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6 - BODY&SOUL

2025年03月07日

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「劉鳳」

「シェリス、あの男の処遇は?」

会議室ではモニターに映る生体実験のサンプルが表示されている。カプセルのイーリャンにアルターの反応は見られない、絶対知覚。隊員達は目を丸くする。

「体制を立て直せ、クーガーと隊長に連絡を。それと」

「分かってる」

耳障りな叫び声が近付いて来た。

「だから学習能力の無い生成AIは米国から偏見の目で見られる!地方遠征に向かえ、何事も智慧だ!!」

「クーガー!アルター狩りは?」

早口で責め立てる闘争心に火に油が注がれた。

「劉鳳!理と証とは合致寸前の確信!もっと社会勉強だ!いいか、男はモラルや良識より魅力によって信頼関係が保たれる!!」

「……」

「故に女性関係の私情を挟むなど以ての外だぞ!?責務勤勉度量夢想精神……etc」

「はあ」

シェリスが劉鳳に密かに耳打ちする。

「不憫ね……フラレたショックかな」

「任せろ」

廊下から見下ろした観葉植物のジオラマが三人を静かに歩ませる。

「落ち着け……その場しのぎを止めろ。政府の協議会ではネイティブの断罪は公には発表しないと約束済みだ」

「優越感に浸る……人生風向き良し、ドーパミン分泌♬心身の栄養ね」

「絶影が呟いた。耐え凌ぐしか最早方法は……」

「クーガー!」

スマホアプリで地図の情報が検索された。目的地まで幾時間!基地の外はあいにくの雨。

「乗れ」

「桐生さんに合わせる顔が無い!デートプランの立て直しだ!!」

劉鳳の眉間が動く。シェリスは勘付いた。

「そういう系」

「大学の頃言っていた夢想のロマンスの追求=新世界のハッピーエンド……唆られる」

ワイパーが水を弾く視界の上の鼠色の空は薄暗い、刻んでやる……

「狩るぞ!罪人に手錠を!!」

「安全運転は〜!?」

「ハハハ!サボタージュも悪くはない!!律儀に従うもまた正義ってね」

床下浸水の雨音が車体をひしゃぐ……ネイティブの残党!呑気に飲み会か、命紅!!

「オーバードライブ!!アルター解放!!」

クーガーの能力が発動した。本土の西区に警鐘が鳴る!ライダーの少年は振り返り風になった。

「またしても……敵意!」

「子供相手にムキになるな。余裕を持て、力を過信しすぎて依存症になっているぞ」

クーガーは車を破壊して広場に出る。

「バトル・ファイトは終わらない!パズルのピースは合体完了!!人生諦めも肝心さ!」

「……だから?」

オーバードライブが少年・輝の身体を射止めた!

「カゲロウ!せめてもの償いだ」

「遅ィ!!」

鬼ごっこも佳境。出来レースは境界線上の虹の架け橋となり大地と天に光を差し伸べた、瞬間輝は失速する。

「HOLY……犠牲者の弔い合戦」

「クーガー。大丈夫か?」

絶影が彼を支える。隊長の面目は晴れない、シェリスは圏外のスマホにドライバーの顔色を伺う。

「聞いてないわよ、自費なわけ?」

助手席の警察の一人が手を挙げて降参する。

「情けない!それでも大人!?劉鳳を呼んで!!」

ジグマールのノートパソコンが逆スパイの後始末を探知した。都市部は救急車のサイレンが鳴り響いて止まらない。

「見ろクーガー。これが戦争だ。無関係の人が次々と傷付いていく……だから俺は何度でも誓う」

「桐生水守、シェリス、どっちにだ?」

「明日の太陽に聞け。帰って反省会だ、頭を冷やすぞ」

「色男は多忙なこと」

「無理ゲー……ずさんな衛生管理。日本も地に落ちたものだ」

無常矜侍の隊長とのLINE通話は途中で途絶えた。これが聖戦−ジ・ハード−。世も末……

警察もHOLYもまだ知らぬ世界の真理。

「YES OR NO?」

カズマは貪り食う。夢の中はいたって下らない、これが人間……進化の言葉を。

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