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なの

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unknown
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白黒猫

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コメント
3件
大森、藤澤視点の話も読んでみたいです!!
読み終えたわ!第11話、めっちゃ良かった……🔥 最初はギスギスしてた3人が、生徒会室の作業を通じてちょっとずつ心を通わせて、最後のセッションで完全にシンクロする流れが胸熱すぎる。 特に元貴が「僕を壊すくらいに」って叫ぶシーン、鳥肌立ったわ。 チーム名決めるところで終わったのも「次どうなるんだ!?」ってなるし、続きが楽しみすぎる。 🍏💕さん、このバンドの成長、しっかり見守らせてもらうわ🔥
「よし、作戦開始だ」
翌日の放課後。俺は教室の隅でヘッドホンをして「入るなオーラ」を全開にしている元貴の前に、仁王立ちで立ちはだかった。
「おい、元費。行くぞ」
「….どこに。今、サビのメロディが降りてきそうなんだけど」
元費は顔も上げずに、ノードにシャープペンシルを走らせている。そのペン先が、昨日よりも少しだけ迷っているように見えた。
「生徒会室だよ!先輩、今日も会議長引いてるらしいからさ。俺らで乗り込んで、さっさと終わらせてくるんだよ」
「はあ?….何言ってるの、君。僕たちが手伝ってどうにかなるような仕事じゃないでしょ、あれは」
元貴がようやく顔を上げて、じられないものを見るような目で俺を見た。
「なるんだよ!資料のホチキス留めとか、ポスター貼りとか、力仕事とか!俺たちが手伝えば、先輩がピアノに向かう時間が10分でも、20分でも増えるだろ?」
「….僕は音楽がしたいの。雑用をしに学校に来てるわけじゃない」
「音楽するためだろ!先輩が来なきゃ、三人の音は鳴らせないんだ。お前、昨日の今日で、また一人で寂しく弾くつもりか?」
「…..寂しくなんてない」
「嘘つけ!お前のそのノート、昨日から進んでないだろ。…..先輩のピアノが入る場所、空けて待ってる癖に さ」
元は図星を突かれたのか、バツが悪そうに視線を泳がせた。
「….若井、君は本当に暑苦しい。・・・犬みたいに尻尾振って、あちこち突っ込んで」
「犬で結構!ワンって言えばいいのか?ほら、行くぞ!」
俺は強引に元費の腕を掴んで立ち上がらせた。
「…ちょっ、引っ張らないでよ!ノートが破れる….っ!」
「いいから!ほら、ケースも持て!終わったらそのまま音楽室に直行だ!」
「失礼します!!」
俺が勢いよく扉を開けると、、中では澤先輩が青い顔をして、大量のプリントの東と格闘していた。
「えっ….若井くん!?それに、大森くんまで…..どうしたの、二人して?」
「先輩!助っ人登場です!そのプリント、俺たちが全部やりますから!」
「…若井がうるさいから。早く終わらせて、一秒でも早く音楽室に来てほしいだけ」
元費はぶっきらぼうに言いながらも、先輩の机の上に置かれたホチキスの針をチェックし始めた。
「二人とも。…ありがとう。本当に、助かるよ」
先輩の目が、ぱあっと明るくなった。その笑顔を見た瞬間、俺は「勝った」と思った。
「よし、元貴!お前はそっちの資料の整理!俺は掲示板の張り替えやってくる!先輩は、その間に一番大事な「会長の仕事」終わらせちゃってください!」
「..はいはい。若井、そこ、向きがズレてる。やり直し」
「細けーな!でも、そのくらい厳しくやってくれた方が助かるぜ!」
三人で作業をしていると、あんなに重苦しかった生徒会室の空気が、少しずつ軽くなっていくのがわかった。
大森も、最初は面倒くさそうにしていたけど、先輩が「大森くん、助かるよ」と声をかけるたびに、少しずつ手の動きが速くなっていく。
(….いい感じだな)
俺は窓の外を見上げた。
まだ少し時間はかかるかもしれないけど、今日鳴らす音は、きっと昨日よりもずっと澄んでいて、熱いはず だ。
「先輩!これ終わったら、新曲のイントロ、昨日言ってた「爆発する感じ』でお願いしますよ!」
「ふふ、わかった。精一杯、暴れさせてもらうね」
「….期待してるからね、二人とも」
夕暮れの生徒会室に、三人の笑い声が小さく響いた。
「….よし、これでラスト!」
生徒会室の机に積み上がっていた最後の資料をホチキスで留め終え、俺は大きく伸びをした。
時計を見ると、いつもより一時間は早い。
「若井、そこ、角がズレてる。やり直し」
「….っ、元貴!お前、最後まで厳しいな!でも、終わったんだからいいだろ!」
俺が文句を言いながらも顔を上げると、隣で作業していた元費が、少しだけ口角を上げていた。
あんなに尖っていたトゲが、今はもうどこにも見当たらない。
「ふふ、二人とも本当にありがとう。….おかげで、今日は心置きなく『藤澤涼架』に戻れそうだよ」
先輩が清々しい笑顔を見せた。その目には、もう「義務感」だけじゃない、音楽への純粋な渇望が宿っている。
「じゃあ、行きましょうか。最高のステージへ!」
俺たちは楽器を担ぎ、弾むような足取りで旧音楽室へと向かった。
放課後の柔らかな西日が差し込む部屋。
俺はアンプのスイッチを入れ、シールドを突き刺した。
元貴がアコースティックギターを構え、先輩がピアノの椅子の位置をミリ単位で調整する。
「….若井、昨日のサビ、まだ覚えてる?」
元貴がギターの弦を軽く弾きながら、俺を試すように見てきた。
「当たり前だろ!体が覚えてるよ。先輩、準備はいいですか?」
「….うん。いつでもいいよ。今日は、昨日よりもっと自由に、わがままに弾かせてもらうからね」
先輩が鍵盤に指を置く。その指先からは、もう迷いの震えはえていた。
「よし。…ワン、ツー、ワンツー、スリーフォー!」
俺の力強いカッティングから、セッションが始まった。
続いて、元の鋭いストロークと、突き抜けるようなハイトーンの歌声が重なる。
(….きた!これだよ!)
昨日までの「ギスギスした音」じゃない。
お互いの音を牽制し合うんじゃなく、情じて預け合っている感覚。
元費の歌が空中に放たれると、それを掬い上げるように、先輩のピアノが華麗なフレーズを奏でる。
「っ…元貴、ここ、もっといけるだろ!」
「言われなくても!…..涼架先輩、もっと鍵盤叩いて!僕を壊すくらいに!」
元費の叫びに呼応するように、先輩が立ち上がらんばかりの勢いでピアノを激しく鳴らした。
クラシックの「正しさ」を脱ぎ捨てた、放で、情熱的な旋律。
「….ああ、楽しい…..!!音楽って、こんなに自由だったんだね!」
先輩が弾きながら声を上げた。その笑顔は、生徒会長の時よりもずっと、一人の高校生らしく輝いている。
俺は二人の音の隙間に、魂を込めたチョーキングを叩き込んだ。
三つの音が、螺旋を描くように音楽室の天井へ昇っていく。
「………っ、はぁ………!!」
最後の一音が、夕闇に溶けるように消えていった。
しばらくの間、誰も言葉を発せなかった。ただ、三人の荒い鼓動だけが共鳴している。
「….完璧。…今の、最高だった」
元貴がギターを抱えたまま、ボソッと呟いた。その瞳は、少し潤んでいるようにも見えた。
「だろ?俺、鳥肌が止まんねーよ….。これがバンドなんだな」
俺は自分の指先の熱を噛みしめながら、二人を見た。
「…若井くん、大森くん。僕、気づいたよ。…君たちの隣にいる時が、一番僕らしくいられるんだ。生徒会でも、家でもない。ここが、僕の場所だ」
先輩が鍵盤から手を離し、晴れやかな顔で俺たちを見た。
「…..勝手に辞めるなんて言わせないから。…..僕の曲を弾きこなせるのは、君しかいないんだから」
元費が少し照れくさそうに、でもハッキリと言った。
その言葉を聞いて、先輩は子供のように、今日一番の笑顔で頷いた。
「よし….!名前、決めようぜ。この三人の、最強のチーム名を!」
俺は二人の真ん中に拳を突き出した。
窓の外には、一番星が輝き始めている。
不協和音だった俺たちは、今、世界でたった一つの新しい和音を奏で始めていた。
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