この作品はいかがでしたか?
214
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──────いえもん視点──────
自身に対し、自問自答をしていると、突然声が聞こえる。その声の主は先程まで手で顔を覆っていたひなさんだった。
ひなさんは顔を覆っていた手をどかす。しかし、顔を見ることは叶わない。何故ならば俯き、顔がかげて覆われているからだ。
「血は──────繋がっていないよ。ごめんね。ルカ兄…いや、ルカ兄、なんて言う資格はないかな…?」
淡々とした声が静かな部屋で響く。その声はあまりにも無機質なもので、本当に生きた人が喋っているのか疑う。ただ、ほんの少し、微量なほどだが、哀を感じた。
「ひな…。大丈夫、俺は、血が繋がっていなくてもお前のことを妹だと思ってる。戻ってこい、ひな。」
ルカさんは溢れそうな涙を目にため、ひなさんを1点と見つめる。まるでドラマでも見ているかなようで、クライマックスを迎えようとしているようにも見えた。こんな比喩は最低なのかもしれない。ただ、俺達はこの会話にはいってはいけない、そんなふうに感じた。
あくまで、俺達は傍観者なのだと、誰とも何も言っていないのに、喋ろうとしなかった。
「ルカ兄…でもね、私は許さないよ…?」
ひなさんがそうつぶやくと机の上へと立ち上がり、純白の翼を広げ、瞳は赤く、深紅の瞳にはきらりと輝く光を携えていた。ひなさんは羽を広げながらルカさんへと近ずいていく。すぐに距離を詰めることは出来なかったらしく、少し机の上を歩く。今思えば、それは最初に言っていた全員が人間程度の実力になるという呪文の効果ゆえなのかもしれない。
「ひな…?」
舞台に呼び込まれたかのようにルカさんもつられて机の上へと昇る。ひなさんの純白の翼とは違い、どこまでも黒く、鋭い悪魔のような翼を広げる。
それは、あまりにも顕著に対立や意志の違いなど…あらゆるもので正反対を現しているのかと考えるほど錯覚する光景だった。
「ひな、ひなって…。仮にも『元』兄妹でしょ?名前ぐらい間違えないで欲しいな〜」
「ッ!?どういうこと…だ…ッ?」
ルカさんもひなさんの名前を知らなかったらしく、衝撃を受けている。正しくは、知らないと言うよりも正解を知らない、そんなふうに思えた。しかし、その衝撃を受けたのはひなさんの『元』兄、そう言われたルカさんだけではなく、俺達めめ村全員が電流が流された如く、驚きの声をあらわす。無表情の人や、表情を読み取れない人など、様々ではあったが。
「私の本名は『No.0130』。理解ができない人のためように作られた別の名は『ヒナ』。ひなじゃないの、ヒナ。こだわりポイント!」
ナンバー、なんて言われてもそれが名前、だなんて呼べるとは思っていない、むしろ、言い難い不快感と不吉な感じがする。天使としては当たり前なのかもしれないが、そうは言っても…という疑問が延々と頭の中で巡る。
「ヒナ…?なの…かぁ…。俺は…う”ぅ……い”や…ぁ…。元…あ”ぁ…じゃあ…俺は…あ”ぁ”…」
言葉にならない声を上げ、呻き声をあげるルカさんは到底見ていられる光景ではなかった。絶望し、打ちひしがれるその姿。とても、天使が行った所業だとは思えない。その当の本人たる天使はにこにこと笑顔を振りまく。そこだけを切り取れば天使足りえるだろう、なんて無意味なことを思う。
これ以上ルカさんを見ているのは苦しいものがある。
「…メテヲさん…、これは罰が終了したって言えないのかな?」
ひなさんは呟くようにそう、メテヲさんに尋ねる。ひなさんは何を思い、ルカさんを見ているのか。それは天使からの救済のようにも、ひなさんからの慈愛とも受け取れた。
「…もう、メテヲさんって呼ばないで。もうリーダーで構わない。偽装するのはやめよう。無意味だ。」
質問には答えず、訂正を促す。それを聞くや否やひなさんは机の上に立つのを辞め、自身の席へと戻る。純白の翼をしまい、フードを被り、赤き瞳を閉ざす。躾を施された犬のように、従順だった。
「…この間の記憶を消すことは出来ない。つまり、ルカさん、その記憶は消されることは無い。」
淡々と、弱った獲物を追い詰めるように言葉の凄みがましていく。ルカさんは何かをブツブツと呟いており、メテヲさんの声すら届いていないようだ。明らかにまともな精神状態ではない。ルカさんは、全てを失ったのだ。全てに変えてでも守ってきた妹を。初めてあった日、妹のことを血眼で探していた光景がフラッシュバックしてくる。
…俺は、失ったことはある。しかし、何よりも、1番を失ったことは無い。尊厳も威厳も、自身を失っても、それは自覚した時から失っていたのだ。喪失感は無いし、哀しみもない。
…ルカさんは違うのだろう。似ても似つかないのだ。ならば同情はできない。生半可なものは相手をさらに苦しめる武器となるのだ。
「…絶望を楽しんで。罪人さん?」
メテヲさんが愉快そうに笑った後、フードを被る。それと同時にぐさおさん、ダークも被る。
メテヲさんは片手を空へとかざし、どこまでも深く、暗い世界との境界線は、その中できらやかに輝く星のようなものが誘惑するかのようにピカピカと点滅を繰り返す。
最初来ていた人数より1人少なくなった背中はとある境界線でばったりと見えなくなる。
…純白の1枚の羽根が机に緩やかに落ちる。それは天使が去った地に哀愁を誘うかのようにも見えた。
ここで切ります!ぜーんぶ111。ゾロ目です!凄くないですか!?まあ、多分222になることは無いと思うので3桁で全部揃うのはすごい!うん!
ちなみにわかっているとは思いますが、完全にルカヒナ編です!この兄妹の関係なかなかに歪になってますよね〜。ひなさんの考えていることを理解することは出来るのか…。あの雰囲気でルカひな以外が話すことは出来ないと思います。てか話させたくなかった。この後はどうしましょうかね?一応方針は決まっていますけど…。んーって感じです。
ほんとに終わりが近い気がします。200話は超えなさそうですねw。この物語が終わったらチャットバージョンとか作ってもいいかもですね?番外編…いつ作れるのだろうか…。この物語が終わっても、本編って意味でだけだと思います。その後しばらくは番外編や、物語で語られなかった部分を語ったりしたいですね。納得できなくても許してください…。私自身では納得してる内容なので。
それでは!おつはる〜!
コメント
5件
戦力4人分削られたのか…
おおお…凄い… rkさん何したんだ…
ゾロ目おめおめ🎉 この読んでて心が痛くなってくる感じ最高!!まじで大好き!!