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第六話 裏切られた星喰い
星の都の中心。
巨大な扉の奥にある部屋で、レインとリリアは立ち尽くしていた。
そこには一つの巨大な水晶が浮かんでいた。
透明なはずの水晶。
しかし、その内部には無数の星のような光が閉じ込められている。
『記録媒体を起動します』
古代の機械音声が響く。
すると水晶の前に、一人の人物の姿が映し出された。
黒い髪。
穏やかな表情。
そして――
レインと同じ黒い星の紋章。
「……初代星喰い」
リリアが小さく呟く。
映像の男はゆっくりと話し始めた。
『もし、この記録を見ている者がいるなら』
『星喰いの力は、再び世界に現れたということだろう』
レインは息を呑む。
『私はアスト』
『最初に星喰いの力を受け継いだ者』
アストは遠くを見るような目をした。
『この力は、破壊のために生まれたものではない』
『世界に存在する星の力を調整し、均衡を守るための力だった』
レインは拳を握る。
「じゃあ……」
「昔の星喰いは悪じゃなかった」
リリアは黙って聞いている。
『しかし、人々は恐れた』
『星を喰らう力』
『世界を変える力』
『その力を持つ者を、いつしか怪物と呼ぶようになった』
映像のアストは悲しそうに笑う。
『そして最後には――』
少しの間。
『私を信じていた仲間たちが、私を封印した』
部屋が静まり返る。
「仲間に……?」
レインの声が震える。
『彼らは間違っていたわけではない』
『私の力が暴走すれば、本当に世界を壊していた可能性もある』
『だから私は……受け入れた』
アストは続ける。
『だが、一つだけ伝えたい』
『星喰いが恐ろしいのではない』
『力を持つ者が、何を選ぶかが重要なのだ』
映像が消える。
残されたのは静寂だった。
「……」
レインは何も言わなかった。
自分が思っていたより、星喰いの歴史は複雑だった。
ただの破壊の力ではない。
ただの英雄の力でもない。
使う者次第で変わる力。
「だからアークは俺を選んだのか?」
胸の紋章に触れる。
『回答』
アークが答える。
『適合率が最も高かったため』
「それだけ?」
『……』
珍しくアークが沈黙する。
レインは少し驚いた。
「お前、今迷った?」
『否定』
「絶対迷っただろ」
すると。
突然、都市全体が揺れた。
ゴゴゴゴ……。
「また敵?」
リリアが剣を抜く。
しかし、今回は違った。
空間そのものが歪んでいる。
『警告』
『外部から高密度魔力侵入』
『敵性存在確認』
都市の上空。
黒い裂け目が開く。
そこから一人の男が降りてきた。
黒い服。
白い仮面。
レインはその姿を見た瞬間、息を止める。
「……お前」
雪山の神殿。
あの時、星喰いの目覚めを待っていた男。
白い仮面の男だった。
「初めまして」
男は静かに笑う。
「レイン」
「なぜ俺の名前を……」
「当然だろう」
男は答える。
「君が千年ぶりに現れた星喰いなのだから」
リリアが前へ出る。
「あなたは何者」
男は彼女を見る。
「まだ生き残りがいたか」
「星喰い監視一族」
リリアの顔が険しくなる。
「知っているのね」
「ああ」
「君たちがアストを裏切ったことも」
空気が凍る。
「……何?」
リリアが反応する。
男は続けた。
「歴史は書き換えられている」
「本当の裏切り者は誰だったのか」
「君たちは知らされていない」
レインは男を見る。
「お前の目的は何だ」
男は笑う。
「簡単なことだ」
「本来あるべき星喰いを復活させる」
「そして世界を正しい形へ戻す」
「そのために君が必要だ」
レインは警戒する。
「断ったら?」
男の周囲に黒い魔力が集まる。
「ならば」
「君を覚醒させるまでだ」
次の瞬間。
白い仮面の男の背後から、無数の黒い影が現れる。
星喰いの失敗作。
以前戦った存在と同じ気配。
「またこいつらか……」
レインは構える。
だが。
アークが警告する。
『危険』
『目標を確認』
『名称――』
『星喰いの王』
レインの表情が変わる。
「王……?」
白い仮面の男は静かに仮面へ手を伸ばした。
「ようやく会えたな」
「私の後継者」
仮面の下から現れた瞳。
そこには、レインと同じ黒い星が浮かんでいた。
「私は――」
「初代星喰いの力を継いだ者」
「そして」
「君を導く存在だ」
レインは拳を握る。
「俺は誰かに決められるつもりはない」
黒い光が集まる。
「俺が選ぶ」
「俺自身の道を」
星の都。
千年前の真実。
そして、星喰いの王との出会い。
新たな戦いが始まる。
コメント
1件
第6話、一気に引き込まれたよ…!アストの記録映像で星喰いの真実が明かされるシーン、すごく切なかった😢 仲間に裏切られても「受け入れた」って言葉が刺さる…。そして白い仮面の男がまさかの星喰いの王!?「俺が選ぶ」って宣言するレインがめっちゃかっこよかった🔥 次回が待ちきれない〜!