ほとんどカプ要素ないけど、
ソナチに見えるかもしれません。
歴史を個人的に解釈しています。
恐らく史実との若干のズレありです。
誤字脱字あるかもしれません。
ソ連視点で話が進みます。
死ネタです。
以上のことを踏まえた上で読んで下さい。
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「貴様などに私は殺せない」
「包囲されている奴が言うことじゃねぇな?」
見栄を張るな と、俺は奴に、ナチス・ドイツに銃を向けた。辺りは雪が降り積もり、寒さに慣れている俺でも、体は冷えきっていた。引き金を引くだけで、史上最悪の陸上戦―独ソ戦が終わりを迎える。自己暗示をかけるように、息を吸い込んだ。
「本当に殺せないか、試してやるよ」
そう言い放ち、引き金に指をかける。冷たい金属に、指先が触れた。
一切の光も無い眼がこちらを見上げた。
嫌な眼だ。殺した後は潰して山に棄ててやる。
もう一度、引き金に指をかけ直す。憎くて憎くて仕方がない相手が、殺したいと何度願ったか分からない罪人が、欧州を、世界を恐怖に陥れた悪魔が、やっと討ち取られるのだ。
「どうせ、殺せないさ」
ナチスは白い息を吐き、ギザ歯を覗かせた不気味な笑みを浮かべながら銃を取り出した。
そして――
自分の頭へと向けた。
「こうすれば簡単なことだ!」
「待て!!」
気がついたらナチスの腕に手を伸ばしていた。
しかし、ほぼゼロ距離での弾丸に間に合うはずもなく、銃声とグシャッ、という嫌な音が響き、ナチスは雪の上に横たわった。白い雪が赤く染まっていく。それを、ただただ見ているしかなかった。しばらく夢の中に居たような不思議な感覚がした。ずっと憎んでいた宿敵が死んだ。喜びと安堵と喪失感が、なだれ込んで脳を支配する。
ああ、死んだのか、と。
不可侵条約を持ちかけられたときのことは、鮮明に覚えている。笑いながらこちらを見上げる目、きたる大戦を黙認しろと示す条文、調印した瞬間の表情も全て。
「これは私とお前だけの秘密だ」
そう言い、周辺国の併合などを提案されたのを思い出す。おぞましいことなのだろうが、正直嬉しかった。例え敵であろうと、打算まみれの関係であろうと、嬉しかったんだ。
なのに、
その関係すら破棄された。
ナチスは英国を諦めて俺に侵攻した。最初は、信じられなかったし、 信じたくなかった。俺はどうするべきだったのだろう。ただ確かなのは、ナチスは最初から俺のことを信じていなかったということだ。ドイツ軍は驚くべき速さで進軍してきた。だが、それも長くはなかった。この地の冬は、幾度となく侵略者を凍てつかせた。それが、アイツを阻んだのだ。俺には最早停戦という選択肢はなかった。憎くて憎くて仕方がなかった。
そして、ナチスを殺したら、受け入れてくれると思ってしまったんだ。
世界から拒まれたこの 思い《主義》を
しばらくして、アメリカが大戦に参戦した。
正直腹立たしいが、アメリカの野郎が参戦してから、戦況はどんどん連合にとっていい方向に進んでいった。そしてアメリカとイギリスは軍をノルマンディー海岸へ上陸させ、ナチスに対して二正面作戦に持ち込んだ。
それからは、1年も経たずしてベルリンを包囲した。
もう憎しみしか残っちゃいなかった。
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「おい!聞いてるのか!?無視とか酷いぞ!」
しばらく放心状態にあったが、何度も聞いた大嫌いな声に現実に引き戻された。
「…なんだよ、なんか文句でもあるのかよ」
「やっぱお前ねじ曲がってるなぁ、」
ほとんど八つ当たりのような嫌味をぶつけてやると、アメリカは苦笑いを浮かべた後、こっちに近づいて来た。
「逆だよ逆!俺はお前を素直に賞賛してるんだぜ?」
「――は?」
「あのナチスに勝ったのは間違いなくお前の手柄だ。俺も協力したが、倒したのはお前だよ、お前は正義を果たしたんだ!」
「それは、、、いや、そうかもしれないな」
ナチスについてのことは、黙っておく方が身のためだと判断した。詐欺師の子は詐欺師。こいつは正義や自由を騙る詐欺師だ。適当にあしらっとくのが正解だ。そもそも自害については後から判明するだろう。
そんなことを考えていると、
「なあ!協力してくれよ!約束してただろ?」
よく通る声が響いた。
一瞬、何のことだか分からなかったが、アメリカの言いたいことをすぐに理解した。
「今、日帝と戦ってるんだが、アイツしぶとくてな。決定打が欲しいから協力して欲しいんだ!いいだろ?」
「わかってる、ヤルタ会談で決めたことだ。今更反対なんてしねぇよ」
「助かるぜ!アイツの狂気はお前もよく知ってるだろ?」
「まあ、な」
予想通りの話だった。日帝の狂気、確かによく知ってる。奴はシベリア出兵で中々兵をひかなかった。国際的な批判に晒されても。
「じゃあ待ってるぜ!親父と一緒に!」
「それを言われると行く気失せるな〜」
「流石に嫌いすぎだろ」
アメリカが帰ると、今まで忘れていた寒さを再び感じて、逃げ込むように家に戻った。
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また、あの夢か。
大戦は終わった。俺の思想は受け入れられつつある。だが、それも全てではない。戦後アメリカと対立して、この世界は俺とアメリカのそれぞれの勢力に2分された。イギリスは植民地が独立し、すっかり力を失った。ざまぁみろ。
「あの、同志、来てください」
声が聞こえた。声の主は俺の勢力下にある奴らの1人だ。
「分かった。いま行く、
東ドイツ」
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最後まで読んでくれてありがとうございました。今日はソ連崩壊の日なのでソ連メインのものを書きました。
少し場面切り替えを使いすぎたかも知れません。ソ連目線だったので偏りがちですが、あの時代あそこまで執着する方がおかしいのかも知れませんね。独ソ戦後の流れも史実通りです。
続きません。
コメント
2件
何故かセンシティブかかっちゃいましたけどセンシティブじゃ無いです
まって、最高すぎるのだがぁぁ✨️ まじストーリー展開が綺麗すぎて泣くッッ✨️