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コメント
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山中side
はやちゃんが日に日に機嫌が悪くなっているように感じる。
俺、何かしたかな?
🩷「太智ー」
💙「なんー?」
🩷「いや、これなんだけどさ」
💙「もー、佐野さんまたやっとるやん
吉田さんー?この人マジで学習能力ないんやけど」
💛「フハッ、マジお前アホすぎ」
🩷「ヘヘヘッ」
💛「お前何笑ってんだよ」
バシッ)
🩷「イタッ!え?強くね?
ツッコミにしては強くね?」
他のメンバーと話している時はあんなに楽しそうなのに、俺には塩対応。
なんかしたかな、俺?
俺、はやちゃんのことこんなにも好きが止まらんのに…。
❤️「じゅうちゃん?」
見上げるとそこには心配そうに俺を見つめる舜太がいた。
❤️「そんな顔してどうしたん?
なんか嫌なことでもあった?」
🤍「んーん、別に
ただ考え事してただけ。」
❤️「そうならええんやけど」
そう言うと舜太は机に戻り、参考書を開いてシャーペンをトントンしはじめた。
🤍「ん…ハァ…」
また溜息が出る。
みんなみたいに自然にはやちゃんと接していられたら…
ふと考えてしまう。
もし、自分が欲を出さずオーディションを辞退していたら…。
この関係はもっといいものだったのだろうか。
憧れの存在が身近になる事がこれまでもツライことだなんて、若すぎたあの頃の自分は知る由もなかった。
あの頃に戻れたら…。
太陽のようなはやちゃんの笑顔を遠くからでもいい見れたなら…。
その笑顔が少しでも自分に向けられたものならば…。
どんなに幸せだったんだろうか。
佐野side
数日前から柔太朗の機嫌が悪い。
機嫌が悪いというか、反応がうすい。
誰が何を話しかけても上の空だ。
なにかプライベートであったんだろうか。
そういえば衣装の変更点があったらしくらしく、今日再度フィッティングを行うことになっていた。
柔太朗の細部までのこだわりには尊敬する。
その繊細な感情や気遣いが自分に向けられたものならと思うと、胸が締め付けられる。
脆く、すぐに壊れてしまいそうな彼の全てを守ってやりたい。
本能的に護ってしまいたくなる自分がいる。
彼も男だ。
俺に護られるほどやわな人間じゃない。
そう思いながら、衣装が用意された控え室に足を運ぶ。
そこに置いてあったのは、この前のコートだった。
肩の繋ぎ目部分がメッシュ生地に変更されており、暑さや動きやすさが格段に変化していた。
あの例の会話の内容そのものだった。
💙「メンバー愛やなぁ」
❤️「はやちゃん暑がりやもんな」
着丈を確認しながらワイワイと話しかけてくる2人を横目に、肝心の柔太朗を探す。
柔太朗は奥の鏡の前で、自分の着丈なんか気にせずにじっと俺のコートを見ていた。
ドキッ)
少し潤んだ、でも俺を捉え続けるその瞳に心が揺れ動かされそうになる。
どこか物憂げなその表情は、中世なら国の一つや二つ滅ぼせそうな顔だった。
どうして、そんな顔をするのだろうか。
俺はよくわからず、衣装を脱いでハンガーに掛け直した。