⚠️アメ日帝
戦時中のお話です。軽いキス表現あり。
とある街中の道路にて。
一台のFORDが、暗闇の中を走り抜けていた。
乗っていた男は運転しながら煙草を一本咥えて火をつけた。ふぅ…と立ち上る煙を横目で見送った後、とある人物の目の前で車を停めた。
サングラスをくいっと持ち上げ、片手を挙げて軽く挨拶する。
「Hey, Jap. How are you?
(やぁ、日ノ本。調子はどうだい?)」
挨拶された相手────大日本帝国は仏頂面を緩めることなく、視線だけ寄越して会釈した。
相変わらずの冷血漢だ、と肩を竦めてみると大日本帝国はピクリと眉を動かして、そっぽを向いた。
“冷血漢” と呼ばれるのが相当お嫌いらしい。
まぁわざとそう呼んでいるのだが。
「そんなに睨まないでくれよ。
あ、英語が分からないからつまらなかったのかい?(笑)」
「………..No way. I just don’t want to speak English.
(そんな訳あるか。私は英語を話したくないだけだ。)」
発音はまぁまぁ。だが外交で使うにしても申し分ないイントネーションだ。
敵対関係になる前はイギリスに教わっていたらしいが、その経験は今でも生きているらしい。
なら話は早い。
「それは悲しいなぁ。ま、別に良いけど」
「……用件を言え。くだらんことだったら叩き斬るぞ」
オレは悪態をつく大日本帝国との距離をぐっと縮めた。
少し面食らったような表情が新鮮で面白い。
警戒と嫌悪の瞳に、不安と焦りが入り混じる。しかしそれに構わず、俺は生意気な仔猫の耳元で囁いた。
「ッ米て──────」
「オレとランデヴーしようぜ。大日本帝国」
へ、と間抜けな声を出してオレを見上げる大日本帝国は、まるで迷子の仔猫のようだった。
戸惑う日帝の腕を引っ張って無理やり車に乗せた後。オレ達は向かい風を受けながら、マンハッタンの夜景を展望していた。
キラキラと輝くビル群が珍しかったのか、大日本帝国の頬は興奮で火照っていた。
そうしていると、まるで本当の子供みたいだ。
自慢の箱庭を披露できて満足したオレは、ハンドル片手に助手席へと話しかけた。
「どーよ、オレの自慢の箱庭」
「何というか…キラキラしてて、すごい。」
夢心地のように語る大日本帝国に、オレはもっと嬉しくなった。
………..いやいや待て待て。オレが一喜一憂してどうすんだ、あくまでこのデートはオレがリードしてcoolにキメるんだろ!!しっかりしろ、オレ!
心の中でそっと気を入れ直すと、オレは気持ちを落ち着かせる為に煙草を一本手に取った。
すると。
「…………….」
じぃっと赤い瞳がこちらを見てくる。視線を投げ返してやると、大日本帝国は僅かな驚きを滲ませて口を開いた。
「煙草、吸うんだな」
「あ、嫌だったか?嫌なら消す」
「いや別に。俺も吸わない訳では無いからな。
ただ意外だっただけで」
へぇ、真面目な石頭の此奴でも煙草吸うんだな。
….まぁ確かにそれくらいの娯楽が無きゃ、この殺伐とした世界ではやっていけないだろう。
血飛沫舞う戦場に長らくいると、いつか戻れなくなりそうだからな。
「オレが煙草吸うの、そんなに意外か?」
「お子様舌のお前は「そんなもんよりアイスの方がいい」とか言ってそうだったからな」
「そこまでkidじゃねぇよ!!」
フッと腹立つ笑みを浮かべる大日本帝国に、オレは少し仕返ししたくなった。
………..あ、そうだ。仕返しなら “イイこと” があるじゃないか。
「おい、ちょっとこっち向けよ」
「何だ急に。まさかお子様のあそ、び……ッ!?」
道路の端に車を停めて、桜色の唇を無理やり奪う。くぐもった声を漏らす日帝の腕を押さえつけて、少し長めに口付ける。
口を離した後によく見てみると、から紅の瞳に、欲に満ちたオレのCrazyな表情が鮮明に映し出されていた。
………..舌とか入れたかったし、もっとやりたかったけど今回はここまでにしておくか。
「ッ、….~~~~!?!?きさ、ま……っなにをぉ…..!?」
「HAHAHA, 純粋な仔猫chanには刺激が強すぎたかな?」
顔を真っ赤にして涙目になっている大日本帝国と、満足そうに笑うオレ。
傍から見たらすごい対比だろう。というか小児愛者の変態野郎として通報されかねない絵面だ。
だが、その時のオレはそれでも構わないと思った。
「なぁ、もし戦争が終わって平和な世の中が訪れたとしたらさ」
未だ真っ赤な顔をしている仔猫の手を取って、語りかける。
そうだ、これはオレのホンネ。
もし良かったら受け取ってくれると嬉しいな。
「その時は………..その時は、またこうして迎えに来てやるよ。」
ちゅ、と軽いリップ音が静寂を破った。
……はは、ちょっと手の甲にKissしただけなのにすげぇ真っ赤。コイツ絶対モテなさそうだし経験もないんだろうなぁ。
まぁオレが教えていけばいいんだけど!
「んじゃ、またな〜!
──────────── “日帝”。」
その後、戦争が終わった後に一組のカップルが成立したのは、言うまでもないだろう。
𝑒𝑛𝑑───────────♥♡
コメント
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この作品を、私の一番の親友に捧げます。 遅くなったけど...Happybirthday!!!