「じゃ、なんか取ってきますね。ここで待ってて…」
ぼんさんの手が僕の服の裾を掴んでいる。
珍しい。この人がここまで弱みを見せるのは。
少し無理をさせてしまったみたいだ。
ちょっと最近二人で撮影できてなかったから張り切ってしまった。
実を言うと嫁ちゃんがホラゲーをやりたいと言った、というのは嘘だ。
二人で何かできないかと思って探してたときに見つけたゲームがたまたまホラゲーだった。それだけ。
まさかぼんさんがホラゲーが苦手だなんて知らなかった。
「あ…すいません一人にならない方がいいですか?」
「あ…えと….これは….」
ぼんさんもちょっと困惑気味だ。
体が勝手に動いた、みたいな感じだろうか。
確かにこのまま一人にはしたくない。
「じゃあ、一緒に取りに行きますか。」
「あ…う、うん。」
本音を言うと僕もちょっと怖かった。
でも、ぼんさんの方が怖そうだったし、ちょっと強がっていた。
二人で台所に行く。
その間ぼんさんはずっと僕の服の裾を掴んでいる。
「はい、とりあえずホットミルクとかにしときますね。コーヒーだと眠れなくなりそうですし。」
「ん..,ありがとう。」
やっぱりかなり無理していたんだろう。撮影を止めてから震えがひどくなっている。
「すいません、無理させちゃいましたね」
「….いや、もう割と落ち着いたから、大丈夫よ。」
嘘だ。まだ手が震えている。
またこの人に優しい嘘をつかせてしまった。
そう思ったら体が勝手に動いていた。
「…ドズさん?」
気づくと僕の手はぼんさんの手を握っていた。
「あ、えっと…ひ、人の体温感じてた方が安心できるかなぁって。」
「あぁなるほどね。ふふ。ありがとうございます。」
あぁ、よかった。笑ってくれた。
そのまま少し時間が経った。
その間ずっと二人で手を握って他愛もない話をしていた。
気づくとぼんさんの手の震えはかなり治まっていた。
「手、落ち着きましたね。」
「そうね。ごめんねー心配かけて。」
「いや、無理をさせたのはこっちですから。」
「じゃあ、そんなドズルさんには一個お願いきいてもらおっかなー」
「なんですか?できる範囲でおねがいしますよ?」
「いや、あのね?」
「はい。」
「眠くなっちゃったんだけど、今から一人で寝るの怖いから手握っててくれない?」
コメント
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まじでぼんさん可愛い
手が勝手にハートを連打してました……ご馳走様です(?) ((今更だけど全部読んでからだからコメの順番逆