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「それはいいから、いまはテンイのトウにいくぞ。なんかいってたしな」


リーダーの女が言っていた「あの塔を壊す」という言葉が気になり、ピアーニャはこのまま転移の塔まで飛ぶ事にした。他の2人を見ると、同意見という意志表示として頷いた。


「って言っても、あそこには強いシーカーさんが見張りをしてるし、大丈夫そうですよね」

「いちおうな。エンキョリシャゲキのアーマメントもあるから、ユダンできん──」

ドオオオオン!

『!?』


軽く話しあっている最中に、遠くから爆発音が聞こえた。高度を上げて見渡し、煙が見える方向はこれから向かおうとしていた場所だった。


「トウのほうからか!」

「うっそぉっ!」


ピアーニャも流石に慌て、速度を上げて塔に向かった。




一方その頃、アリエッタ達は途中で立ち寄ったカフェに入り、のんびりと過ごしていた。

そこへ大きな爆音が聞こえてくる。


「なに?」

「爆発音ねぇ」

「まぁよくあるのよ」

「ぱひー?」(今の音、何?)


少し驚いたのはムームーとアリエッタだけで、パフィとネフテリアはのんびり寛いでいる。

ムームーは立ち上がって窓の外を見るが、ここからでは確認出来ない。

焦るムームーに、ネフテリアが声をかけた。


「まぁまぁ。爆発なんて、ワグナージュじゃよくある事よ」

「ここワグナージュじゃないですけど!? てゆーか、ワグナージュどうなってるんですか!?」


ムームーは砂漠のリージョンであるワグナージュには行った事が無い。パフィも行った事は無いので、少し興味深そうに視線をネフテリアに向けた。


「あそこは爆発力こそが命なのよねー。ね、アリエッタちゃん」

「むぐ? てりあ、くっきー、おいしい?」

「うん、おいしいよねー。ほらほら、ここに大きな欠片が落ちてるよ。ぱくっ」

「あわわ……」(そんな変な所に落ちたの食べないでよ~……)

「あっちょっ!」


質問を流したネフテリアが、アリエッタのちょっと恥ずかしい場所に落ちたクッキーを食べた。

それが原因で、ショックを受ける者がいる。


「今のクッキー絶対美味しいやつなのよ! 私が欲しかったのよ!」

「パフィまでやめてよ! ほらアリエッタちゃん恥ずかしがってるじゃん」

「おのれっ、もう横取りされないように、王女暗殺計画も辞さない覚悟がいるのよ」

「辞して! それは全力で辞して!」


焦って自分のナイフをチラ見しながら、何やら物騒な事を言うパフィを必死に宥めていると、ふとおかしな視線を感じた。


『え?』


アリエッタ以外の3人ともが反応していた。

向いた先、少し離れたビルの上。四角い太陽を背に、大柄な人影が立っている。


「アイツなのよ?」

「間違い無さそうね」


筋肉質に見えるそのシルエット。パーツが無いのか見えない位置にあるのか、人体のボディラインがハッキリと分かるが、サイロバクラムでは特におかしな事ではない。


「さっきの爆発音と関係あるかな?」

「うーん、どうでしょう」


確証は無いが、タイミング的に爆発音との関連を疑ってしまう。

そこへ、放っておけない音が、近くから聞こえてきた。


「んぐっ。けほっけほっ!」


アリエッタがジュースでむせたのだ。


「アリエッタ! 大丈夫なのよー? よしよし」

「はい、拭いてあげる」

「うー……」


アリエッタ第一のパフィはもちろん、ネフテリアも迅速に動いた。ビルの上の人影など、アリエッタに比べたら些細な事なのだ。

そんな2人の行動を見て、任せて大丈夫と判断したムームーが、すぐに視線をビルの上に戻す。


「あれ?」


しかし、そこに人影は無かった。


(……なんでこっちを見てたんだろう)


先程のツインテール派との事もあり、警戒を強めるムームーであった。




急いで転移の塔へとやってきたピアーニャ達が見たのは、ほんの少し欠けた転移の塔と、累々と横たわるシーカー達とサイロバクラム人らしい数名だった。


「トウはぶじだが、なにがあった?」

「まずは救助ですね」

「うむ」


ミューゼが塔内部に葉を重ねた簡易ベッドを作り、ピアーニャとクォンが遠隔操作で人々を運ぶ。3人とも腕力は乏しいので、運ぶ作業には能力をフル活用するのだ。


「ん?」


運んでいると、クォンが首を傾げた。


「どうした?」

「んー、見たことある人だなーと思って」

「わちはシーカーに、しってるヤツがおおいな。ソルジャーギアのだれかじゃないのか?」

「そういえばそうかも」


リージョンシーカー総長とは言っても、流石に人数と支部の多い組織の中で、全員の顔は覚えていない。

後で確かめればいいかと思い、引き続き運んでいくと、確実に知っている人物がいた。


「あれ? ジェクト先輩?」

「ああ、アイツか。こんなトコロでなにしてるんだ?」


倒れていた中に、サイロバクラムに来たばかりの時に出会った、ソルジャーギアのジェクトがいた。

クォンが運ぼうとすると、気を失ったまま身を守るように体を縮めた。


「う、う……やめ……いやだぁ……」

「なんかうなされてますね」

「オトメみたいにこわがってるなぁ。ウチマタになっとる」

「ぷふっ。ジェクト先輩かーわいいー」


アーマメントで掴みながら、ニヤニヤと笑みを浮かべるクォン。どうやら揶揄うネタが出来てご満悦の様子。

しかしここで、よほどの悪夢だったのか、ジェクトが突然目を覚ました。


「やめろおおお!! 出ちまううううあああああっ!!」

「いやどんなユメみてたんだ……」

「お漏らしかな?」

「きちゃない」

「っはあっ! はぁっ、はぁっ……うほっ!?」

「あ、起きた」


起きた瞬間逆さまになっていたので、変な声を出していた。

心配になったクォンは、慌てて声をかける。


「ジェクト先輩!」

「ク、クォン?」

「漏らしてないですよね? クォンのアーマメント汚してないですよね!?」

「そっちの心配!?」


変な液体がついていないか気になり、アーマメントの角度を変え、色々な方向から点検する。


「ぅあっ! ちょクォン! まわす、なっ。出そうっ」

「おいクォン。ザツにあつかうと、シタからじゃなくて、ウエからもれるぞ!」

「ひぃやあああああ!!」

「うおああああ!?」


ピアーニャから言われた事があまりにも嫌過ぎて、本気で焦ったクォンは、あろうことかジェクトを放り投げた。


べちっどしゃっ

「あ~あ……」


投げられたジェクトは、転移の塔にぶつかり、地面に落ちた。その衝撃で、口からちょっぴり何かが漏れ、目を回して再び気絶するのだった。


「ああっ、先輩! おのれツーサイドアップのレジスタンスめ、何て酷い事を!」

「おまえだよっ!」


しょうもない事で負傷させてしまったのを、ノリと勢いで先程逃がしたレジスタンスに擦り付けようとしたクォンだったが、ピアーニャによって阻止されてしまった。

見かねたミューゼが、ジェクトへと近づく。


「えーっと、起きてくださーい」

ざばーっ

「オマエもナニやってんだ!?」


なんと魔法で水をかけ、その場所を流すと同時に、強制的に目を覚まさせた。


「ぶごほっ! がはっごほっ」


あまりに酷い扱いを連続で受け、何とかジェクトは目を覚ますが、その目は虚ろになっている。


「ジェクト先輩、こんな姿になって。なんて酷い事を……」

「本当に、一体この場所で何があったのかしら」

「だいたいオマエらのせいだからな!?」


ツッコミは入れるものの、今は少しでも情報が欲しいピアーニャ。他のシーカー達も全員気絶しているので、一応起きているジェクトから話だけは聞いておきたい所。


「おい、おい。なにがあった?」

「さっさと吐いた方が楽になりますよ」

「お母さんが泣いてますよ」

「バカどもはだまってろ」


幼女とは思えない低音ボイスで2人を黙らせたピアーニャは、極力優しくジェクトに質問をした。

その甲斐があってか、ジェクトはなんとか声を絞り出した。


「恐ろしいバケモノが……」

「バケモノ?」

「こっちの攻撃が……効かねぇ……あんなの……どうすれば……」


よほど恐ろしいモノを見たのか、みるみる顔色を悪くしていくジェクト。


「なんにんか、ベテランのシーカーもいたのだが……」

「ジェクト先輩もベテランですよ? アーマメントは防御寄りだけど、切り札に高火力兵器も持ってるハズなのに」


クォンは塔の欠けた部分を見た。高火力と言うからには、最低でも壁を壊す程度の事は出来る。その威力がと、ジェクトは言ったのだ。

それだけではない。シーカーやソルジャーギアが何人もいたのに、全滅しているのだ。これはただ事ではないと判断し、ピアーニャはもう少し情報を得ようとしたが、いつの間にかジェクトは気を失っていた。


「グウゼンか? それとも……」

「なんか怖いんですけど……ここにいても大丈夫なんですか?」


正体不明な怪物が暴れた。そう思える状況に、クォンが怯え始めた。

ピアーニャは少しだけ待つように指示し、転移の塔を使ってファナリアに戻った。そしてすぐに戻ってきた。応援を連れて。


「すまんが、キュウゴとボウエイをたのむ。ジジョウチョウシュもな。わちらはゲンインをさぐってくるから」

「了解しました!」


呼び寄せたシーカーと兵士達にこの場を任せ、ピアーニャは『雲塊シルキークレイ』を広げた。ミューゼとクォンを乗せて、ひとまずコロニーに戻る事にしたのだ。


「さてどうしたもんか……」

「ねぇ総長さん。さっきのってやっぱり?」

「レジスタンスにバケモノみたいなのがいる……とかんがえるのが、シゼンだろうな」


襲い掛かってきた何者かを全員で迎え撃ち、何とか負けはしなかったものの、追い払うので精一杯。エーテル切れか何かで塔を破壊する手段を失った『バケモノ』は去らざるを得なくなった……というのが、ピアーニャの想像である。もちろん確証は無い。

しかし、これまでの流れや状況から考えると、そんな事が自然と思い浮かんだ。しかし、どれほどの相手なのか、実際に会ってみないと分からない。本当にそんな相手が存在するのかも不確定である。


「サイロバクラムのアーマメントについて、しらべたほうがいいかもな」


このリージョンについては、まだまだ分からない事だらけ。戦闘向けのアーマメントがどれほどの物なのか、ほとんど理解していないのだ。となると、やはり調べるしかない。


「いったん、ソルジャーギアにもどるか」

『えー』

「モンクならレジスタンスにいえっ!」


もっと色々見て回りたかったミューゼとクォンは、いきなり仕事かと、不満を露わにしていた。

からふるシーカーズ

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