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森を抜けてから、どれくらい歩いただろう。ユウキの目の前に、大きな石の門が見えてきた。
「おお……!」
思わず声が出る。
高い城壁に囲まれた街。
門の前には人が並び、鎧を着た兵士が見張りをしている。
「これ、完全にファンタジーの街だ……」
ユウキは目を輝かせた。
『当然だ』
魔剣グラムの声が頭の中に響く。
『ここは王国の辺境都市、リーベル』
「へぇ」
『冒険者や商人が集まる街だ』
ユウキは門の前に並ぶ。
ドキドキしてきた。
異世界の街に入るなんて、ゲームの中みたいだ。
やがてユウキの順番が来た。
兵士がユウキを見て言う。
「見ない顔だな」
「え、えっと……旅人です」
少し緊張して答える。
兵士はユウキの格好を見る。
「武器は?」
「剣があります」
ユウキは腰のグラムを見せた。
兵士は少しだけ目を細めたが、特に気にした様子はない。
「問題なし」
門を指さす。
「通っていいぞ」
「ありがとうございます!」
ユウキは門をくぐった。
そして――
「うわぁぁぁ!!」
思わず叫んだ。
石畳の道。
両側に並ぶ木造の建物。
露店では果物や肉が売られている。
鎧を着た冒険者。
ローブ姿の魔法使い。
耳の長いエルフらしき人までいる。
「すげぇ……」
完全に異世界だった。
『騒ぐな』
グラムが言う。
『田舎者だと思われる』
「いやもう田舎者でいいよ」
ユウキは笑う。
すると視界に大きな建物が入った。
木の看板。
そこにはこう書かれていた。
冒険者ギルド
「……」
ユウキの目が輝く。
「これだ!!」
『何がだ』
「異世界の定番!」
ユウキは興奮して言う。
「まずギルド登録して、クエスト受けて、ランク上げて――」
『落ち着け』
グラムが呆れた声を出す。
「いやでも絶対ここ大事な場所でしょ!」
ユウキは扉を開けた。
ガチャッ。
中は広かった。
酒の匂い。
木のテーブル。
多くの冒険者が談笑している。
カウンターには受付嬢。
「おお……」
ユウキは感動していた。
まさに異世界のギルド。
その時だった。
「おい見ろ」
「ガキじゃね?」
「新人か?」
周りの冒険者がヒソヒソ話す。
ユウキは少し気まずくなった。
「……やっぱ目立つ?」
『当然だ』
グラムが言う。
『主は完全に初心者だ』
「ですよね」
ユウキは苦笑する。
それでも勇気を出してカウンターへ行った。
受付嬢が微笑む。
金髪で優しそうな女性だった。
「いらっしゃいませ」
「えっと……」
ユウキは言う。
「冒険者登録したいです」
受付嬢はうなずいた。
「初めてですね?」
「はい」
「ではこちらに名前を書いてください」
紙とペンを渡される。
ユウキは書いた。
天城ユウキ
受付嬢はそれを見て言う。
「ユウキさんですね」
「はい」
「ではステータス測定を行います」
「ステータス?」
受付嬢は水晶を取り出した。
「この水晶に手を置いてください」
ユウキは少し緊張する。
「これで何がわかるんですか?」
「レベルや能力値です」
「なるほど」
ユウキは水晶に手を置いた。
その瞬間。
パァァァァ!!
水晶が強く光った。
「!?」
受付嬢が驚く。
周りの冒険者も振り向いた。
「なんだ?」
「光ってるぞ」
水晶の光がどんどん強くなる。
ユウキは慌てた。
「え!?なにこれ!?」
『……まずい』
グラムが呟く。
「え?」
受付嬢は水晶を見て固まっていた。
表示された文字を見ている。
「そ、そんな……」
「どうしました?」
ユウキが聞く。
受付嬢は震える声で言った。
「この数値……」
「?」
「ありえません」
ギルドの中が静かになる。
「攻撃力……異常値」
「魔力……規格外」
「そしてこのスキル……」
受付嬢はゆっくり言った。
「魔剣適性∞」
その瞬間。
ギルドがざわついた。
「は!?」
「∞だと!?」
「そんなスキル聞いたことねぇ!」
ユウキは顔が青くなった。
「やばくない?」
『非常にまずい』
グラムが言う。
その時。
ドンッ!
大きな音。
ギルドの奥の扉が開いた。
現れたのは――
赤い髪の少女。
鋭い目。
腰には長い剣。
周りの冒険者がざわつく。
「あれは……」
「Sランク冒険者……!」
少女はユウキを見つめた。
そしてゆっくり言った。
「ねえ、あんた」
ユウキを指さす。
「今の光……あんたの力?」
ユウキは固まった。
そして――
彼の異世界人生は、
ここから一気に動き出そうとしていた。