彼に出会ったのはこれが初めてだった
キラキラしている星空を詰め込めたような
青い目、強い意志を感じる表情彼を見た時
僕は「ヒーロー」に最も相応しい人だと
思った
俺の名前は花垣武道!
目が覚めたら体が縮んでしまっていた!!
なんてあの推理系漫画の主人公の様な
状況に陥っている
タイムリープのバグ?なのか知らないが
何故か幼少期にタイムリープしてしまった
みたいだ
ただそれも好都合、これであの毎回
闇堕ちするマイキー君を救える!
と思ったのだが、まだ子供なので
勝手にぴょんぴょんどこかへ行くことは
出来ない。なのでまずは自分の身体補強
から進めようと思った。なぜなら自分は
弱い、弱すぎるそれにマイキー君を救うと
なるとかなりアグレッシブになると
思うから身体能力は高い方がいいのだ
早速俺は母さんに武道系(ぶどうけい)を
習いたいとおねだりする事にした
俺が何かを習いたいというのは初めてで
母さんは喜んで了承してくれた
チョロいぜ!
ということで俺は今佐野道場に来ている
……いや、何でわざわざマイキー君関連?
マイキー君には記憶がある可能性が
あるからなるべく近付きたくなかったん
だけどな……まぁ違う佐野さんである
可能性もあるし?でも明らかにマイキー君
の家なんだよな……いや、まだ可能性は
ある!とか考えている間にスパーンッと
ドアが壊れるんじゃないかというぐらいの
音を立てて勢いよくドアが開いた
何事かと思い目をやると何やら真一郎君と
あれは……?イザナ君!
どうやら何か揉め ているようだ
ここは佐野家で間違いないらしい
聞き耳を立てて見ると
どうやら 血が繋がっていない問題について
話しているようだ
イザナ君は今にも泣きそうな、苦しそうな
顔で駆け出して行った
真一郎君は驚いていたが直ぐに
家の中に戻って行った
おい!追いかけろよ!!
「嗚呼、もう!」
呆れながらもイザナ君を 追いかける
追いかけていくと路地の中でイザナ君は
座り込んでいた
その瞳には絶望と苦しみがドロドロと
渦巻いていた
「イザナ君!!」
そんな彼に俺は声をかけた
「あ?てめぇ誰だよ」
「俺は花垣武道!」
「どうしてそんな辛そうな顔をしてるの?」
「それは……」
イザナ君は俯いて黙ってしまった
「話、聞いてたけど血が繋がっていない
とか、そんな話だったよね」
それを聞くとイザナ君はポツリポツリと
独り言の様にゆっくりと静かな声で
話し始めた
「俺はずっと真一郎が本当の兄ちゃんだと
思って生きてきた…嗚呼、俺にも頼れる
兄貴が、家族が居るんだってでも……
違った真一郎は俺を裏切ったんだ
血の繋がりがないなんて
家族なんかじゃな…「それは違うよ」
「夫婦だって血が繋がっていないのに
家族じゃないか」
「それは……」
「俺は家族って言うのは思いが
繋がり合っていたら血が繋がっていない
なんてちょっとした問題だと思うよ」
そう言って武道はにっこりと 微笑んだ
ずっと血の繋がりが全てだと思っていた
「なぁ……武道」
「ん?」
「血が繋がっていなくても家族って
いえるか?」
「嗚呼、言えるよ! 」
武道がそう言った瞬間自分の中で何かが
くすぐったくて、優しいそんな何かで
満たされた気がした。
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