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巫女である曚雲は右名氏の出身であった。この氏族は最初に大御神に従い、再び太陽を目にした大族の一つで、鯨の歌を歌う天賦と海洋生物に親しむ伝統で今も有名である。曚雲は幼い頃に珊瑚宮へと入り、現人神の巫女のもとで海祇巫女の祭祀伝統、歴史知識、政務と島唄を学んだ。彼女の双子の妹、後に「海御前」と呼ばれる菖蒲は、氏族の海女であり、真珠を採集することを生業としていた。
やがて、稲妻幕府によって諸島の統一がされ、その知らせが海祇に届いた時、海祇の民たちの間で曚雲と菖蒲の名はよく知れ渡っていた。現存する島唄の中では、曚雲は知恵と優しさを兼ね備えており、海の民たちのいざこざを仲裁するのが得意だったことが伺える。妹の菖蒲は明るくて勇猛であり、海にいる猛獣と渡り合えるほどの力を持っていたようだ。