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side.ジヨン
悩みに悩んで悩みまくった結果、結局マンスリーマンションを借りた。1ヶ月と言い張るスンヒョンに3ヶ月がいいと騒いだ結果、間をとって2ヶ月契約。「お前1ヶ月でいいってあのとき言ってなかったか?」と久しぶりの再会の日に言った俺の言葉をまさか覚えていたようで。確かに言ったけど誤魔化すために無視した。
マネージャーと手分けして荷物を運び、やっと荷解きを終えた。家具家電は揃ってるから思ったより時間はかからなかったが、趣味である洋服が多くクローゼットの半分より少し多く使ってしまった。怒られるかな?でもまあ早いもん勝ちということで…楽しみすぎて勝手に早く来てしまっただけなのだが。
あとは休みの日や仕事の息抜きでよく読む雑誌と、小説と漫画が何冊か。活字を読むことはとてもいいことだ。この表現方法綺麗だなと感心することもあるし、こんな言葉回しがあるのかと新しい発見に繋がる。実際自分の作詞活動に活きたことも何回もあった。
「……あ」
俺は基本的に綺麗好きである、と思う。が、なぜか読みかけの雑誌や本だけはそのままにして積み上げる謎の癖があった。大体そうなるきっかけは、ふとした瞬間にいい歌詞や言葉が思いついて、忘れないうちにメモしようとするからだ。それがなにかを読んでる途中に発生することが多い。だからそのままになってしまうのだが、昔はよくそれをスンヒョンに怒られたっけ。
「まだあの癖やっちゃうんだよなー…気をつけないと」
でも久しぶりに彼に怒られてみたい、なんて。ちょっと…本当にちょっとだけ、思わなくもない。
程なくてスンヒョンが現れた。思ったより荷物が少ない。
「…随分早いな」
「うん、楽しみで早く来ちゃった」
そう答えると彼は驚いたような顔をしたあと、眉間にシワを寄せ目線を逸らした。よく見るとちょっと耳が赤い。一見不機嫌に怒ってる風に見えるけど、これはただ照れてるだけ。昔から変わってないそれに思わず笑ってしまう。
「何笑ってんだよ」
「ううん、なんでも?」
彼はうろうろと部屋を歩いたあと、クローゼットを開けた。そこは俺の服で半分以上埋まっている。ピクッと彼のこめかみが動いた。
(おい半分以上とるなよ)
って怒られるかなと一瞬身構える。が、想像に反して、彼はフッと息を吐き出すように小さく笑った。
「……変わってないんだな、服が好きなの」
「!」
胸がきゅーっとする。
目を細めて、長いまつ毛が揺れて、昔を懐かしむように微笑む彼に、心臓が跳ねてそのまま飛んでいっちゃいそう。
「……スンヒョンヒョン、」
「わっ」
たまらず腕を伸ばしてその身体に抱きついた。久しぶりに感じた彼の体温、匂い。あの頃よりも逞しくなった身体、でもウエストは細くて、伸びる手足が長くてしなやか。どう表していいか分からない感情が湧いてきてなんだか泣きそうだった。
「……おい、」
「……」
「離せよ」
「……」
「…………ジヨン?どうしたんだ」
なにも答えない俺に、彼が少し心配そうな声で聞く。離せといいながら、そうやって隙を見せるところが堪らない。やっぱり君は優しいね。
「…………ううん」
思いきり息を吸いこんでからゆっくりと離れた。どうしたんだって、そんなの。
「………なんでもない」
ずっと会いたかった。ずっと想ってた。ずっと好きだったし、今も大好き。
それは今はまだ、言えないけど。
「改めて、これからもよろしくね」
そう言って差し出した右手を、スンヒョンは小さく頷いて握った。
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コメント
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うわっ、第3章1話…!ジヨンの心情描写がすごく細かくて刺さったわ。 特に「まだあの癖やっちゃうんだよな」からの、久しぶりに怒られてみたいっていう気持ち、分かるなあ…って。で、実際に会ったときのスンヒョンの「変わってないんだな」って微笑みからの抱きつきシーン、胸がきゅーってなった。ずっと会いたかったんだなって伝わってきて、こっちまで泣きそうになったよ。でも言えない「大好き」が切ない…次が待ち遠しい🔥