テラーノベル
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スーパーの店内。
調味料の棚の前で、悠真が瓶を手にとって眺めていた。
「……これで合ってるか?」
差し出されたラベルを見て、咲は頷く。
「はい。いつも買ってるやつです」
「そっか。さすが妹ちゃん、しっかりしてんな」
軽く笑うその声に、胸の奥が温かくなる。
かごに入れた瞬間、指先がふれて、咲は慌てて手を引っ込めた。
「……すみません」
「別に。……気にすんな」
短い言葉なのに、耳の奥に残る。
――ほんの些細な出来事なのに。
ふたりの間に流れる空気が、昨日までとは違って感じられた。
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