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冒険者ギルドの中は、ざわめきに包まれていた。「魔剣適性∞だと……?」
「そんなスキル聞いたことねぇ!」
「嘘だろ……」
周囲の冒険者たちが、ユウキを見つめている。
ユウキは冷や汗をかいていた。
(やばい……めちゃくちゃ目立ってる)
その時だった。
ドンッ!
ギルドの奥の扉が勢いよく開いた。
そこから現れたのは、一人の少女だった。
燃えるような赤い髪。
鋭い金色の瞳。
黒い軽鎧を身につけ、腰には長い剣。
その姿はまるで――戦場の剣士。
周囲の冒険者がざわめく。
「おい……」
「あれは……」
「Sランク冒険者のレイナだ!」
ユウキは目を丸くした。
(Sランク!?)
少女――レイナはゆっくりと歩いてくる。
コツ……コツ……
靴の音がギルドに響く。
やがてユウキの目の前で止まった。
レイナは腕を組み、ユウキをじっと見つめる。
「ねえ」
低い声。
「さっきの光、あんた?」
ユウキは戸惑った。
「え、えっと……たぶん」
周りの冒険者がざわつく。
「やっぱりか」
「新人のくせに……」
レイナは少し眉をひそめた。
「新人?」
受付嬢が慌てて言う。
「は、はい。ついさっき登録に来たばかりです」
「……へぇ」
レイナはユウキを上から下まで見た。
完全に普通の少年。
装備も初心者。
なのに――
「魔剣適性∞」
レイナは小さく呟く。
「そんなの、ありえるの?」
ユウキは苦笑した。
「俺もさっき知りました」
レイナは少し考える。
そして――
ニヤッと笑った。
「いいね」
「え?」
「試させてよ」
レイナは腰の剣を抜いた。
シャキン!
ギルドが一瞬で静まり返る。
「ちょっと!」
受付嬢が叫ぶ。
「ギルドで戦闘は禁止です!」
レイナは笑った。
「外でやるよ」
そしてユウキを見る。
「来なよ」
「え?」
「決闘」
ユウキは固まった。
「いやいやいや!!」
Sランク冒険者と決闘!?
無理に決まっている。
だがレイナは言った。
「魔剣適性∞なんでしょ?」
「……」
「なら、逃げないよね?」
周りの冒険者がニヤニヤしている。
「やれやれ!」
「Sランクと新人の勝負だ!」
「面白そうだ!」
完全に逃げられない空気だった。
ユウキは心の中で叫ぶ。
(どうすんだよこれ!?)
するとグラムの声が響いた。
『主よ』
「グラム?」
『逃げるのか』
「いや……」
『主は魔剣士だ』
『ならば戦え』
ユウキは深呼吸した。
そしてレイナを見る。
「……わかりました」
ギルドがざわつく。
「おお!」
「マジでやるのか!」
レイナは嬉しそうに笑った。
「いいね」
「じゃあ外」
ギルドの外。
広場には人だかりができていた。
「始まるぞ!」
「Sランクのレイナだ!」
「相手は新人らしいぞ!」
ユウキは少し震えていた。
(やばい……)
相手はSランク。
自分は転生してまだ数時間。
レイナは剣を肩に乗せる。
「ルールは簡単」
「?」
「降参したら終わり」
「……」
「それと――」
レイナはニヤッと笑った。
「本気で行くよ」
ゾクッ
空気が変わった。
圧力。
強者の気配。
ユウキの背中に冷たい汗が流れる。
『主よ』
グラムが言う。
『剣を抜け』
ユウキはゆっくりとグラムを抜いた。
黒い刀身が太陽の光を反射する。
周囲がざわめく。
「なんだあの剣……」
「禍々しいぞ」
レイナの目が光った。
「その剣……」
「ただの剣じゃないね」
ユウキは構える。
「いつでもどうぞ」
レイナは笑った。
「いい度胸」
そして――
地面を蹴った。
ドン!!
一瞬で距離を詰める。
「速っ!」
ユウキは慌てて剣を振る。
ガキィン!!
剣と剣がぶつかる。
衝撃が腕に走る。
「くっ……!」
レイナは笑っていた。
「新人にしてはやるね!」
さらに連撃。
ガン!ガン!ガン!
ユウキは必死に防ぐ。
(速すぎる!)
だがその時。
体の中から力が溢れた。
グラムが言う。
『感じるか』
「……!」
『それが魔剣の力だ』
ユウキの目が変わる。
レイナの動きが――
見える。
「そこだ!」
ユウキは剣を振る。
黒い斬撃が走る。
ズバァッ!!
レイナは後ろへ飛んだ。
「!」
服の袖が少し切れていた。
広場が静まり返る。
「今……」
「レイナに当てた……?」
レイナは袖を見て、笑った。
「やるじゃん」
そして剣を構える。
「ますます本気出したくなった」
空気が震える。
ユウキは剣を握り直した。
落ちこぼれ高校生だった少年。
だが今は違う。
魔剣を持つ者。
そして――
Sランク冒険者との戦いが、
本気の勝負になろうとしていた。