※実際の団体、個人とは無関係です。
※ボイドラ時空でお送りします。
※成人向けに準ずる表現があります。ご注意ください。
※その他捏造した設定が多く含まれます。
うっすらと浮上してくるような感覚を覚えた奏斗が薄暗い部屋の中で目を開ける。すると、目の前に紫とピンク色の髪があった。
おそらく、というより絶対に雲雀だ。体を丸めて眠っているためちょうど奏斗の眼前に頭が来ている。
ふさふさの豊かな毛を蓄えた尻尾を抱いてすやすやと眠っている。
「んしょ……はー、体だっる… 」
ベッドから降りるため雲雀を跨ぐと少しだけ彼が身じろぐ。特に気にも留めず、奏斗はそのまま仮眠室を出ていった。
中央の部屋、普段皆でよく集まるソファーには見覚えのある赤い羽織が掛けられていた。確か奏斗が仮眠室に入る前にはなかったはず、ともなれば雲雀との慰め合いの最中、それか二人が寝た後にこの持ち主が来たことになる。
鍵を掛けた…とはいえ、4人全員が合鍵を持っているので致し方ない。仮眠室にまで来なかったのが不幸中の幸いだ。
奏斗は手を伸ばして赤い羽織を撫でて、それから胸に抱いてみる。ただの服だ、でも、なぜか奏斗には一等特別なものに感じる。
頭の中の奏斗自身はやめろと警鐘を鳴らしているにも関わらず、体はいうことをきいてくれない。
我慢できず、顔を埋め、一呼吸、羽織についた匂いを脳まで届くぐらい深く吸い込む。一度許してしまえば止まらず何度も繰り返してしまった。
「…っはぁ、……すー…っ、は、すぅ……」
ぎゅうっと強く赤い羽織を抱いてその場へとしゃがみ込む奏斗、その頭の上ではぴょこぴょこと猫耳だけが四方を警戒している。
だが、匂いに夢中で音だけを聞いていた奏斗にはその羽織の持ち主が気配や音を消せることを失念させていた。
昨晩、手当もせず事務所へ戻ったせいでアキラからこっ酷く叱られたセラフ。今朝も怪我をしたらすぐに言えと再三釘を刺され、不貞腐れたまま朝のランドリーへ訪れた。
玄関には鍵がかかっていたので窓から中を見る、だが誰もいなかった。身を隠している様子もない。不思議に思いながらそのまま窓から入ると微かに残る香りがセラフの嗅覚をくすぐった。
匂いを辿って仮眠室へ近づくとうっすらと扉が開いていた、そっと様子をうかがうと狭いベッドから2匹分のふわふわな尻尾がだらりと垂れていた。
雲雀と奏斗だ。だが、どちらも着衣は酷く乱れ、下半身を中心にどろりとした液体が肌を艶めかしくさせていた。
「ランドリー使ったんだ、ふたりとも……」
セラフは彼らがΩであることを先日の件で知ってしまったため、さほど驚きはしなかった。
だが、この匂いが充満する部屋にずっといればさすがのセラフといえど、正気を保っていられる保証はない。一度ここから出なくではいけない。
「……そういえば…、」
引き返そうと窓へ片足を掛けたセラフだったがふと思い立ち、自身の羽織を近くのソファーへと脱ぎ捨てた。
意味が無いといえば無い。
ただちょっと期待をしてしまっているのかもしれない、彼が本能で自分を求めているということを。
事が済むとセラフは窓から外へ飛び立った。
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