「ほんとに大人になったら俺とけっこんしてくれるん?」
「するよ、だからそんな悲しまんで」
眼鏡の下から涙があふれるその涙を服の袖で拭うので、もうその袖は涙でびちょびちょで。俺がさっき作ってあげた花の冠だって、四葉のクローバーだって、泣くのに必死で砂場に落ちたことになんて気づいてないだろう。
「…おれ転校してもお前のこと忘れんし大好きやから」
「ほんま…??でも、でもっ俺ショッピおらんの寂しい…!!」
「手紙でやり取りすればええやん、な?俺の住所紙に書いて渡しとくから引っ越したら俺に手紙送ってや」
「うん…。」
やっと泣き止むと、ずずっと鼻をすする
「またここ戻ってくるよな?」
「絶対戻ってくるよ」
指切りげんまんすると、チーノが先程作った花の冠を俺の頭に被せてくる
「…また、会おうね。」
「うん…」
終わりを告げるように、5時のチャイムが夕日で真っ赤に染った街を包む。
「じゃあなチーノ!!」
大きく公園に立つチーノに手を振ると向こうも大きく手を振り返した
…
引っ越してからもう9年経った。
あの時7歳だった俺も高校1年生だ。
ダンボールまみれになった部屋は当時引っ越してきたあの光景と同じだ。
高校2年生になるタイミングで親の都合でまた元々住んでいた場所へ引っ越すことになった。
文通のやり取りを初めてからの手紙の量は溜まりに溜まって大きなクッキー缶にまとめても入り切らないほどだ。
そんな手紙のやり取りもいつからか無くなっていてここ数年チーノがどのように暮らしているのか、今何をしているかなんて想像もできない。今考えてみるとあの時のチーノは俺の事なんで好きだったんやろうか、当時の俺も気になっていたはずだが弱虫で泣き虫なチーノだ。そんなことを聞いては恥ずかしくて硬直してしまうのが目に見えていたんだろう。
「しょっぴー!!家出るわよ〜!!」
1階から母の呼ぶ声が聞こえる。階段を降りると、もう玄関には荷物を積む配達業者の人が入ってきていた。
家具がひとつも無い家は自分の声も人の声もよく反響する
この家を離れるのは少し寂しいと思うが、それ以上に地元に戻れるのが嬉しかった
…
「明日から早速新しい学校だからね、いつも通り早く寝るのよ。」
前に住んでいた家とはまた違う家だが、心なしか前住んでいた場所よりも落ち着くような気がする
チーノも俺と同じ高校って言ってたなぁ…
部屋の窓から見えるのは幼少期に遊んだ公園の景色。ブランコもシーソーも新しいものになっているが、公園の静けさは変わらない。小さかった俺たちにとって誰もいない公園は特別な場所だった。
少し行ってみようかな。
まだ片付いてない部屋を後にサンダルを履いて公園へ向かう。
公園に差しかかるとキー、キー、とブランコを漕ぐ音が聞こえてくる
…誰かおるんかな。
ブランコに目をやるとメガネをかけて俯く煤色の髪の男がいた。
そいつを見た時に頭に思い浮かんだのは幼少期の泣き虫のあいつ。
sy「…チーノ?」
咄嗟に口からあいつの名前が出た。
ci「…ぇ…ショッピ…!?…しょっ、ぴやんな…
!?」
ブランコから立ち上がってばっと俺の方に走ってくる。
ci「ショッピ!!久しぶりぃ〜…!!」
俺の方に近づいたかと思うとぎゅうっと俺の事を抱きしめる
sy「…んふ、久しぶり。」
俺にべたべたなチーノはあの頃と全く変わっていない。
ci「…んふふ…俺やっぱりお前とハグするの好き」
sy「なんやねんそれ」
sypci新作書きました‼️‼️
ciメンヘラ化しそうかも…
苦手ならここの回でストップ‼️
ねえめっちゃ投稿頻度下がりそうかも😭…‼️‼️
でも頑張って書いてるから許して‼️
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