お誕生日おめでとー!!
響き渡るグラスの音、天井を舞う紙テープと紙吹雪。
うちのグループで一番目と二番目に大きい二人は、いつも通り紙テープにまみれてクリスマスツリーになる。
この光景を見るのも、四回目だ。
「いやいや、例年通りバズーカーのクラッカーだね」
そう、二人のお誕生日の時だけはとっても大きなバズーカー方式のクラッカーなんだよね。
いつだったかふざけて持ってきたシヴァさんのせいで毎年これになったけど。
「じゃ、冷めないうちにご飯食べよーよ!お腹すいた!」
「のあさん早いんだよー」
「私とるなさん朝からずっと作っててお腹すいたの。ね?」
隣にいるのあさんにウィンクされた。
でものあさん、結構味見していませんでしたか?るな知ってますよ?
「いやぁ、いつもとおんなじだなぁ〜去年ものあさんお腹すいたっていってたよね」
苦笑するシヴァさんに
「なんだよぉ、誰かさんは今年はいつもと違うだろ〜」
すかさず茶化したのはうりりん。
うりりんの一言で、みんなの視線が私とシヴァさんに注がれる。
「ちょ、恥ずかしいからんなこと言うな」
「意識しちゃうんだもんね」
「かわいいなぁしばおは」
「えとさん!なおきりさんまで!」
みんなの笑い声の中心で、シヴァさんが慌てふためいていた。
まだお酒一杯しか飲んでないのに、耳が真っ赤ですよ。
わいわい騒いでるみんなを一歩下がって見ていたら、とんとん、と誰かに肩を叩かれた。
ゆあんくんだ。
「るなコップに飲み物入ってないけど、もう飲み切った?」
「…??」
あれ?乾杯したけど飲んだ覚えはない…ってコップに注ぎ忘れてた!?
「ゆあんくん、るなジュース入れ忘れた!」
「わはは!乾杯のとき空っぽでコップ掲げてるから変だなと思ったんだよー」
そう言って、ゆあんくんは私にオレンジジュースを注いでくれた。
「大丈夫?なんか疲れてるけど。まぁ、大阪からこっちきて料理作ってたら疲れるよね」
「えへへ、でもやりたいって私が言ったから」
そんなに疲れたように見えるのかな?
確かにみんながリビングに入ってきてから口数は少なかったけど…疲れてるわけじゃないよ。
こくり、とオレンジジュースを一口飲んだ。
うん、美味しい〜♡全身に染み渡る。
ぷはぁと息を吐いたらいい飲みっぷりだよ、とゆあんくんに笑われた。
「来年の2月になれば、やっとみんなとお酒が飲めるね」
「そうだね」
お酒の席のたびに、後何年で飲めるなと二人で数えていたっけ。未成年だったえとちゃんや、どぬくさん、ヒロくんも同じソフトドリンクだったのに。
今はもうあっち側だもんね。寂しいけど、私たちも後もうちょっとだ。
「オレはるなが成人したら一番に飲むつもりだったけど…その役目はさすがにシヴァさんかな?」
「ええっ」
「お酒の飲めるるなと、オレが一緒に飲んじゃったら、シヴァさん悲しんじゃうよな」
なんてゆあんくんは笑みを浮かべながらコップに口をつけた。
「今だってさ、ちらちらるな見られてるのわかる?」
耳元で教えられてその言葉にどきりとする。
一番背の高い彼を探してみると、見つけた瞬間ばち、と目があった。でもすぐ晒されちゃった。
「あっ」
「な?目あったろ?」
シヴァさんがこちらを向くことはなく、くるんとるなに背を向けてしまった。
「ごめん、ちょっとやりすぎたかな」
「…どうしたの?」
ゆあんくんが私の肩に手を置くと、ぐ、
と下に力を入れる。そのまま膝の力が抜けてストンとソファに座った。
力が入らなかった。気を張っててわからなかったけど薬が切れてきたのかクラクラする。
「やっぱり、体調悪いんだろ」
「そんなこと…なくもないかも」
「認めなって」
起きあがろうとするのを、優しく両手で肩を抱かれてそのまま背もたれに抑えられた。
ゆあんくん、今日はやけに優しいけどどうしたんだろ。
「ゆあんくんが優しすぎて怖いよ」
「オレはいつもるなに優しいでしょ」
そうだね。私が唯一敬語を使わず話せるのはゆあんくんだけだもの。
戦友というか、幼馴染というか。兄妹みたいで双子みたいな。いつも気にかけてくれるし気にかけていたし。大事な存在だ。
「だから、ちょっとだけでも抵抗しようと思ったんだ」
「抵抗…?」
「オレの、意地。もうしないよ」
ゆあんくんの細い腕がるなのおでこに伸びて、くしゃりと撫でた。
それから、今日限りにするわ、とだけつぶやいた。さっきからなんの話をしてるのか、よくわからない。
「じゃ、シヴァさんよぼっか?るなはこのまま部屋で休めって」
「シヴァさんは…みんなと楽しそうにしてるから。えっと、のあさん。のあさんよんで?」
シヴァさんはキッチンの端でなにやらみんなと盛り上がっていたから、私のことで中断させたくなかった。
ちょうど私たちに気づいたのあさんに、ゆあんくんが経緯を話してくれた。
私が部屋に戻ったことを、大々的に知らせて欲しくない。この空気を壊したくないの。
そうお願いしたら、上手くやるから部屋行ってていいよとのあさんが送り出してくれた。
「あ、まーぼーどーふの感想聞き忘れちゃった…」
上手くいったのかいってないのかいまいちわからなかった麻婆豆腐。味見を何度しても、よくわからなかったのだ。
多分体調が悪くて舌が鈍っていたんだろうな。
一応のあさんからは、シヴァさん好みの辛さだよってお墨付きなんだけど。
片栗粉がダマになっちゃって。とろみとか、難しかったな。
「あーんもっと練習するぞー…」
エプロン姿のままベッドへ転がった。
部屋に入ってすぐ鎮静剤を飲んだけど、いつ頃効いてくるのだろう。
大好きなひとのお誕生日に熱を出すなんて…ほんと、ダメだなぁ。情けなくてちょっと涙腺が緩んだ。
ケーキも渡さなきゃいけないのに。
お願いされてたルームウェアも買ってきたのに。
みんなでお誕生日するのも楽しいけれど、るなはいまシヴァさんがいいな。わがまま言ってごめんなさいだけど、シヴァさんといたい。
シヴァさんにおめでとうって言って。
きっと照れくさそうに笑ってくれて。
頑張って作った麻婆豆腐もケーキも
美味いよ、って食べてくれるんだ。
…。
あいたい。
ふたりでお話したい。
だんだんと痛みが引いていく感覚があった。
よかった、薬が効いてきたみたい。
するとちょうど部屋に向かって近づいてくる足音に気づく。
少し大きくて、ちょっと間のある歩き方は
「るなさんっ!」
「シヴァさん」
凄い速さでノックされ、返事をする前に扉が開いた。
「あの、みんなのとこは…」
そのままシヴァさんは何も答えず一直線にるなのそばへ来てから
「座らせて」
るなの言葉を聞かず隣に座った。
…なんか、少し雰囲気が…
いつもみたいに優しくて温和というよりは、どこか焦っているようだった。
「…あ、あの」
「…大丈夫?」
シヴァさんはるなをみないで下を向いている。
声はいつも通りなのに、なんだか少し怒ってるようにも聞こえてきた。
どうしてこっち、向いてくれないんだろう。
「薬飲んだから、大丈夫」
「…そっか」
「…」
「…」
どうしよう、やっぱり怒ってるみたい。
こんなシヴァさんを前にするのは初めてだった。
るなが勝手はしゃいでサプライズしたのやだったのかな。具合悪いのに遊びにきたこと怒ってるのかな。
でもせっかくのお誕生日なんだよ?
るなだってお祝いしたい。
「シヴァさん、ごめんなさい」
「なんで謝るの?」
「だって、勝手にサプライズしたり体調悪いのに東京にきて…怒ってるんですよ、ね?」
「…んなことで怒んないよ。体調が悪いのはおいといて、それでも会いに来てくれたのはすげえ嬉しい…」
しん
会話が途切れ部屋が静まり返る。
やっぱりシヴァさんは怒ってる。
でも優しいからるなのせいにしないんだ。
もっと素直に気持ちを言ってくれたらいいのに。
だってるなとシヴァさん恋人同士じゃないですか。
「シヴァさん、あの」
「うん」
「シヴァさんの素直なきもちを、教えてください…。あの、やだったらやだって言ってください」
そうだ、押し黙れるより下手に優しくされるより話してほしい。
気持ちを込めてシヴァさんを見つめていると、ぎしりとベッドのスプリングが軋む。
目の前に影ができたと思えばシヴァさんの顔が私に近づき耳元で囁かれた。
「この距離で」
「え?」
「ーーーゆあんくんと何しゃべってた?」
顔が見えないからわからないけど、言葉の節々にジリジリと焦げる何かを感じる。
「何しゃべてたの」
急かされた、と思った。
一生懸命思い出す、そうだ、シヴァさんがるなのこと見てるよって言われた時だ。
「シヴァさんがるなのこと見てるよって…」
「この距離でかよ」
シヴァさんが顔を離したと思えば、またぎしりとスプリングの音。
るなの隣に手を置いて、さらに近づいてきた。
あまりにも近すぎるので間を取ろうとシヴァさんの腕に手を置いた。
「こんな、こんな近くないです」
「オレにはこう見えた」
ぎし、と後ろで軋む音が聞こえた。
シヴァさんの手がるなの後ろにうつったんだ。
もう、これは…キスしてしまう距離。
「…妬いたんだよ」
「え?」
「ゆあんくんにすっげー妬いたの。るなさんとゆあんくんの距離が近いだけでめちゃくちゃ妬いたの」
るなとゆあんくん喋ってただけなのに…?
それに前からよく喋ってはいたので、なぜ今なのかがよくわからなかった。
「シヴァさん、あの」
「ごめんわかってんだ、ほんとは。るなさんもゆあんくんも普段仲がいいの理解してるーーーけれど
るなさんは俺のだ。特に今日は、俺だけのるなさんがいい…」
意味を理解する前に、唇を塞がられてしまった。この間より強く押し当てられ、息をしようにもシヴァさんがそれを許さなかった。
逃げ場がなくてたくましい肩に手を置く。
するとより一層求められてしまった。いつのまにか背中に手が回っている。
ーーー激しい
「好きになるのが怖かった、わかってたくせにな」
好きすぎて困るんだよ、と数センチの距離で言われる。
「シヴァさ…あっ」
そのまま勢いで押し倒される。
これ、この前と同じだ。
でも今は怖いという気持ちはなかった。
お互いに一度見つめ合うと、どちらともなくまたキスを始めた。
強くキスをされて、もっと、と思ってしまったのだ。
「それでもいい?別れたいって言われても多分離さねーよ」
「ん、あっ」
「すげぇかわいい声。誰にも聞かせたくない」
それでもいい、大丈夫だよ。
伝えたいけれどシヴァさんに何度もキスされて会話ができない。
なんとか離して、次が来る前に急いで伝えた。
「大丈夫です、すき、るなも」
「…」
「るなも一緒、ほかのひととなかよくするのやだっ…」
なんとか伝え切ると、シヴァさんの顔が歪む。ああもうと呟いて大きな手で両頬を包まれた。
「るなさんごめんね。これで我慢するから、もう少しだけちょうだい…」
ぐっとより深く口づけし合うと、私の口の隙間からぬるりと何かが入り込む感触がする。
初めての感触はよくわからなくて、真似てお互い絡めあった。
角度を変えてもまた入り込んでくる。
どうしよう。
溺れちゃう。
けれど溺れたい。
だめだよ みんなもいる。
だめなのに、やめられない。
でもやめなきゃいけないの。
やめたくないのに…
「無理させた」
シヴァさんがそっと唇を離した。真正面からみた彼は息が荒く、珍しく頬が紅潮している。
そこでどこかで繋がっていた銀色の糸がぷつりと切れた。濡れた唇をみて意味がわかり赤面してしまった。
「体調悪いのに、ごめんな」
シヴァさんが体を起こし横を向いた。
私も起きようとすると、寝てていよと優しく押し返された。
それからシヴァさんははあーと片手で顔を覆って大きなため息をついた。
気にしてるのかな。
「シヴァさん落ち込まないで」
「大丈夫?無理しなくていいよ」
「無理してません!すごく、その…大丈夫でしたから」
もっとしたかった、とは
恥ずかしくて言えなかった。
完全に離れてしまうのは寂しくて、シヴァさんのもう片方の手を握った。
「たぶん次うちきたら、さ」
「…はい」
「何もしないのはもう無理だと思う…」
「…はい」
シヴァさんはこちらを見ずにポツポツと話す。
「今度うちにきてくれるってことは。そう、捉えちゃう」
いつかはあると思ってた。
彼氏彼女ならではの秘め事。
タイミングとかわからないから、前回は何も考えずお家に行きたいとか言ってしまった。
「だから、るなさんが大丈夫だなって思えたら…うちにおいで」
「でも、るなもう」
「ありがと、わかってる。焚き付けて悪いてけど場所も場所だしるなさんの体調もあるから。ちょっと冷静になる時間ちょうだい」
ふー、ってシヴァさんは両手で顔を覆って息を整えた。
「とりあえず一月の三連休は大阪に遊びにいくから」
東京と大阪を一応順番かで行き来している。
なので次はシヴァさんが大阪にきてくれる番だ。
でもそしたら、るながシヴァさんのお家に行けるのは二ヶ月後。
お誕生日の頃だった。
「…怖かった?勢いでしちゃったけど」
余裕のない瞳ががるなを見つめてくる。
きっと、最後のキスのことについて心配してるんだろう。
「いやなら、いやって言いますから」
「余裕なかった」
「シヴァさんすごくぐいぐいくるから、驚いちゃった」
そう言うと、ううーごめんな、とまた後悔しているようで。でも全然嫌じゃなかったですよ。
「そうだ、クリスマスプレゼント」
今度はぱっと顔を上げて、何やら後ろのポケットをごそごそと探っている。
シヴァさんが取り出したのは、可愛くリボンが結ばれた小さな長方形の白い箱。
「るなさんこれ、俺から。クリスマスプレゼント」
ゆっくり起き上がり箱を受け取る。開けてみてと言わられ紐を解いた。
小さな粒がついた、かわいいネックレスだ。
「わ、あ!かわいい…え、るなにですか?」
そうだよ、とシヴァさんは小さく笑う。
「つけていいですか?」
「いいよ、つけたとこ見たいわ」
エプロンは一旦脱いで首にネックレスをまわす。今日のお洋服、鎖骨の見えるデザインでよかった。かちりと金具を止めるとちょうど鎖骨の真ん中あたりに粒の感触があたった。
「わぁっかわいい!」
「よかった、似合う」
ずっと緊張した顔つきだったシヴァさんがへにゃりと顔を崩した。
「こんなのいただいていいんですか?高そう…」
「るなさん謙遜できるのか」
「で、できますよ!?」
「うそうそ、ごめん。気遣いやさんだもんな」
もう、とシヴァさんの膝を叩くふりをした。
私たちいつのまにかこんなやりとりができるようになったんだ。
付き合った頃ぎこちなかったのに。
胸にじんわりと幸せが広がる。
その時ことん、とドア付近で音がした。
どうやらシヴァさんも気づいたらしく、立ち上がってドアを開ける。そしてしゃがんで何かを持ち上げた。
「るなさん、これ置いてあったよ」
「…あ!」
シヴァさんが持ってきてくれたのは、トレーの上にのった小さめのケーキの箱と お皿にフォークとナイフ。
私が朝作ったお誕生日ケーキだった。
「これ、私が作ったシヴァさんのお誕生日ケーキ!」
「そんなことしてたの!?」
「これと麻婆豆腐のこともあって、早めにこっちへきたんですよ」
箱からケーキを取り出す。
お店で売ってるものより見た目はアレだけど気持ちはたくさん込めた。
シンプルなショートケーキ。
うぉお、すげえーシヴァさんが嬉しそうな声を上げた。
「ほんとはね、昨日の試作の方が上手にできたかもしれなくて…」
「何言ってんのどれも美味いに決まってるでしょ」
早く食べたい、これ俺食べていいんだよね?
シヴァさんがワクワクを抑えられない小さな子みたいで、ちょっと微笑ましかった。
どうぞ、と声をかけるとフォークですくい一口でパク。
「うっま」
「ほんと?」
まだお口でもぐもぐしてるからか、声は出さずにこくこくと頷かれた。
よかった、頑張った甲斐があった。
「るなさんも一緒に食べよう」
「いいんですか?」
「いいよ、でも他のやつにはやらん」
「ふふふ、それうりりんが言ってたよ」
「えー?なんて?」
シヴァさんが小さくすくったケーキがるなの口元に。あーんしてごらん、と言われて素直に口を開けた。
控えめな甘さでちょうどいい。
うん、これも美味しいかも。なんとか上手くできてたみたいで安心した。
「シヴァさん嬉しくて泣いちゃうって」
「マジかよ、バレたな」
「泣いちゃうの?」
「るなさんの前ではカッコつけてるけど、胸の内じゃ感動で号泣してる」
泣いてるシヴァさんを想像したら、ちょっと面白かった。
「シヴァさん、お誕生日おめでとうございます」
「ありがとう、るなさんに祝ってもらうのが一番嬉しい」
「シヴァさんにまだお誕生日プレゼントありますよ?言ってたルームウェア…」
「やべーな、るなさんから供給過多で死ぬわ」
ふはは、とるなに砕けた笑顔を見せてくれた。
「それにしても、ケーキを置いてくれたのは誰なのかな?」
私がもうリビングに戻れないと思ってもってきてくれたんだろう。なら、のあさんかな。
「…誰だろうな。ほら、るなさんもう一口食べてごらん」
ちょっと強引に口元へ持ってこられて、急いでパクつく。あぁやっぱり美味しくて頑張って作った話をシヴァさんにしていたら
誰が持ってきてくれたのかなんて、すっかり忘れてしまった。
side y
パーティーの後ってなんでこんなに寂しくなるんだろう。
綺麗に片付いたテーブルを眺めぼんやり思う。
るなが部屋に戻ってすぐ、シヴァさんはるながいないことに気づいた。
部屋へ行きたそうだったけどみんなに絡まれて抜け出せず、見かねたのあさんが声をかけたのだ。
不器用な人だな、と失礼ながらに思ってしまった。
「オレも一緒か」
るなが一生懸命ケーキを作っていたのは知ってた。まだシヴァさんはきてなかったし、少し話せるかなと思ってキッチンに遊びに行くと
「何作ってるの?」
「ケーキ、シヴァさんにあげるやつ」
「ふぅん」
るなの視線はずっとケーキだった。
久しぶりに二人で話してるのに、るなはこちらを見る余裕がなさそうだった。
るな遊ぼうよ、とは言えなかった。
そんなに彼氏のために頑張ったのに、当日具合が悪くなるなんてるなっぽい。頑張りすぎちゃうんだよね。
時間差でふたりがリビングへと戻ってきた時には、お互い顔を赤らめていて…。
…。やめた。
何があったかなんて、考えなくていい。
この気持ちがなんなのかわからない。淡い恋心かすらわからない。
でもるなには笑ってて欲しいから、今日はるなのサンタになるね。
せっかく頑張って作ったケーキは、誰にも邪魔されないところで食べたらいいよ。
部屋の前にそっと置く、わざと音を立てて置いた。
シヴァさんは耳がいいから気づくはず、そして足音で誰が持ってきたかも…。
シヴァさんちょっと意地悪してごめんね。
でもケーキ持って行ったから、これで許してね。
日付はとうに変わってる。
オレはピカピカと光るクリスマスツリーの電源を切った。
コメント
4件
🍗くんサンタさんナイスな仕事をしましたね🤭 やっと🐸さんが❄️ちゃんに手をだしましたね(?) すごーく心地のいいいちゃいちゃで心がほっこりしました☺️ ❄️ちゃん🐸さんに喜んでもらえてよかったねえええええええ!!😭💞
抑えられず気持ちをぶつけるけれど、その後やっちまった…と落ち込む様子を❄️ちゃん目線から感じ取って抱けたらと思います。 でも最後はふたりらしくクリスマスを過ごせるようにしました。 🍗くんサンタの良い気遣いです。
大変遅くなりましたがクリスマス編完結です。 今回の話はふたりにとって転機になりました。どちらかと言えば🐸さんの気持ちがですね。どこまで愛でて、抑えていたものを爆発させようかなと考えていたのでトリガーは🍗くんに引いてもらいました。