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矢太郎は最近変わった夢を見る、仙四郎に似た女性が笑って手を引いている。決まって手が離れた瞬間こちらを向いて笑い後ろから男に刺され倒れる。この時、嗚咽(おえつ)と共に涙が止まらなく女性に触れようとした途端に崩れてしまう。夢なのにおかしい、起きたら枕が濡れて息苦しいのだ。仙四郎にもこの異様な起き方が気にかかるようで、また医者に診てもらうように言われたが特に生活に支障はないので大丈夫だと笑って見せた。そのたび不安そうな顔をさせてしまう、矢太郎は不思議を通り越して不気味まで感じていた。「僕は仙四郎くんに好意を持っているから似ている女性が夢に出ているのか…」
変な思考になってしまう程正直滅入っていた、いっそのこと仙四郎くんに記憶を失くす前の事、夢に出てきた女性に心当たりはないか聞こうと決めたのだが、それで関係が悪くならないか少し不安だ。しかしこのままという訳にはいかない、「仙四郎くん、僕が記憶を失くす前の事を教えて欲しいんだ。」
仙四郎は思いもよらかったというような顔をした、すぐに険しい表情になり歯を食い縛っているのがわかった。仙四郎はポツリポツリと話だした「矢太郎さんが自殺未遂をする前、貴方の…恋人、俺の姉と旅行に行ったんです。その時姉が殺されました、多分夢の女性は姉さん…そよさんだと思います…」
聞いている途中、激しい頭痛と吐き気が矢太郎を襲う。思わず机に突っ伏す、仙四郎の声がかすれて聞こえた。視界が暗転し気付くと夢で見た女性が…そよが困った様に笑っていた、あぁ…なんで忘れていたんだろう。そよは優しく抱き締めて「置いていってごめんね、でもまだこっちには来ちゃ駄目だよ、あんなこともうしないで…」
最後は泣きそうな声で言った、矢太郎は声を上げて泣いた。泣いてそよを抱き締めながら声がどんどん出なくなりそよの抱き締める力が弱くなっていく「弟をよろしくね」
それだけ言ってまた視界が暗転した、目を開けると仙四郎が泣いていた。仙四郎の涙だろうか、矢太郎の頬を濡らしている。「俺は姉さんの代わりにはなれないけど、いくらでも重ねていい…矢太郎の好きな面影になる…だから…」
矢太郎は起き上がり仙四郎の頭を撫でる、「君は君のままでいい。」
心の底からそう思えた、そこに京太郎が駆けつけてきた。気付かなかったがここは病室だ、「お邪魔だったかな?」
と意地悪そうに笑った。涙でぐしゃぐしゃな仙四郎を見て仕方なさそうに「矢太郎君が倒れたって慌てて連絡が来てびっくりしたよ…大丈夫かい?」
多方面に心配を掛けてしまったのだと申し訳ない気持ちになった。
その後矢太郎はそよの墓参りに行った、まだ割り切れない部分もあるがそれは時間が持って行ってくれるだろう、仙四郎と二人で事件を解決するのと共に執筆をしようかと考えていた。
賑わいをみせた街中の本屋、最近の一押しの本はミステリーだけどあまり推理をしないという風変わりな小説だ。
「あっ!これじゃない?金魚探偵!作者は…なんて読むのこれ?」
「これは喇叭(ラッパ)西洋の管楽器の種類らしいよ、今度新刊出るって」
金魚探偵を今まで読んでいただき本当にありがとうございました。
また別のジャンルですが小説を投稿しようと考えておりますので
是非今度とも喇叭をよろしくお願いいたします。
次回作でお会いしましょう