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#異世界往復
黒おーじ
86
【同士】
「ハルトお前、転移者だよな?」
「…え?」
真剣な眼差しでじっと春斗を見つめる。
逆に、春斗は目を大きく開け泳がせる。
「転移、者?」
「うん、そう。だってお前、魔法に対して知識が無くて、服も日本製だし。タグとかみたらメイドインジャパンかチャイナって書いてあるんじゃねぇの?」
そう言われると思わずタグが付いてる方の服の裾を掴む。
「じ、じゃあ、ランも…?」
「いや、僕は転移者じゃない。転生者だ。」
「転生…?!でもそんなの有り得るはずがっ」
「有り得るんだよ。その証明が僕だ。」
ランはなんでも淡々と言葉のひとつひとつをしっかり発音して話す。
「というか、転生も転移も考えてみれば意味わからないでしょうが。もしかして来たばっかとか?でもまぁそれはいいや。」
「…正直、僕自身は何が起こったか分からない、それにまだ状況が飲み込めてない。」
やっと落ち着いて春斗は話し始めた。
「それで、話したいのはそれだけですか。」
ランは下を向き、暫く黙った。
「…もしかして頭良い?その通りだよ。ハルトに聞きたいことがひとつと、提案したいことがひとつある。
聞いてくれるか?」
「…わかりました。」
そうしてランは話し始めた。二人の間には妙に緊張する空気が流れている。
「まず、聞きたいこと。ハルトはこの世界、異世界で何をしたいか。」
「…したいこと?」
春斗はてっきりこの世界に来る前のことを聞かれるのかと思っていたが、全く違っていたので少々困惑した。
困惑しつつ、春斗は熟考した。
そういえばそうだ。ここに来てからてんやわんやで流れに流されていたから、何も考えられていなかった。
本当は何をしなければいけないのか…。
ここで春斗の頭の中にひとつの答えが浮かんだ。
「…かえりたい。元の、世界に…」
「そうなのか?本当に?やけに自信が無さそうだけども。」
「ここに居たところで何も出来ない…から。早く帰らなくちゃ。」
「戻って何をするんだ?」
「それは…」
また春斗は熟考し、黙ってしまった。
それを見兼ねたランが、
「まぁ、とりあえずいいや。今はぶっちゃけそれは重要じゃない。一番重要なのは提案する方。」
春斗は一度考えるのをやめ、聞く体勢に移った。
「一緒に旅をしない?」
春斗は思わぬ提案だったため声すら出なかった。
「僕はこの世界に生まれ落ちて15年経ってるけど、まだわからないことだらけで、この世界について調べたい。そして、」
ランが意気揚々に口角を上げて話し始めた。
「僕がこの異世界について調べて、僕の目的が果たせる。さらに!その君の元の世界に戻るという目的達成に近ずく!どうだ?利害が一致してるだろ??
どっちにしろハルト、ここの世界にはインターネットがないんだから旅に出ざるおえないんだよ!」
いつの間にか春斗の隣に立ち、肩を組んでニタニタしている。悪役顔のようだ。
「不味い話じゃない、むしろ美味しい話だ。それに今ならこの僕に続いて護衛のソロだってついてくる!キャンペーンやってますけど、どうします?こんな話、乗らない訳ないよねぇ???」
話し方がさっきまでハッキリと真面目だったのに、この話になった瞬間ネチネチと蛇のように話しかけてくる。
ランの勢いに負けず、やっとの思いで春斗はタイミングを見計らって口を開けた。
「わっ、わかりました。ランさんが調査をして僕に協力をしてくれるという条件でなら、旅をします。」
ランはその答えを聞いて目をパッと開いて、輝かせた。
「そうだよね、そうだよね?!あー良かった!賢い君ならそう言ってくれるって信じてたよっ、ありがとう。さすが同士!」
春斗はこの一件でランの印象が完全に調子のいい人となった。
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「そういやさ、僕とかソロに対してさん付けで呼んでる?しかも敬語だし。」
「ぁ、そうですね…。」
「なんかしっくり来ないから辞めてよ。てかハルトと僕、ゆうて一個差だし。」
「ぇ、あ、じゃあ…ラン。」
「さん付け辞めてとは言ったけど初手で呼び捨ては結構勇気あるね。まぁいいや、よろしく」
ランはにっと歯を見せて笑い、春斗はおどおどしながらアイコンタクトを取った。
そして春斗は小さなため息をついた。
コメント
1件
同士ってタイトル、めっちゃしっくりきた…!転移者と転生者がバレる緊張感から一転、ランの豹変っぷりとズルい営業トークに笑った😂「一緒に旅をしない?」からの悪役顔ニタニタが最高すぎて何回も読んじゃったよ〜♡ 春斗の「帰りたい」って本音も切なくて、でもランとの旅でどう変わっていくのか超楽しみ!!敬語外しの流れもじわじわくる…同士っていいなあ☺️🌸