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霧雨煙る、街角に。傘を持たず、ただ濡れる。静寂で、騒がしい。山々は白く、灰色。春陽の光は、届かず。………いつからかな、こんな風になったのは。幼い頃は、霧が好きだった。勿論霧を模した長雨も。ロマン溢れてて、外へ飛び出て遊んだ。それから、あどけない茎だった僕は、朽ちた花弁になったよ。君は、可憐な花のままかな。
……会いたいな。今更考えたって遅いのに。僕がやったのに。その日君が僕に見せた煙った瞳は、今日の霧雨みたいだったよ。