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コツコツ
薄暗い廊下の中を、マスクの男と私が歩く。
薄暗いけれど、小さい微かな光がチカチカと光っているのが見える。
「お前、名前は。」
男が聞いてきた。
「銀鏡 玲、玲。」
「へぇー。」
(何が言いたいの、、、)
「貴方は?」
横目で男を睨みつけながら言った。
「内緒。」
(何こいつ、、、)
コツコツ、
沈黙を歩く。
トッ。
足音が止まった。
ピッ、ピピッ。
金庫のようなドアにパスワードを打っている。
ガガガガ、、、
ドアがゆっくりと開く。
コツコツ。
また歩き始めた。
さっきよりも薄暗いところ。
牢屋がたくさんあって、気味が悪い。
男を見たら、またマスクを着用していた。
細い光の線が、いくつか先の牢屋から見える。
埃が舞っている。
歩くたびに、どんどん光へと近づいていった。
(!?)
輝く髪。純白の翼。光にあたって揺れているシャボン玉の瞳。
「ルナ!」
私は叫んだ。
ルナが立ち上がった。輝く髪を揺らし、こっちへ走ってくる。
「玲!」
嗚呼、、、
「もう無理かと思った、、、」
今にも泣き出しそうな声で私を見つめる。
私とルナは、鉄格子に挟まれながら、手を繋いだ。
「近づくな」
男が冷たい声でそう言った気がした。
ルナと一通り再会の挨拶を交わして、男の方を見た。
「何だよ,,,」
「ねぇお願い。ルナをここから出して。こんなとこから。」
「だから、天使にはあの放射線があるんだって。」
「ルナには無い!私に害が出てないし!」
「この天使がここから出たら大問題になるんだぞ?わかってんのか?」
男が続けた。
やっぱり、無理なのかな、、、
あんなに叫んでいた私の喉も心も、一瞬にして火が消えた。
力が抜けたからか、私はいつの間にか倒れていた。
ピー、ピピピー、、、
(何処?此処?)