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「奪わせない、お前にだって…!」
目の前にある扉を勢いよく開きジントに詰め寄る
「これ以上、俺の前で死なせない」
「お前が何言っても、体中切り刻んででもこの血を飲ましてやる」
近くにあった燭台のろうそくを引き抜き、ありったけの力をこめて尖った先で手の甲を引っ掻いた
じわりと血がにじむ
「君は…本当に…」
ジントの瞳も潤んでいる
俺の手を大切そうに両手でとり、傷口にそっと頬を寄せ
そのままジントは意識を手放した
かろうじて息をしているのを確認してジントをベッドに運んだ
俺の何を差し出したらいい
俺の魂にはもしかしたら価値がないのかもしれない
でも
何を差し出してもいい
お前は生きろ
生きてくれ
手を握るとほんのり力が加わった
「ジント…!」
「…君はどうしてそうもまっすぐなんですか」
目を開けたジントはゆっくりとした動きで俺の手をとり、もう赤黒く固まった傷口を撫でる
「自分で、傷つけないで」
傷ついた顔でジントは言った
「俺には他に方法が浮かばなかった」
俺がそう言うと、困ったように笑った
「僕は本当に、生きていてもいいんでしょうか」
「生きてよ、俺のために」
「君も、生きてくれますか」
「ジントが望むなら」
「君と生きる… 未来、を、 見てみたいと、思ってもいいのでしょうか」
問いに答えるように
約束を交わすように
唇を重ねた
ジントの唇に首もとを這わすと
優しい口づけの後に甘い痛みが走った
「僕は、司祭失格ですね」
ベッドに座り窓を見ながらジントが呟いた
白い背中は月明かりで発光している
ジントが振り返り赤い瞳と目が合った
「司祭は、神以外を愛してはいけないんですよ」
と笑った
「俺は神様なんて知らなかった」
乱れた服を整えたジントを抱き締めてベッドに誘い込んだ
「あの時の俺たちを引き合わせてくれたのが神様なら、何しても赦してくれるよ」
「…そうでしょうか」
「これからの俺たち次第か」
そうだろ、神様
いや
たとえ
ご加護、なんてなくても
fin.
コメント
2件

うわぁぁぁ今回の作品も良すぎました泣 前回のストーリーからどう進展していくのかなと思って見ていてたらきずいたら感動してました笑 次回の作品も楽しみにしてます笑( ノ ̫<。 )