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四季
ソ連は息を少し長めに吐く。
その吐息はすぐさま周りの温度によって白く染め上がる。
その気霜を目で追う。
彼はよほど暇なのか、ベンチの背もたれへ姿勢を崩しもたれ掛かる。
少したった後、ずるり、と腰を下へとおろす。
一見すると無表情のソ連の目にも少々退屈の二文字が見えそうなほどだ。
そしてまた息を吐いて白くなったそれを眺むという遊びに興じる。たいして楽しそうではない。
ソ連が退屈を持て余しているとその時、
「おーいっ!ソ連!すまない、すまない。父さんに使いを頼まれて、遅れてしまった」
少し軽い調子で青年がやって来た。
そう、彼こそソ連が待っていた相手だ。ソ連はこの日、彼と遊びの約束をしていたのである。
「おせーよ。ドイツ」
「いやー、本当にすまない。ぱぱっ!と、終わらせて来るつもりだったんだがね。何か奢るよ」
「ウォッカ」
ソ連はそう言いながらベンチから立ち上がる。
「またかい。良い加減禁酒してみてはどうかね。君はいつも気だるげだし、睡眠も質が良くないのだろう?中毒ではないのかい?」
ドイツは心配そうにソ連の顔を覗き込む。
「うっせーよ」
そんなドイツを他所にソ連は歩き始める。
「まったく君は…」
ドイツもソ連の後を追い、隣に並ぶ。
それを無視しソ連はまたもや息を白くする。
「あ、それ!知っているかいソ連。白息はな、中の水蒸気が空気の中にあるエアゾルに集まって小さな水滴を形成し、それらが沢山集まって光が乱反射することで白く見えるんだ!どうだい。驚いたろう」
ふふん、とドイツはいつもの様に己の知識をソ連へひけらかす。聞く者が聞けばその誇らしげなドヤ顔と鼻につく上から目線の物言いに不快を覚えるだろう。
だがソ連はそんな行動も彼の特性の一つで良い物と考えているため不快そうではない。
「えあぞる、って何だ?」
「へっ!え、知らないのかい。やー、参った参った。びっくりしたよ。エアゾルはね、小さな空気中の埃のことさ」
「へぇー、成る程ね」
ドイツはすっとん狂な声を上げ驚く。しかしちゃんと説明してくれる辺り、性根の良さが伺える。そんなドイツに対し淡白なソ連。
そんな談笑をしながら二人は賑わう商店街へ入って行く。
まず目に入ったのは古本屋だ。少し店内の品揃えを眺める。
「わぁ!これ、私が欲しかった本だ!ソ連、少し買ってきても良いかい?」
「嗚呼、ここで待っとくよ」
「有り難う!」
花が咲くように笑顔で感謝をする。
ソ連はドイツが店の奥まで行くのを見送った後、軽く周りの店を見る。
「…ん?」
するとふと、ソ連の目に、あるネックレスが入った。
そのネックレスを売っている店へ近づく。
気になったそへは、細い銀の鎖に金の桜が愛らしくあしらわれた物だった。無駄な装備は無く、洗練された技術で作られたネックレス。
「桜…か」
それは桜で有名なかの島国を想起させた。
「おや、君が女物を眺めるとは珍しい」
ぬんっ、とドイツが突然横から顔を出しソ連が見つめていたそれを見た。
「───ッ!!な、何だよ別に良いだろ!!」
「そんなに怒ることかい?」
ドイツは軽く流しそれをまた見る。
「桜かい。そう言えばこの花が有名な国があったね。アジアの極東の島国だったか。そうか。ここはポーランドだったな。つい最近国交を結んだのだったか。そう言えば君と戦争した後にポーランド人を助けるのを手伝っていたね…名は確か…日本だったか?」
ドイツがスラスラと言葉を並べる。いつもなら興味無さげに応答するソ連だ、この時ばかりは違った。
「…日帝」
「ん?」
「大日本帝国。日帝。俺も最近国交結んだ…ほぼ二日前」
「えっえぇ!?そうなのかい!?」
ドイツは驚きに声を上げる。しかし、直ぐに合点がいったようだ。
「そうか…それで君はこれを見ていたんだね」
「うん」
「そういえば…この花、花言葉で優美な女性があるらしい。いやはや、その国もまるで女性の様だともっぱら噂だ。もしかして本当に女性だったりしてな」
「え…?女じゃないのか?」
「はっ……?軍事国家だぞ?女性なわけ…いや、待てソ連…君は何故あの国が女性だと思ったんだい?」
「体の動かし方」
「おー、なら女性かもな。嘘ついてたのか。いや、自分の身を守るためか…」
「…」
「…ふっ。彼女へのプレゼントとして買って行くかい?」
「!」
「君がそこまで心を奪われるとは。恋というやつかい?」
「…わからん」
「そうかい。じゃあ、機会があったら紹介しておくれ。父…ヴァイマル共和国はしばらく安泰そうだし。会うことは無いだろうからね。君の心をそこまで揺るがした相手には是非とも会っておきたい」
「…わかった」
「じゃあ、買ってきなよ。私は君みたいにフラフラするアル中では無いのでね。ここで大人しく待っているよ」
ドイツは嫌みったらしく言葉を吐く。
「うっせー」
そう返しながらソ連は店内へと入っていった。
これを渡したら、彼女はどんな反応をするのだろう。嗚呼、やった。きっと似合う。
そんな考えがぐるぐるとソ連の脳内を駆け巡る。
すっかり熱に浮かされてしまったソ連は自身の頭の内が日帝で染め上げられてることに気付かない。
まだ、この気持ちの名前を、ソ連は知らない。
いやーー、今回もここまで読んでくださり、感謝感激雨あられです!!(*≧д≦)
フォロワーさんも一気に増えてくださって…本当に有り難う御座います!好きな作家様読んでるとき、(作家様であってますよね?)チラリと自分のアカウントチェックしたら、ハートとかフォロワーさん増えてて本当にびっくりしてしまいました!皆様本当にありがとう!♡♡♡
今回、にてちゃんが全然出てきませんでしたね…次からはめちゃくちゃ出ますからお待ちください!(๑و•̀ω•́)و
では、また!
コメント
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すごく内容が好きだァァァァ(いきなりごめんなさい) 絵も上手で尊敬✨フォロ失です!