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7 - 第6話「君のせいだよ」

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2023年08月13日

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「天音ちゃん?どうして、君が私にあの子のことを聞くの?」


「君の方が天音ちゃんについて詳しいじゃん」


「…貴重なデレを天音ちゃんに取られちゃった」


「まぁ、話してあげても良いよ?」


「不思議そうな顔してんじゃん」


「間接的にだけど、私も天音ちゃんには助けられたからさ」


「もう叶うなら、直接会って見たかったな〜」


「君もそうでしょ?だって君は───」



優side


どういう状況か分からないがこのまま黙ってても進展がない。それに、他の生徒に見られたら俺も天音も色んな意味で終わりだ。


優)…質問の意図が分からない


とりあえず、天音を正気に戻すしかない。このままだと俺の肩が終わる。


天音)……


無言を貫くか。肩を強く掴まれているせいで上手く動けない。仕方なく、言葉を強めることにする。


優)頼むから落ち着いてくれ。嘘じゃない。本当に分からないんだ


天音と目が合う。さっきとは違い、少し落ち着いたようだ。出来れば、あの瞳はもう見たくなかったから有難かった。


天音)…ごめんなさい。少し、取り乱した


優)少しじゃないだろ……


天音)ごめん。本当に、ごめん……


優)いや、別にお前を責めたい訳じゃない


天音)うん……


またお互いに無言になる。手を離してもらったのは良いが、どうするか。天音は俯いている。正直、いきなり過ぎて理解が追いつかない。天音から話を聞き出すつもりだ。関係なくても聞く。巻き込んだのは天音だから、仕方ない。うん。仕方ない。


優)校内で、誰にもバレない教室とかってある?


天音)……人目につかない場所なら、どこでも良い?


優)構わない


天音)あるけど、どうして…?


優)2人で話そう。取り乱す程の理由があるんだろ。昼休みが終わるまで時間もあるしな


天音)…生徒会室なら、大丈夫


優)生徒会室?そんな所に勝手に入って良いのか?


天音)うん。私、役員だから


優)成程な。じゃあ、鍵は……


天音)それも私が持ってる。今日は丁度集まりがあるし、先生に見つかっても言い訳はできる。それに、鍵は当番制だから怪しまれないよ


優)…そうか。ちゃっかりしてんな


天音)悪いことじゃないし、良いでしょ?着いて来て


先を歩く天音に着いていく。他の生徒に変な目で見られると思ったが、思っていたよりも生徒がいない。残りの理性が働いたんだろうな。



天音)失礼します


優)……


ヤバい。めっちゃ緊張する。生徒会室なんて人生で初めて入ったんだけど。てか机とか椅子とか豪華過ぎんだろ。公立の高校とは思えない程に豪華だな。


天音)優くん?入って来てよ


優)失礼、します……


天音)もしかして、緊張してる?


見事に図星を突かれ、ムッとする。


優)悪いかよ。お前と違って、俺は役員じゃないし、なんなら学校に来る自体まだ慣れてないんだ


天音)そうなんだ


優)……


気まづい。反応薄すぎる。いつもの…いや、初めて天音と会ったの昨日だった。


天音)優くん、お弁当持ってきた?


優)差し入れなら食べた


天音)…その差し入れ、何だった?


優)ただのお弁当だったぞ


天音)そっか。なら良いよ


なんでその質問をしたんだ?まぁ、今は関係ないことを気にしている場合じゃない。それよりも、天音から話を聞き出さないとな。


優)お前───


天音)『お前』じゃなくて『天音』って呼んで


あれ、天音呼びが嫌いな訳じゃないのか。宮野さん呼びに戻るのも気が引けてたから、お前って呼んでたんだけど。本人がに気にしていないから良いか。


優)…天音は、どうしてあんなに取り乱してたんだ?


天音)やっぱり、そこから聞いてくるんだ


優)気になってたからな


天音)…先にお弁当食べて良い?その後にちゃんと話すから


優)ごめん。そこまで気が回らなかった……


話を聞き出すことを優先しすぎた。今は昼休みなんだもんな。


天音)気にしてないから良いよ


そう言った天音は、手に持っていたお弁当箱を広げ、そっと両手を合わせる。


天音)いただきます


優)……


あ、綺麗な食べ方だな。どっかのお嬢様かって思う程に綺麗な動作で食べ進めていく。そう言えば、俺の肩を掴んだ時、お弁当箱落としてなかったよな。なんで形が崩れてないんだよ。気にしても無駄だな。やめておこう。


天音)ごちそうさまでした


優)食べ終わるの早いんだな


テキパキとお弁当箱を片付けていく天音の様子をみながらそう言う。


天音)いつ頼み事をされても良いようにしてるから、気がついたらこうなってた


優)…そうか


そんなに周りに尽くして、何になるんだか。俺も人に尽くす職業ではあるけど、根本的には俺が楽しいからやってるだけ。天音にはそれがない。周りに強制されている訳でもない。だとしたら、自分自身に強制されている可能性が高い。


優)話してくれるか。天音のこと


天音)うん。良いよ


そこから天音が話してくれるのを待ったが、何故か喋らない。それより、距離が近いのは気のせいだろうか。目と鼻の先に顔があるのはおかしいと思うんだが、言った方が良いのか?


優)…天音?


天音)優くんから質問してよ


優)いきなりだな


天音)そっちの方が楽なの。良いよね


優)分かったから少し離れてくれ。距離が近い


俺はそう言うと、天音は何故か嬉しそうな顔をした。やっぱ、天音のことは分からないな。


優)さっきも言ったが、天音が取り乱した理由が知りたい


天音)そういえばそうだったね


天音は目を閉じて、深呼吸をする。


天音)…君のせいだよ


優)えっ…?


ガラリと雰囲気が変わった天音に、俺は目を見開いて立ち尽くすしかなかった。



続く

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