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ある夏の日、時刻は23時すぎ
今日は普段に比べると比較的大人数での収録だった。トラブルで始まるのが遅れた上に、
上手く撮影が進まず、なんだかんだでこの時間になってしまった。
みんな撮影の疲れと深夜、という時間が相まったのか、 いつもよりテンションがかなり高い。
というか声がでかい、お酒は入ってないはずなんだけどな。
この騒音さをなにかに例えるとすれば、
ゲームセンター、とか。
だれかと話すにしてもかなりの声量が必要だった。
そんな中、ぼく、猫又おかゆは親友のころさんとお話していた。
「撮影大変だったね」「明日何時起きなの?」なんて何気ない会話をしながら、うとうとしつつあったとき、ふいに「スバル」って言葉が耳に入った。
さっきまではみんなの会話とか言葉、全く気にならなかったのに。
ああ、そーいえば、
いつか、”カクテルパーティー現象”って言葉を聞いたことがある。
騒がしい場所であっても自分の名前や興味関心がある話題は自然と耳に入ってくるという心理効果、らしい。
まぁ、だいすきな彼女だもん、
当たり前だししょうがないよね。
ころさんにはスバルちゃんとの関係は言ってない。言いたいんだけど、スバルちゃんがだめっていうから。
バレないようにドキドキする鼓動を落ち着かせようとする。
「…ねぇおかゆ?」
しまった。自分を落ち着かせるのに必死になりすぎて、ころさんの話を聞けてなかった。
「あ、ごめんねころさん」
不安そうにぼくを見つめるころさんに急いで謝る。せっかく落ち着いてきていた鼓動が焦りでまた早くなる。
ほんとにおちつけぼく、
「おかゆ大丈夫?どうしたの?」
やさしいころさんに嘘をつくのも気が引けるけど、ぼくの独断でスバルちゃんとの関係を言う訳にもいかず、ただごまかす。
「撮影でつかれて、眠くなっちゃった」
ごめんね、と笑いながら嘘をつく。
「おねむなの?がんばったね撮影」
そう言ってころさんは頭をなでてくれる。
よかったいつものころさんだ。まぁ怒ってないってわかってたけどね。
なんて、勝手に安堵してると
「スバルーーー」
また聞こえる、その3文字だけが、耳にはいる。やっぱりスバルちゃんのことだいすきだなーぼく。
「あ、おかゆ…」
わっ、なに?なんて、また焦ってわざとらしい返事をする。
すると、ころさんはニヤニヤしながらこう言った。
「え、これころねの勘違いだったらごめんなんだけどさぁ」
「おかゆ、スバルちゃんと付き合ってんの?」
「え?ころさん?どうしたの急に」
内心めちゃめちゃ戸惑ってるけど冷静を装う
「だって、スバルちゃんの名前呼ばれ度に、
びくってなってるし、しっぽぼわってなってるでな」
「え、うそ」
ぼくって嘘が下手なのかもしれない
「やっぱりね!おかゆのことならなんでもわかるんだから!! 」
「応援してるでな!おかゆ!!」
その気持ち、とっても嬉しいけど、まだスバルちゃんに許可もらってないから認められない。
「まってよころさん!ぼくまだ、付き合ってるだなんて言ってないよ!!」
「え?ちがうの?この反応は絶対そうだと思ったのに…」
ころさんがわかりやすく落ち込む。
しっぽがへなってなって、耳もぺたってなった。
そんなころさんもかわいいけど、そんなことよりどうやってこの場を乗り切ろうか必死に頭を働かせる。
「ころさーーん…ごめんね」
「なんで謝ってんの?」
「え、えーっと、ほら…ね?」
「もう、言葉だけじゃ意味ないの」
「ころさんはなんで拗ねてるの?」
「おかゆがころねに本当のこと教えてくれないから」
「…ほんとのことってたって」
「こんなざわついてる中スバルちゃんの声が聞こえて2回もあからさまに反応したのに、それでもスバルちゃんと何も無いって言うの?」
ころさんはお見通しみたい。
「…」
「おかゆ 」
無言を貫くぼくの名前を優しく呼んだ
「…もおお!!わかったよ!認めるよ!!」
「やっぱりね」
ぼくが認めるところさんはまたニヤニヤしてぼくを見つめてくる。
「…なにさ」
「んー、なんでもない!おかゆ、お幸せにね??」
「ころねが2人のいちばんの味方だでな!」
いいやつなんだけどなー、うれしいんだけどなーー、、ころさん…
自宅
「おかゆ」
スバルちゃんとふたり、リビング。
いつもより明らかに低い声で名前を呼ぶスバルちゃん、これ、まずいよね
「…なに?」
「ころねに言ったんだ?」
「…なんで言っちゃだめなの?」
ぼくはずっと言いたかったんだもん
これ以上嘘つくのはやだったんだもん
「わかんないの?」
なんとなく、なんとなく怖くて何も言わず
首を縦にふる
「おかゆさぁ…」
「そろそろ自分の魅力わかってもいいんじゃないかな」
意外な返答に
え…?なんて情けない声で驚いてしまう。
「ほんと、相手がころねでよかったよね。」
その言葉を最後にぼくはスバルちゃんでいっぱいに満たされることになった。