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僕らは学校を出て、少しした所にある商店街へ向かった。
ここでは食料があったらしいが、今やもう底を尽きたらしい。
「…無惨な姿だな。」
「てめぇっ…!」
「リンク、今はダメ、ここは元々商店街だった場所です。食料も底を尽きた今、商人達はもう…」
「…なるほど。」
僕はその場に立ち止まった、ただ僕はスケッチをしたかった。
そこでだ、まぁ、君たちはお察しだろう。
スケッチブックを取り出し、ササッとスケッチをした。
「…何故スケッチをしてるんです?」
「…僕の漫画の参考になると思ってな。」
僕は、この商店街に何を思うのだろう。
黙々とスケッチした。ただ静かな商店街を前にして、モノクロの絵を描くだけだ。
「…終わった、行くぞ。」
「…偉そうに。」
「素敵ですね、その絵。」
「君にあげよう、商店街が華やかに彩っている絵をね。」
「ありがとうございます。」
他愛もない会話をしていた。商店街の中に不思議なものを見つけた。
光るものだった。僕は古臭い店に入った。
「露伴さん?」
「…すまん、気になったんだ。」
「ハッ、変なやつだな。」
「勝手に言っていろ、僕が気になっただけだ。」
そう言って、僕は古臭い店の中にある光るものを手に取った。
…これは、アメジストだ。何故古臭い店の中にアメジストが?
「…綺麗なアメジストだ。こっちは、エメラルド?
フハハハ、いいじゃあないか!珍しい物が多いな!」
「そんなに気に入ってるんです?」
「いや、こんな店に宝石があるとは思っていなくてなぁ…これは素晴らしい…」
「…?」
リンクは不思議そうに僕の手に持っている宝石を見ていた。そしてハッとした。
「それ返せっ!」
「おい!」
リンクは怒鳴った、これはソニックとかいう奴の大切な物だと。ふざけたことを…
僕は僕のためにあの宝石を取った。
「…返してもらおうか。」
そう言って僕はリンクから宝石を奪ったのだ。
文句をギャーギャー喚いていたが、無視して僕は宝石を袋の中に入れた。
「さてと、行こうか。」
「えぇ。」
「チッ。」
全く、ゼルダの方が優しいな…
そんなことを思いながら、僕らは歩みを進める。
商店街を抜けた先は、どこかの市街地に着いた。
「ここは市街地か、商店街の先にあるとはな。」
市街地はとても新しい雰囲気だった。
それにしても、商店街は荒れていたのに何故市街地だけが、こんなにも綺麗なのだろうか。
「少し見て回ってもいいか?」
「えぇ、構いませんよ。」
(勝手に行動されると困る…ゼルダだけ引き連れて…行くか…)
僕は1人で探索し始めた。
僕はふと思った、ゼルダの声がしなかった。
ふと後ろを振り返る、2人がいなかった。
やれやれ、置いて行かれたか。と考え、僕はまた
市街地へと向き直り、歩き回った。
(綺麗な市街地だ。さっきの景色が不思議でならん、もしこの市街地だけが襲われてないのならば、人は居てもおかしくない。
なのに人のいる気配がしない。)
置いて行かれたのは仕方ないが、市街地に人が居ないのは余計におかしい。
誰かいないかと探しているのだが、なかなか見つからない。
「諦めた方がいいのか…これは…」
諦めたくはなかったんだが、仕方ないだろう。
人探しはやめだ。
「…この市街地は、綺麗だ。映えそうだな。」
僕は写真を撮った、とても美しい街並みだからだ。
これから何時間経っただろう、2人の姿はもう見えない。
僕は足を動かし、前へと進む。
そうして僕は市街地を抜け、更に奥に進む。
(ここは、何処だ。見たことが無さすぎる、
どうしたらいいか分からないな…)
僕は市街地よりも奥、最も奥へ向かった。
僕が目にしたのは、少し残酷であり美しくある。
そんな景色だった。
「…これは酷いな。」
周りを見渡す、見る限り死体の山であり、そのまわりには花が咲いていた。
薔薇だろうか、それとも百合の花だろうか。
死を追悼するかのように咲いていた。
「…少し残酷だ、僕は何を見ているんだろう。」
追悼の意味を込めて、僕は花を置いた。
白い薔薇を置いた。
そこに佇んで、何時間経っただろうか。
僕はその死体の山を見つめながら、鞄の中に入っていた甘酸っぱい飴を舐めていた。
「…そろそろ移動するか。」
そう立ち上がろうとした時、遠くから悲鳴が聞こえた。
ゼルダではなかった、また別の女の声だった。
(趣味じゃあないが、見に行くとしよう。)
そして僕は、悲鳴のする方へ走って行った。
そこは先程まで僕が居た市街地だった。
「なっ、さっきまで綺麗な市街地だったのに…
荒れているだと…?!」
僕は市街地を見回した、人っ子一人居ないかと思っていたが、ちゃんと居た。
その女は、ゼルダとは違い、茶色の髪をして黄色のドレスらしきものを着ていた。
(何処かの姫なのか?まぁいい、とりあえず助けるのが先だ。)
僕はどこかにあった、正義感に狩られ、その女の方へ走って行った。
「このっ!来るなっ!もぉ!」
「大丈夫か、今助けてやる。」
僕はその女を抱え、その場から走った。
どうやら化け物は何処にでも出没するらしい。
「あ、貴方、化け物追ってきてるから!ねぇ!」
「喧しい!肩を叩くんじゃあない!」
化け物は追ってきている。
一旦女をその場に置いて、化け物の方へ向き直り、
『ヘブンズ・ドア』!と、化け物に放った。
「…何とかなったな。」
「…あ、ありがとう?」
そして僕は化け物の記憶を読んだ。
そこには親玉の名前が記載されていた。
「ふぅん、なるほど…?」
僕はその記憶を読み漁る。
「…そろそろ戻してもいいだろう」
僕は名前が記載されているページを引きちぎった。
そして女の方へ向き直って
「名前を教えろ。」
「…デイジー、だけど。」
少し警戒されてしまった。
まぁ仕方ない事だ、僕はデイジーという女に近づいて
「お前はあの学校の生徒か?」
「…そう、アタシはそこの生徒だけど、お兄さんは、その…どうしたの?」
「気になっただけだ、すまん。体は大丈夫か、怪我はしてなさそうだが。」
「アタシは大丈夫、お兄さんは?」
「僕は大丈夫だ、気にすることでもない。」
そんな会話をして、置いて行かれた為、
デイジーと行動することに。
どうやら姫様らしい。だからドレスを着ていたのか。
「聞いてなかった、お兄さんの名前は?」
「僕は岸辺露伴、漫画家だ。」
「露伴、いい名前!よろしくね!」
と、無邪気な笑顔で僕に握手を求める。
握手をしてやった。
「それにしても大変だったろうな、こんなにも綺麗だった市街地を荒らされるなんてな。」
「…そうね、ちょっとショック。
気に入ってたのに。」
「綺麗な街並みの時の写真はあるぞ。」
「本当?!見せて!」
写真を見せた、彼女はとても綺麗な笑顔を浮かべた。
「懐かしいなぁ、さっきまでこんなにも綺麗だったのに。」
「あの化け物、どこから沸いてるんだ。
それさえ突き止めれば楽なんだがな。」
「アタシにも分からない…ごめんね、露伴。」
「気にするな、いずれ突き止めるさ。」
「なんだかかっこいいね、”露伴ちゃん”は。」
露伴ちゃん、そんな呼び方をするのは杉本玲美だけだ。
久しぶりにそう呼ばれた。少し懐かしくなった。
「フン、そんな呼び方をするのは君ぐらいだ。」
「露伴ちゃん呼び?」
「嗚呼、君ぐらいだ。」
そんな他愛もない会話をして、僕達2人は
何処か、海へ辿り着いた。
「わぁぁ、久しぶりに海に来たな〜。」
「海か、悪くないな。」
承太郎さんに海に誘われやってきた時は、永遠と海洋生物について語り尽くされたことがあった。
それを思い出すと、懐かしい気分になる。
「あっ、ヒトデだ。可愛い〜♡」
「…綺麗だな。」
「うん、綺麗だね。露伴ちゃんは海は好き?」
「好きでもなく、嫌いでもない。普通だな。
漫画の背景には入れるがね。」
「どんな漫画を描いてるの?」
「最近は読み切り漫画の方が多いが、連載もしていたからな。色んなものを描いていたよ。」
「…いつか見せてね。」
「…?」
僕はその言葉、いつか見せてね。その言葉に違和感を覚えた。
だが彼女はこう言った。
「アタシ、姫だからさ、自由も無いの。
だから漫画とか読んだこと無くて、だから…いつか見せてね。」
「…嗚呼、いいだろう。」
約束した、したくなかった。
玲美の様に、なって欲しくなかった。
「君は、絵は好きか?」
「うん、好きだよ?」
「この絵、あげるよ。要らないからな。」
「いいの?素敵な絵なのに。」
僕は、海の景色を描いた絵を渡した。
素敵な絵、そう言われ嬉しかったのだが、どうもモヤモヤしていた。
「フン、もう要らなくなったからな。
個展を出すわけでもないからな。くれてやる。」
「…ふふ、ありがとう露伴ちゃん!」
その笑顔は、僕が見た、玲美の笑顔と似ていた。
「玲美…お姉ちゃん…」
「…?露伴ちゃん?」
「…っ!なんでもない、気にするな。」
「そう?何かあったら言ってね。」
「嗚呼。」
そう彼女に微笑んだ、僕が微笑んだのは、玲美の前だけだったのに。
雰囲気が何処か似ていたからだろうか。
そうして3時間ぐらい経った後、海を後にした。