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近くを見ると、鳩も、カップルも、もういなかった。女性のイヤリングにでもついていたものだろう、カップルのいた場所に、光る石が落ちていた。青年はそれを拾ってきて、手のひらに乗せた。光の屈折や分散度合いから言って、キュービック・ジルコニアではないかと青年は考えた。とにかくその石は、手のひらの中の小さな領域に、大空を分解して虹色をつくった。指で摘んで逆さにすると、今度は大空を集めて一点に白い光ができた。
「毎日って、人生の分解かもしれないね。統合を待ってる」と青年がつぶやいた。
旅人は笑った。
「君も詩人になれるよ」