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夕方のリビングは、
ゆるやかな空気に包まれていた。
テーブルの上にはカードゲームが広がり、
えとはその場の隅にちょこんと座っている。
暇すぎる人達が集まりめったにすることのないカードゲームをすることになった。
「…えとさんこれルールわかってんの?」
カードを配りながら、じゃぱぱが首をかしげた。
「わかってるにきまってる」
「ほんとに?」
「ほんとだよ!」
即答したえとに、隣のうりが笑う。
「えとさん、さっきも逆のカード出して負けてたけどな」
「いやぁ、それはさ…」
少し困った様子のえとを見て、
ひろが声をかけた。
「じゃあ次は俺が助言するよ。えとさんはこのカード使った方がいい」
「ありがと、ひろくん!」
そんなやりとりを横で見ていたゆあんくんが、にやっと笑った。
「ひろくん甘やかしすぎじゃなーい?
えとさん!それで勝っても嬉しいの?」
「嬉しい!」
えとは即答し、周りが一斉に笑い声をあげる。
ゲームがひと段落すると、なおきりがキッチンから顔を出した。
「おーい、ご飯そろそろ作りたいんだけど、手伝ってくれるひとー」
「はーい!」とえとが元気に返事をすると、すぐにじゃぱぱが止めた。
「えとさん、前にお皿割った前科あるから味見係で。 」
「えー、それは手が滑っただけだよ今日はだいじょうぶだってば」
「これ以上シェアハウスのお皿を割らせる訳にはいかないっっ 」
と分かりやすくボケるじゃぱぱになにいってんだとえとがつっこむ
結局なおきりとじゃぱぱ、ひろの三人がキッチンへ向かう。
その後ろをついていこうとしたえとを、うりがソファに座らせた。
「えとさんは審査員やって。味見係」
「え、じゃあ一番大事じゃん」
「そうだよ。だからそれまでゆあんくんにカードゲームのルールでも教えて貰っときなー」
正直ルールを理解してなかったえとは素直に頷きゆあんくんにルールを改めて教えてもらう
「だから、このカードを出した時はこの効果は効かなくなっちゃって」
「え、なんででもこのカードがあるじゃん?」
「いやでも!….」
理解ができないえとに教えるのを苦戦しているゆあんを見てキッチンにいるメンバーは笑う
時期的に、実家に帰省しているメンバーが多く、今日はじゃぱぱ、ゆあん、うり、ひろ、なおきり、えと、で夕飯を食べる。なかなかに珍しいメンバーだ。
テーブルいっぱいに料理が置かれ、いい匂いが部屋中に広がる。
「いただきます!」と元気に声をあげたえとに、全員がつられて笑顔になる。
何気ない食卓。
でも、えとがそこにいるだけで、空気が少し柔らかくなる。
誰かが冗談を言えば、真っ先に笑って、時には不器用にフォローしてくれる。
それがこのシェアハウスの日常であり、みんながえとを自然に大事にしてしまう理由だった。
後日_
「よしっ!これ勝てるわ」
「やっばえとさんめっちゃ強くなってない?」
えとに負けそうになり焦ったじゃぱぱが声をあげる
「えとさん!!いけ!!いける!!!必殺技だして!」
えとさんを応援するゆあんの声と
「おいじゃぱさんまじかよ!!勝て勝て!」
とじゃぱぱを応援するなおきりの声がリビングに響いた。
カードゲームをした日にいなかったメンバーがなぜ急にカードゲーム?と不思議がっていた。
えとが実はゆあんに必殺技を教えてもらったのはみんなには内緒で_