テラーノベル
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⚠️注意⚠️こちらはnmmnです。
本人様とは一切関係ありません。
含まれる要素:視力喪失、 過呼吸、星導が可哀想
以下本文
◾︎どんなお前でも
何となく目が覚める。ふと隣を見やるとあるはずの熱がなくて、回らない頭でリビングへ向かうと電気も付けずに動く人影がひとつ。後ろから軽く抱き締めると一度小さく肩を跳ねさせた後、安心したように力が抜ける。
「…星導、水?」
「はい。ちょっと喉乾いちゃって」
壁へ添えられていた綺麗な手を取り握ってやる。握り返してくる熱が心地良くて絡めてみたりして。夜目が効く方だから消えた電気はそのままに、冷蔵庫まで連れていきキャップを少し捻って手渡す。夜の静かな空気にごく、と星導の生の音が響いて、満足したのか左斜め前へペットボトルが差し出された。それを手に取りあった場所へと直した後、微笑んでいる頬に触れて口付けを送ってやった。あ、その気恥しそうな顔。俺のお気に入り。
「二度寝しようや」
「今何時?」
「3時過ぎ」
「全然寝れてないじゃん。そんな眠り浅かったかな俺」
「なんでもいーから二度寝しよ」
「んふ、くすぐったいそれ、はいはい」
耳に滑らせた指先で遊んでいたら幸せそうに笑う。
視力を失っても、音を拾えなくなっても、声を発することができなくなっても。
俺は到底、お前を手放すことなんてできないのだろうと今更思った。
◾︎情けない
ドォン、と遠くで地響きの音が鳴っている中、瓦礫を退かし続ける。隙間から見える黒ずんだ肌色を目指し、疲労の溜まった身体に鞭打って、必死に。いつの間にか六本に減っていた触手を動かして。
「っはぁ、ふ、よかった…。ヒーローです、もう大丈夫ですよ」
安心させるための笑顔を貼り付け、まだ息のある市民の人を抱えてセーフゾーンへ走る。急がなければ、直にここも安全ではなくなるかもしれない。奥の方で待機している救急隊の方へ預けた後、現地へ戻って周りを見渡した、刹那。
どく、と大きな音が頭に響いた。
「っ、なに、これ…」
どくん、どくん、と心臓が大きく跳ねる。
明らかに正常な心臓の動きではない。このまま活動を続けるのは危険だと、脳の奥で理性が叫ぶ。離脱するにもまずは人に伝えなければ。…でも誰に?
今は戦闘中だ。それぞれが手分けをして街を守ろうと必死に動いている。そんな中一体誰へ伝えたらいいと言うのだ。ヒーロー側の俺に人員を割くなんて、以ての外じゃないのか。
「は…、ッ…ひゅ、ぅ゙…」
初めて経験する身体の動きに上手く思考がまとまらない。身体に力が入らなくなり、思わずその場にしゃがみ込んだ。段々と掠れた嗚咽が喉の奥から漏れ出し始めている。
こわい、しらない。しぬ?このまま?
情けない自分を守るように背が丸まって、満足にできない呼吸に意識が持って行かれる。
「星導!…星導、おい、聞こえるか?」
ああ、ついに幻聴と幻覚までもが出始めた。これは…小柳くんか。
肩を抱き寄せる温かさに、なんとか繋いでいた意識がぷつりと切れた音がした。
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