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プロローグ
放課後の教室。
机の上に散らばった教科書の間から、水輝がちらりと私を見た。
「今日も一緒に帰る?」
その声に、胸がぎゅっと締め付けられる。
「うん…」
私たち、まだただの友達のはずなのに――
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第一章「教室の隣で」
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教室は午後の日差しで少し温かく、でも空気はどこか静かだった。
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私は窓際の席で教科書を開いているけれど、目はどうしても隣の水輝ちゃんに向いてしまう。
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彼女はいつも通り、明るくて優しい笑顔でノートを取っている。
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でも私には、笑顔の奥にほんの少しの不安が見えた。
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(あれ…私、なんでこんなに気になるんだろう)
胸がぎゅっと締め付けられる。
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放課後、教室に二人きりになる。
「花凛ちゃん、一緒に帰ろっか!」
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水輝ちゃんの声はいつもより少し柔らかくて、耳に触れるたび、心臓が早鐘のように鳴る。
私は素直に「うん」と答え、カバンを肩にかける。
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廊下を歩きながら、彼女と並ぶ距離の近さに、息が詰まる。
小さな沈黙の中で、私たちは互いの気配を感じる。
帰り道、並んで歩く足音が重なり、ふと彼女が私の手に触れた。
驚きと同時に、心の奥でじんわり温かい何かが広がる。
「手、つないでもいい?」
その声に、私は小さく頷くしかなかった。
小さな手のぬくもりが、私たちの距離を確実に近づける。
甘くて、でも少し重くて――
これは、ただの友情じゃ終わらない、そんな予感がした。