前回語ったように、ショータルの身体中、顔から足先まで、シアンの痣が張り巡らされ、見た奴は一瞬、刺青とでも思うだろうが、痣は痣、アレは実質、僕が作ったとでも言っていいだろう。
アレは…ショータルが魔法少年だった頃…かな。
ショータルが魔法少年だった頃、僕はショータルに裏切っては欲しくないと言う気持ちが強かった…けど、それを知った時の僕は、裏切られたと思い、そしてショータルは僕を止めようと、戦いにまで発展してしまった。
その時の様子を、僕は未だに覚えている。
─あの時─
「父さん!!何で僕に強く当たるんだよ!!魔法少年になって何が悪いんだ!!」「ショータル、君は何も分かってない!!!僕の兄さん…いや、君を生んだ父親は魔法少女達に襲われたんだぞ!!!」「なのに何で君は僕を裏切るんだい!!!」
「ッ…で、でも…僕は父さんを守ろうと…」
その一言も耳に入らぬまま、僕は怒りに狂うしかなかった。
激しい戦いの末、僕は思い切った事…いや、痣を作るきっかけを作ってしまった。
「もう許さない…絶対…絶対!!!!」
僕はショータルの身体の上に乗り、我が子の心臓めがけて雷霆を思いっきりぶっ刺した。何回も、何回もぶっ刺した。刺してるとき、雷霆に電気も一緒に流れてたから、余計に痛かっただろう。
「父さ…や、やめ゛っ!!ゃめで…ッ…!!」
我が子の声も聞こえないまま、僕は数十回刺した後にようやく気がついた。
目の光沢を失い、口からは血が溢れ、身体は血塗れ、魔法少年の変身も解けていた。
「…!!?兄さん!!」そう僕は、何とか近くに兄のポセイドンがいる事を良いことに、ショータルの介抱を頼んだ。兄さんから、「どうしたんだよ…?」って聞かれたけど僕は、「いや、僕があんな事をしちゃったから…」って言って、誤魔化すしかなかった。
数時間後、医神から言われたけど、治るには最短で数週間、最悪の場合は数年以上にはなると告げられ、「僕のせいだ…」と、自分を責めながらも、我が子が眠る病室ヘ足を運んだ。
ショータルは包帯を身体全体に巻かれ、最悪、息はしていた様だった。
「ごめんね、僕が…」と、言おうとした瞬間、大怪我を負った右手が僕の手に触れる。今にも、「父さんは悪くないよ。」とでも言いそうに触れているが、当の本人の口からはその声が出ない。
ただ、僕は優しく我が子の手に触れ、そっと握ってやる。ほのかに暖かく感じ、まだ生きようとしているのを、僕は感じていた。
その数週間後、何とかショータルの傷はほとんど完治したらしい…のだが、包帯を解いた時、身体に謎の紋章が浮かんでいると聞かされた。
僕はいち早く、ショータルがいる病室へと駆けつけた途端、僕は驚きの光景を目にしてしまったのだ。なんと、我が子の身体中に、謎のシアンの紋章があった。触ってみると、紋章ではなく、痣のような感覚がするものだから、「僕が雷霆を刺しただけで…」と、プルプルと小刻みに震え、困惑と疑問に頭の中が埋もれた途端に、「父さん、父さん!ボーっとしてどうしたの…?」と言われた途端に正気に戻った。その後、この痣が出来てからはショータルは思いっきしパワーアップしている。でも、僕は未だに理解しきれていない。
“あんな痣が、普通は出来るものなのか?”
と、疑問を持ち続けている。
いつかはきっと分かる。分かるに決まっている。
…本当に、僕はちゃんと我が子と向き合えるのかな。
向き合えれたら、「ごめんね」っていち早く言いたいな。
─続く─
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