コメント
26件
嘘じゃないよみたいな終わり方で好き!!!!!!!
琵琶湖できちゃった、、、、、、
目がぁぁぁぁ
僕は、もう少しで死ぬ。
肺がんステージIV。
既に余命宣告もされている。
2ヶ月前に3ヶ月…と。
つまり、今現在は….
1ヶ月。
先も長くない。
身の回りの身辺整理も済んだし、
あとは死ぬだけ。
見られたくない
僕の趣味の日記は燃やしたし、
見て欲しい遺言書は書いて
自分の机の引き出しに入れておいた。
恋人にそこに入ってるから
僕が死んだら
それを開けて読んでとも言った。
本当にやることがない。
死ぬだけ。
ぴーんぽーん.
静かな部屋に鳴り響くチャイム。
今はもう自宅療養中。
長くないから楽な方を選んでって言われて
帰ってきたのだ。
「んぅっ…はぁっ…」
麻酔の役割の様な成分の点滴を垂らし、
そこら辺に捕まりながら
着実に、転ばないよう足元を見ながら
1歩ずつ歩みを進めていく。
この点滴があるおかげで、
痛みが麻痺し、立っていられるが
この点滴があるせいで、
感覚が麻痺し、全然動けない。
やっとの思いでたどり着いた玄関には
1分も時間がかかってしまった。
ガチャッ…..
ゆっくりと鍵を開けると、すぐさま
家の中に駆け込んできた人物。
「涼ちゃん、どう?体調は?
ここまで来るの疲れたよね、ありがとう。」
僕の顔色をくまなく探り、
さすさすと背中を擦ってくれる
恋人の元貴と
「涼ちゃん、しんどくない?
ゆっくりでいいよ。」
吸って…吐いて…と
まるで出産するかのような掛け声をする
メンバーの若井。
「あははっ..大袈裟だなぁ…、笑
大丈夫だよっ…げっほっ…ゴボッ、!! 」
僕が咳をすると
あぁほらいわんこっちゃない
というような表情で僕を抱きしめる元貴。
「何が大袈裟じゃないの。
大袈裟なんだよ。」
「涼ちゃん…」
心配そうに見つめる若井。
「ここに居るの辛いよね、
はやくリビング行こっか。肩貸すね。
若井、涼ちゃんの点滴引いてきて。」
「分かった。」
「涼ちゃん、歩ける、?
アレだったら抱っこするよ..、?」
「やだ..自分で歩くっ…」
「そっか、じゃあ肩貸すね。」
優しくそっとソファに座らせてくれる。
「えへへ…ありがとっ、 」
「ん..いいよ、。」
「..涼ちゃん、いなくなっちゃうのかぁ…」
若井がしみじみと床に言葉を吐き捨てる。
空気が死んでいくのを感じる。
僕のせいで、キラキラだったこの人達が
こんな表情をする。
僕がこんな病気になったばっかりに。
僕が関わったばっかりに。
「あ〜…笑 ..まぁ、!
死んじゃうなんて仕方ないよね!笑
だって生き物だもん…、笑」
自身の死を簡単に受け入れるかのように
演じる。
こうすればみんな
ガチっぽい雰囲気じゃなくて、
僕が明るく演じればみんなの空気が
変わると思って、
明るくなると思って。
「..え、?」
若井が困惑したかのように
眉頭をくいっとあげる。
「まぁ、!笑 なんとなぁ〜く
僕が肺がんってわかった時から
気がついてたけどね?笑
どうせ僕..死ぬんだろうなぁ〜って、笑」
「..なにそれ….、本気…?」
僕は2人の顔を見れなかった。
見たら泣いちゃいそうだったし、
ふたりの笑った顔を見たら
多分、胸がはりさけると思ったから。
「何言ってんの、!笑
本気に決まってんじゃぁん…笑
実は実はぁ、?笑
僕..元々死にたかったり…
なんちゃって、笑」
自分の死を冗談として扱う。
自分の感情を取り繕うために
こんなにも嘘がポロポロと口から
でてくるなんて。
僕ってこんなに薄情者だったんだ。
簡単に嘘がつける…
「お前ふっざけんなよ゛!!!」
元貴にがんっ!と胸ぐらを思いっきり
掴まれ、服がはち切れそうなぐらい
ぎゅ〜っと握っている。
初めてお前と言われたことに
心底びっくりして動揺を隠せない。
「元貴っ、!やめとけって..!!
病気してるから..死んじゃうって、!!」
「ゔる゛ぜぇ゛っ゛!!!」
元貴の目から雫が垂れ落ちる。
怒りと悲しみが混ざった水が。
「も..とき….」
「病人とか関係な゛い゛っ゛..!! 」
「涼ちゃんは本っ当に、
俺がどれだけ苦しむのか
分かってないだろ゛っ゛!!!」
顔の前で怒鳴られ、
目をそらすことが出来ない。
「涼ちゃんが土の中ですやすや
意識のないのをいいことに
眠ってる間さぁ゛っ゛?!」
「おい、やめとけって…、」
「涼ちゃんを悼んで悼んでっ…、
天国をゆっくり..自分のペースで
あゆんでさぁっ..、?」
元貴の手に入る力が緩んでくる。
「生き地獄を歩んで苦しむのはっ….
..俺だってのにっ…」
嗚咽を漏らしながら下を向く。
「恋人を無くすのは..俺なのに…」
「元貴..言い過ぎ、落ち着け…」
若井はいきなり僕を離して
体に負担をかけぬように
元貴から引き剥がしたあと、
僕の脇に腕を回し、ゆっくり座らせる。
「今苦しんでるのは涼ちゃんだろ、?
恋人のお前が寄り添ってあげなくて
どうすんだ…、」
「元..貴ぃっ…、ゴボッゴボッ!!
ぉ゛ぇ゛っ゛…、」
しゃくり上げの呼吸で咳が込み上げ、
吐血する。
「ぅあっ…、涼ちゃ…、 」
元貴がこちらを心配そうな眼差しで
見つめてくる。
「涼ちゃん、俺の目よく見て聞いて。」
若井は僕に視線をしっかりあわせる。
「元貴は言い方強かったけど、
俺が言いたいのも一緒。
大事な命なのに、俺たちにとっても…
涼ちゃんにとっても、
だからそんな尊い命が
なくなろうとしてるのにそんな
冗談交じりに言わないで。」
その問いかけに声が出ないので
うんうんと相槌を打つ。
「..2人にさせてあげるから、
しっかり話し合って。
俺コンビニ行ってくるわ。」
「ごめん、若井。 ..ありがとう…」
元貴がそういうと
若井はカバンとスマホを持って
玄関を出る。
しばらく気まずい沈黙が流れる。
「涼ちゃん…」
この現状から打破する仕掛けを作ったのは
元貴の方だった。
「..ごめん、ムカついて…」
口をゆっくり動かす。
「涼ちゃんがいなくなっちゃうっていう
現実と..その… 涼ちゃんが
自分の命を惜しくない…みたいな…、
命を軽く見てる言い方に..ムカついて…
涼ちゃんが一番辛いのに…、 」
「ううん、違う、違うの…
取り残される側が1番辛い、。
僕も思ってから..僕の死が少しでも
軽くなれば..笑えるネタになれば…
少しは、変わるかなって、。」
「うん..わかってたの、。
俺らを元気付けようとしたのも、
俺らを笑わせてくれようとしたのも…
涼ちゃんの性格は
いちばんわかってるのに…」
「ごめんっ…ごめんねぇっ…
僕、不器用でっ..わからなくてっ….
出会っちゃってごめんっ、
すきになっちゃぅてごめぇんっ…」
「…、」
「死にたくないよぉっ…、
まだっ..まだ2人とバンドしたいよぉっ、
同性婚がOKになって..結婚してっ…、
幸せになりたかったよぉっ…」
「ごめん..叶えてあげられなくて…っ、」
僕の悲痛な願いは
点滴と一緒にぽたぽたと流れていく。
なんて、じょーだん。
こんな現実もじょーだん。
とかいいたかったな….