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〜18日目〜


「は?」


雑草。俗に言う猫じゃらしを持って、まふゆはこう言った。絵名は猫に似てるね──と。


「昨日テレビで見たの」

「何を?」

「猫を」

「そう。」


で、私に似ていた、と。

それで猫じゃらしを用意した、と。


「は?」

「はい、にゃーん」

「は?」


そしてまふゆは用意していたのか、ビニール袋から猫のカチューシャを取り出し、私に取り付ける。


「本当は茶色がよかったけどなかったから、黒で我慢してね」

「馬鹿にしてる?」

「絵名、猫じゃらしだよ〜」

「雑草持ってくるな!」

「…………」


なんだ、その目は、なんだ、その顔は。

優しい、のだ。目が。その、慈悲の心に溢れているような、こちらが申し訳なくなるような目。私は、人間としての価値を無くしてしまったのだろうか。いやこの一晩の間に、何故私はこんな立場になっているのだ。


「何か言われると思って。ほら、おもちゃの猫じゃらし。買ってきたんだよ」

「わーい、嬉しい〜。……ってなるわけないでしょ! なんでそんなもの買ってきてるのよ!」

「絵名が猫に似てたから。自撮りに使っていいよ」

「それ言えばいいとでも思ってるの?」


しかし、写真は撮らせて頂く。カチューシャを付けた私に価値が無いわけない。


「あ、猫じゃらしこの辺に垂らしてくれない?」

「やっぱり撮るんだ」

「うるさいわね、協力しなさい」

「じゃあ……」


またビニール袋の中に手を入れて漁る。私は取り出された物に止まる。


「え……」

「これも付けよう」

「く、首輪……?」

「うん。いるでしょ?」

「かもしれないけどほんとに?」

「付けてあげるよ」


まあ、確かに。猫に付けるなら、いるとは思うけど。コスプレ精神がまあ強いことで。でもそれってチョーカーとかと違って、人間用とかには見えないんだけど。犬用、みたいな。そもそも猫じゃらしは人間に使うものじゃないから、まふゆ理論では今更だったのかもしれない。


「最近の百均って凄いんだね、驚いた」

「そうね……」

「はい、出来た。似合ってるよ」


不意に優しい表情になるまふゆ。

私はその顔に弱い。すぐに許してしまおうという気持ちになってしまう。こんな扱いされてるのに。あれ、案外私ってちょろ……


「絵名」


名前を呼ばれたので、目線を上げる。するとパシャリという音がすぐに聞こえてきた。手に持たれているのは、スマホ。


「え、ちょっ、見せなさいよ!」

「はい」

「盛れてない! 消して!」

「絵名の盛れって別人じゃん……」

「はぁぁぁぁあ!?」


カチンときた。今はどんな顔をされても許せない自信がある。スマホを取ろうと手を伸ばすと、すぐに避けられた。私の行動を理解していたのだろう。

結局、まふゆからスマホを奪い取り、削除することはできなかった。

100日後に付き合うまふえな

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