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「明日の夕方ここへ来て。ヒトを傷付けたりしない、観賞用の火花を見に行こうよ」
「私だって、行きたいです。でも行けるかどうか分からなくて」
台湾にお祭りに誘って貰えた。だが、最近相手からの攻撃が激しくなって来ていて、今日はたまたま抜け出せただけだった。
明日も、しかもお祭りを楽しめるほど長い時間ここに来られる可能性はかなり低いだろう。
「絶対に来て。もし来なかったら、今度こそ日本のこと嫌いになっちゃうかもしれないよ」
「うっ! それはズルいです。出来る限り来れるようにしますが、どうしても来れない時は来れませんから」
「うん、わかった!」
抜け出しているのが上司にバレたら、絶対に怒られるだろう。
とはいえ、それさえ我慢すれば台湾の笑顔が見れると言うなら訳無い。
「服なら貸すよ。お金も、僕が払う。高いものは買えないけどね」
「服だけならともかく、お金までは申し訳ないです」
「日本とデートする機会なんて凄い貴重だもん、出し惜しみしたくないの。それに、お金はまた稼げばいいでしょ?」
「そこまで言うなら……よろしくお願いします」
お願いを聞いた時、台湾はとても嬉しそうだった。来ることが出来たとしたら、どんな顔を見せてくれるんだろう。
たった一夜だとしても、一生記憶に残るような楽しいひとときが迎えられるはずだ。明日だけは、どうしても行かなくちゃいけない。
「約束しますよ、絶対来るって」
「うん。わかった」
私は指切りげんまんするために小指を差し出すと、わかってくれたようで、小指同士を絡めてくれた。
「そうだ、僕んちの約束の仕方教えてあげるよ」
私は言われた通り、小指はそのままで、親指の腹同士をくっつけた。
「……日本」
「はい、なんでしょう」
「明日もまた、ここで待ってるね」