テラーノベル
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荒い吐息が、暗い部屋に溶けていく。
ベッドにうつ伏せになった元貴の背中を、若井の大きな手がそっと撫でた。
指先が背骨をなぞるたび、小さな震えが走る。
「……元貴、息が荒いぞ」
「……先生、だって……」
振り向けない声が、熱を含む。
若井はそんな背中に口づけを落とした。
何度も、優しく、でも抗えない熱を伝えるように。
指が、そっと後ろを探る。
触れた瞬間、元貴がびくりと身体を跳ねさせた。
「……っ、あぁっ……」
「……元貴……すごい、濡れてる」
囁く声が低く、震えていた。
若井自身も限界が近いのを隠せない。
でも怖がらせたくなくて、背中を撫でながら耳元に唇を寄せた。
「……入れるよ」
その声に、元貴は震えた。
息が乱れ、喉が上下する。
若井はそっと腰を寄せる。
指で慣らしたところに、自分を合わせる。
ゆっくり、ゆっくりと押し入れていく。
「……あ、ああ……っ」
声にならない声が漏れる。
背中が反り返り、シーツを掴む手が白くなる。
「……大丈夫か、痛くない?」
「……はぁっ……だいじょ、ぶ……滉斗……」
その名前を呼ばれた瞬間、若井の心が震えた。
優しく、奥へと埋めていく。
2人の身体が、完全に繋がる。
「……ああ……お前、中、熱い……」
「……滉斗、動いて……」
若井は目を見開いた。
「……え?」
「……早く……もう、我慢できない……」
元貴の声は泣きそうで、でも欲望に濡れていた。
その言葉で、若井のスイッチが入る。
「……分かった」
腰を引き、そして深く、深く突く。
「……っ、あ、ああっ!!」
「元貴……可愛い声……」
「……っ、や、だ……ああっ……!」
吐息が絡み、声が重なる。
何度も、何度も。
熱がぶつかり、濡れた音が部屋を満たす。
若井の手が腰を掴む。
元貴の背中を抱きしめるように覆う。
「……滉斗、もっと……」
「……俺も、もう限界だ……っ」
「……一緒に……っ、いきたい……!」
最後の一突きが深く埋まった瞬間、2人の声が重なった。
「……っ、ああああっ……!!」
「……元貴……!!」
快感が全身を貫く。
熱が溢れ、吐息が絶え間なく漏れる。
2人は崩れるように重なったまま、しばらく動けなかった。
荒い呼吸を落ち着けようとしながら、それでも身体を離さない。
でも、それで終わりじゃなかった。
若井が唇を寄せる。
首筋に、鎖骨に、胸元に。
噛むように、啄むように、もう一度熱を灯す。
「……まだ、終わりたくない」
「……滉斗……」
再び身体を繋ぐ。
今度は荒く、激しく、そして愛しく。
何度も、何度も。
押し込めていた数年間の空白を埋めるように。
泣きそうな声が、喘ぎが、溶け合う。
「……元貴、好き…ぁあっ、イく……!!」
「……あっ、ああ……っ、滉斗……!」
そして、明け方。
ようやく落ち着いたベッドの上で、
若井は腕の中の元貴を見下ろし、微かに笑った。
「……お前、約束、ちゃんと守ったな」
「……うん。
だって先生が……“待ってる”って言ったから……」
若井は目を細め、額をくっつけた。
「……俺も、ずっとお前を待ってた」
目を閉じる元貴の頬に、キスを落とす。
——2人がやっと、触れ合えた夜だった。
ずっと解けなかった数式の答えを、やっとお互いで見つけた夜だった。
そして、これからは教師同士として、恋人として。
何度でも確かめ合いながら、生きていく。
「……滉斗、愛してる」
「……俺もだ、元貴」
2人の声が、静かに溶けた。
夜が終わり、朝日がそっと差し込む。
約束はもう、果たされた。
そしてこれから、
2人の本当の物語が始まってゆく。
END
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