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眠るための“クスリ”
生きるための“クスリ”
もう、どっちのためか分からなくなった。
ほんとは誰かに抱きしめてほしかっただけなのかもしれない。
「お前が必要だよ」って、
そんなありきたりな言葉だけで救われた気になっていたのかもしれない。
でも、現実の人間関係はそんなに都合よくいかない。
優しさの中に潜む無関心に、何度も傷ついた。
誰も悪くないのに、全部が憎らしくなった。
だから薬を飲む。
全部、ぼやけさせてくれる。
全部、感じなくさせてくれる。
気づいたらもう何年も、
ちゃんと「自分の声」で泣いてない。
ただ喉の奥が詰まってるだけだ。
「生きたい」とも、「死にたい」とも違う。
ただ、“何もない”時間がほしいだけ。
感情も、期待も、責任も、愛情も、
なにもかもから遠く離れた場所で
ただ眠っていたいだけなんだ。
もしかしたらいつか、
もう少しだけ優しい朝が来るのかもしれない。
太陽が「おはよう」と微笑んでくれるような、
そんな朝が。
でも、それが来るまでは、
僕は今日もクスリに頼る。
ほんの少し、自分を保つために。
目が覚めても、何も変わらなかった。
昨日の痛みも、孤独も、そのまま体に貼りついている。
時間だけが勝手に進んで、
俺だけが取り残されてるような感覚。
部屋の中はいつも薄暗くて、
カーテンはもう何日も開けていない。
窓の外が晴れてるのか、雨なのか、
もうどうでもいい。
誰かが俺を心配してる「フリ」をする。
「無理しないでね」
「また話そうね」
…ああ、そうだ。
また。いつか。
その言葉に救いなんてなかった。
連絡も来ない。
俺からもしない。
少しずつ、静かに、人間関係が腐っていく音がする。
鏡を見ると、そこにいるのは
誰かの期待を裏切り続けた「失敗作」。
顔色は悪くて、目は死んでて、
でも口角だけは無理に上がっている。
その笑い方、もうやめろよ。
自分で自分が気持ち悪い。
このままじゃダメだってわかってる。
でも、「じゃあ、どうすればいいのか?」
それがわからない。
眠れなくなると、頭の中がぐちゃぐちゃになって
思い出したくない記憶ばかりが再生される。
誰かの怒鳴り声。
無視されたあの日。
大切だと思ってた人の裏切り。
心が悲鳴をあげてるのに、
誰にも届かない。
声なんか、もう出してないから。
“クスリ”がある。
それだけが、俺を「今」から遠ざけてくれる。
飲めば、何も考えずにいられる。
飲めば、やっと眠れる。
でも最近は、それすらも効かない夜が増えてきた。
「もっと強いやつが欲しいな」
ふと、そんな言葉が口から漏れた。
自分でもゾッとした。
けど、その感情すらも
すぐに薬で消してしまった。
これが終わりなのか、
それともまだ続くのか。
わからない。
わからなくて、怖くて、
でもどうでもよくなってきている。
今日もまた、
この部屋で、
俺は俺を少しずつ溶かしていく。