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昨日から、ある噂が流れていた。
それは、編入生が入ってくる、というありえないもの。
今日、緑谷を見るまでは信じてなかったけど…まさか、本当だったなんて。
「み、緑谷出久です。よろしくお願いします」
編入試験って、相当難しいって話だったよな…前代未聞だって。
確かにこの編入生は…真面目を絵に描いたような見た目だけど、それでもそんな難易度の高い試験を通るなんてできるのか?
後ろの席になって、興味本位から声をかけた。
「へえ、編入生ってマジだったんだ。いかにもガリ勉って感じ」
〝強い奴〟と、頭のいい奴には興味がある。
こいつは強くないだろうけど…学力の方は気になったから。
それにしても、メガネでけえな…顔が見えねえ。
かろうじて笑っているのはわかるけど、どんな目をしているのかは全くわからない。
…〝頭のいい編入生〟。
その時までは、そんな印象だけだった。
爆豪勝己に連れられ、教室を出ていった緑谷。
…なんだあれ。
俺は自分の目の前で起きていた光景が信じられず、思わず目を見開いてしまった。
〝あの生徒会長〟が、緑谷の忠犬のようになっていたのだ。しかも、嬉しそうな顔をして…。
どういう関係なんだ、いったい…。
ていうか、爆豪ってあんな顔すんの…?
「なあ、爆豪のキャラ、ちがくないか…?」
麗日に言えば、同じように驚いていたのか唖然としていた。
まさか、爆豪にあんな顔をさせられる人間がいたなんて。
「出久くん、何者…?」
麗日の言葉に、俺は「ははっ」と乾いた笑みをこぼした。
どうしよう。すごく興味がわいてきた。
これから…楽しくなりそうだ。
にしても…。
『同じクラスとか、運命だなっ…!つーか、その格好は…?』
その格好って、どういう意味だ…?
まあ、これから少しずつ知っていけばいいか。
気になる存在ができるなんて——–彼女以来だ。
俺の心の奥に住み着いている、彼女の存在。
この時の俺は、知る由もなかった。
まさか緑谷が——–その〝彼女〟本人だったなんて。
しかも緑谷の存在が、この学校に嵐を巻き起こすことになるなんて——–。