ぎ、軽く舌打ちをし無理矢理唾を飲み込む。
貧乏揺すりが止まらない。
「……っ、ねぇ、さとみくん…、」
「……家、行くぞ」
「…そうですね、急ぎましょう、」
___
合鍵を差し込み、左にグッと捻る。
中はシンとしていて、俺の嫌な直感が今正に的中しようとしていた。
「……!莉犬…っ!!!!」
「……っ!は、やだぁ、っひゅ、ぁッ、」
「大丈夫、大丈夫だから、ゆっくり息して、」
「ね、大丈夫、大丈夫。」
抱き締め、背中を出来る限り優しく触れる。
莉犬は酷く震えていて、何かに恐れているようだった。
少し押さえ付けるような形になってしまい、慌てて力を緩める。
すると莉犬はジタバタと暴れ、部屋の隅に行ってしまった。
莉犬が離れてから気がつく。俺の手は少し震えていて、深く深呼吸をする。
我慢しないでって言ったのに。
__大丈夫だよなんて言って笑うから。
「やだ、!やだ、あっ!!」
「莉犬、落ち着いて、ね?」
「っ莉犬!!」
「ひぅ、!?こないで、やだ、っひゅ、」
「りいぬくん、」
「っ、りいぬ、るぅとだよ。わかるかな、?」
「いやだ、ぁ、!こないで、っひぅ、」
「……っ、」
「……、りいぬくん、!ぼくだよ、ころんだよ!なにが怖いかおしえてくれないかな、?」
「ひくっ、ぅやだ、ごめんなさい、っちがうの、」
「うーん、なにが違うのかな、?」
「やだ、やだぁ、!ひゅ、かひゅ、!!」
「莉犬!ちゃんと呼吸して、大丈夫だから、誰も莉犬がいやなことしないよ」
「ひ、ゃあ、やだぁ、ひくっひゅぅ、」
「………ちょっと莉犬みてて。」
「え、あわかり、ました、…」
「大丈夫、大丈夫だから。」
「………ッ、うん、」
「__莉犬ん家。今すぐ来て。…お願いします。」
___
「やだ、やだ!こないでっ、」
「…っ、どうすれば、」
ちょっと莉犬見てて。と言い部屋を出て行ったさとみくん。
僕達なにもわかんないんだけども、
「りいぬ〜、大丈夫だよ〜こわくないよ〜、?」
恐る恐る近づくるぅとくんを横目に僕は正直、すごく焦っていた。
僕子供なんて全然好きじゃないし、幼児退行に近いような状態の莉犬くんをどう相手すればいいのかさっぱりわからなかった
相手が莉犬くんというのもあり、焦り不安等の感情はは段々と加速していた。
「やだ、やだ!ひっ、…なーく、」
「……っ!?……なーくん、?」
「ひぅ、っごめんなさい、ちがう、っひゅ、かひゅッ」
「……ぼく、電話してみる、!!」
ガチャ
「りいぬ〜もう大丈夫だよ、りいぬの大好きなひとが来てくれるって」
「ひぅ、や、ぐす、っ」
電話を試みようと履歴を漁っていると、さとみくんが帰ってきたようでまずは一安心をする。
「あのっ!さとみくん…」
「ん、?」
「りいぬくん、あの、…えっと、っ」
「莉犬は大丈夫だよ、もう大丈夫。」
そう微笑み、莉犬くんに近づくさとみくん。
先程までの表情とは違った、心の底から安心し切ったような顔をしていて、それ以上は聞き出せなかった。
ガチャ
「莉犬くんっ、!!」
「…!なー、くっ」
「莉犬くん…ごめん、」
「なーく、っぐす、こわかった、あっ」
「うん、よく頑張ってくれたよ、ありがとう」
「ひぅ、りいぬがんばったよ、っひく、」
数分経つと、ななもりさんが来た。
驚きと、なんでいるのという疑問は さとみくんの先程言っていた「大丈夫」と重なり、暖かい安心感に包まれた。
「…どうして、なーくんだって分かったんですか?」
「……莉犬、なーくんの事大好きだからさ。」
「無理、させてたのかな、」
「…違うと思いますよ。」
「え、?」
「……違うと思います。」
「…なーくん、会う度に未来の話してたからじゃねえかな。なんとなく。」
「僕もそれだと思います。…もっと、今を見て欲しかったんじゃないかな、」
「……そっか。」
「…………よかった、」
「…あぁ。」
抱き締め合う2人をみて、涙が優しく頬を濡らす。
やっぱりみんな、貴方が大好きなんだよ。
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これはただ、自分の心を落ち着かせるための作品だと思います。
こうあって欲しいと、少しでもこう思っていて欲しいという願望です。すみません。
事実は何も分かりません。
コメント
6件
時差コメ失礼します🙌🏻 彼が帰ってくるまでにわたしが感じていたことと重なる部分があって泣いてしまいました。このままだとわたしも彼がいるはずの場所に戻れない気がして、どうすればいいかわからない思いがずっと続いていたのでこの作品を見てわたしもなんだか少し落ちつく感じがしました。すてきな作品ありがとうございます( ՞. ̫.՞)"
時差コメごめんなさい! めちゃくちゃいい物語でした!ありがとうございます! (いいね524にしときましたw)
いま僕が思っていた感情を代わりに言い表してくれてるみたいで読んでてちょっと泣きかけました 最近追っててよく分からないなー、なんて思いながらもそれでも好きだからってなってる状態でぐちゃぐちゃしてたので 作品最高でした、ブクマ失礼します🙏🏻💭