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[侑]
侑が文化祭のパンフレットを見たときの第一声はこうだった。
「……は?」
一瞬で眉が跳ね上がる。
「🌸が……メイド喫茶……?
は?誰が決めたんそれ。俺聞いてへんけど?」
明らかに不機嫌。
でもその奥には分かりやすい独占欲。
(……まぁ、似合うのはわかるけど。
てか他のやつに見られんの腹立つわぁ……)
文句を言いながらも、
結局すぐ見に行く。
列の前の男子が「可愛い子いるらしい」と話してるのを聞くと、
侑の笑顔は完璧に消えた。
「……はぁ?可愛い子って、誰のことやろなぁ?」
口元は笑っているけど、
声が完全にドス。
(お前ら、全員俺の彼女に近づいたら全員殺すぞのテンション)
※本人は隠してるつもり。
順番が来て、
カーテンをくぐった瞬間。
そこに、
ふわっとしたメイド服の🌸が立っていた。
侑、フリーズ。
「……」
一歩遅れて、
真っ赤になって目を逸らす。
「……ちょ、待てや……
なんなんその可愛いの……」
あまりの衝撃に、
言葉がまとまらない。
🌸が営業声で言う。
「おかえりなさいませ、ご主人さま♡」
侑の反応 死亡。
「……誰にそんな声出しとんねん……
は、むり……」
机を掴んで俯き、
耳まで真っ赤。
「いや無理無理無理……
ご主人さまって俺にだけ言うやつやろ……
他の男子にも言っとんの?ほんま?……はぁ……?」
嫉妬が全開。
席についた後もずーっと落ち着かない。
🌸が注文を聞きに来ると、
侑は目も合わせずに言う。
「俺……🌸以外が持ってくるやついらん。
🌸が来るまで頼まん」
🌸が微笑んだ瞬間、
侑は息を飲んだ。
「……その顔すんな。
他の客の前でそんな可愛い顔すんなって……
俺が嫌や」
ぶつぶつ言いながらも、
目はずっと追ってくる。
料理を運んでくれたとき、
侑は小声で囁く。
「なぁ……メイド服……家でも着て。
俺だけのために、な?」
顔は赤いのに、
言うことは直球。
そして帰り際、
侑はわざとらしくため息をつく。
「今日だけは許したるわ……ほんまはやだけど。
けどな、
終わったら俺のペースに全部合わせてもらうで、🌸」
すれ違う男子が🌸を褒めているのを聞くたびに、
侑は笑顔のまま地獄みたいな目をしていた。
でも、
教室を出るとき
手首を引かれた。
「……ほら、行くで。
俺の彼女、ほんまに可愛すぎ。
流石に限界。」
その声は、
いつもよりずっと甘かった。
コメント
1件
侑、お前最高だわ